第6話 ある昔話 その2
祠の神様が怒っていないので、祖父の家に残っていた続きの昔話です。
若い男が愛娘の寝室に来て、服を脱いでイチャイチャラブラブ。
そうして、若い男の服に糸を縫い付けさせて、その糸を手繰って行くと、有名な龍神様の祠だった。
若い男が龍神様の化身と分かっても、愛娘のお腹はドンドン大きくなる。臨月、約10ヶ月後、庄屋の娘は無事に出産。
赤ん坊を取り上げた産婆、立ち会った女達はビックリ仰天。
赤ん坊の頸から胸元まで、細かい鱗がビッシリと生えていて、1枚だけ大きな鱗が逆向きに生えていました。
そうです、「龍神の逆鱗」です。細かい小さい鱗は、1日も経たず自然に剥がれ落ちましたが、逆鱗だけは残りました。
逆鱗は、龍神の弱点であり、同時に龍神の証明であり、龍神の力の源。剥がれ落ちる時は、その龍神が死ぬ時です。
そんな事も知らずに女達&庄屋は、赤ん坊の逆鱗を剥がそうとした。
はい、祠の龍神様(龍神の主神)は怒りました。生き残ったのは、赤ん坊とその母親だけ。
庄屋の持っていた土地、その中で集落から1番遠い土地に、赤ん坊と母親が移り住みました。祠の龍神様(龍神の主神)は、自分の息子に新しく祠を作らせ、新しい方に引っ越しました。
その家が僕の祖父の家、その龍神様の息子が祖父と僕のご先祖様、座敷わらしとして残ってた龍神様も、庄屋の娘が産んだ龍神様の息子、ご先祖様です。
祖父が亡くなった時、チャリーンと澄んだ音が。祖父の逆鱗が剥がれ落ちた音です。
僕の胸元にも大きな逆鱗が有ります。普通の人には見えないように、確りと隠してありますが。
亡くなった祖父、そして僕も「先祖帰り」なんです。
信じる、信じないかは、読者次第です。
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