LIVING BY NECK HUNTING SISTER WAR

SEN

Living by neck hunting SISTER WAR

Living by neck hunting SISTER WAR


台本:SEN  声劇6人台本(男2・女4) 所要時間:100分






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※【Living by neck hunting~リヴィア帝国制圧戦(後編)】~の続編となっております。あらすじ等ございませんのでストーリー等はそちらをご覧ください。



キャラクター紹介





ミアナ(女・18歳)

ネイアの妹。教会育ちで明るく陽気で優しい。リヴィア帝国の騎士団を全て倒した姉妹で居合はネイアをも唸らせた。


ネイア(女・20歳)

冷静沈着だがキレると人が狼に見え手がつけられなくなる。居合いの達人。元暗殺者。ミアナの姉で共にリヴィア帝国を陥落させた。


キギア(女・34歳)

ヘッドハンターズを10連覇したチームクルシアルのリーダー。今は世界法諜報員の一人。分厚い甲冑と盾を貫き首を跳ねたとの噂がある。冷静かつ無慈悲だが自分が好きな事になると積極的になる。付いた才名は【氷霊】左腕が無い。


ヤヨウ(男・33歳)

医師兼戦士。1万人は越えるとされるリヴィア帝国反乱軍【ヴィアル】のリーダー。コヨウの兄でありコヨウを溺愛していた。大鎌の使い手。怪名【紳死】


ヒナミ(女・32歳)

デスタ達からミアナとネイアを預かり教会で育てたシスター。心優しき女性だが力から人を護るとなれば豹変する。異名【神雷】の名を持つ。


ルゴア(男・57歳)

元オアス国王。リヴィア帝国陥落後、孫達の存在を知り力になりたいと再度オアスの旗を掲げる。平和を愛し戦う姿から【善神のルゴア】と呼ばれている。孫を溺愛している。



配役表


ミアナ:

ネイア:

キギア:

ヤヨウ:

ヒナミ:

ルゴア:







本編↓






ミアナ

「凄い…歓声だったね。」


ネイア

「えぇ…皆リヴィア帝国の力の支配から解放されて、喜んでたわね」


ミアナ

「よかった…のかな?これで…」


ネイア

「どうなのかしらね。とにかく仇は討てた」


ミアナ

「うん…お父さんもお母さんも…カイユもロウガさんも……喜んでくれてるといいな。」


◆SE 足音


ネイア

「っ誰!?」


◆SE 落ちる


キギア

「忘れものだ。…これも七騎士団長の一人だろ?」


ミアナ

「っ!?……さっき助けた子…」


ネイア

「……えぇ…間違いなく、七騎士団長の一人だ」


キギア

「やっぱりか……逃がすな。一人たりとも…不穏分子は1%も残してはならない。味方の首を持って泣きながら走っていたがあれは後に恨みに変わり傷害になる。」


ネイア

「肝に免じておくわ…で、あなたは誰?」


キギア

「……答える義務はあるのかしら?小娘」


ネイア

「無いわね。じゃぁ答えなくていいわ。私達を…消しにきたの?」


ミアナ

「っ!?」


◆SE構える


キギア

「いいね…その警戒心。20点だ。いいだろう…答えてやる。私は世界法諜報員の一人。キギアだ。このリヴィア帝国に世界法で禁止されたシロモノがあると聞き探っていた。」


ミアナ

「シロモノ…」


キギア

「【ラニアガスの種】……一粒食べれば神の力が手に入るという種だ。その種の反応があった。最後の種を回収し葬る。その為に旅をしていたのだが…やはり七騎士団長フラスの小僧が持っていたか……その力を得た者を倒すとは…中々やるな…ネイア。」


ネイア

「っ!?何故私の名前を…」


キギア

「そこの大男が叫んでいたじゃないか。ネイア、斬れ。と…もぅ取り込まれたあとだったからな。傍観していた。」


ミアナ

「…カイユの力が無かったら───」


キギア(被せて)

「ソレが誰だか知らないがお前達。何をしたかわかっているのか?」


ネイア

「何をって…リヴィア騎士団長を全員消したわ…王は死んでいたけど…」


キギア

「それが問題なんだ。いいか?これは解放。人々はリヴィア帝国の力、圧力に恐れ従っていた。」


ミアナ

「でもそれは…自由。とてもいいことじゃないんですか?」


キギア

「0点だ。話にならないな…」


ネイア

「……そぅ、か…人々は暴力の束縛、拘束から解放されたが為……人々がとる行動…それは……」


キギア

「ほぅ…わかるじゃないか。そっちの平和ボケ女より冴えているようだな…そうだ。暴力からの解放がどうなるか、それは。すぐに形となってわかるだろう。先程の宣言を聞いていたが…まるで戯言。ごっこ遊びじゃないんだぞ?どう責任を取るつもりだ?どう抑えるつもりだ?答えろ」


ミアナ

「っそれは!人々にとって暮らしやすい環境を整え────」


キギア(被せ気味に)

「お前には聞いていない黙ってろ0点女」


ミアナ

「っ!?……はぃ…」


キギア(近づき)

「ネイア。答えろ。貴様は私と同じ瞳をしている。わかるはずだ…答えが」


ネイア

「……っ」


ミアナ

「お、お姉ちゃん…」


キギア

「…なるほど。答えは出ているのに出したくない…か。まだ、リアリティが足りないか。いいだろう。明日また会いにくる。その時また答えを聞かせろ。間違いなく答えは出ているだろうからな。ネイア。回答によっては手を貸してやる。腕一本だが………私は強いからな?じゃぁな、ネイア」



◆SE足音遠のく



ミアナ

「い、行っちゃったね…なんだろねあの人……凄いプレッシャーだった…」


ネイア

「ぇ…えぇ…凄い人ね」


ミアナ

「お、姉ちゃん?」


ネイア

「…ん?…あ、あぁ…大丈夫。そうだ、もぅすぐ青白時だ。何か街に食べに行こう。ミアナ」


ミアナ

「うん…あ、でも待って……カイユとロウガさんのお墓…作ってからにしたい。お願い。姉さん」


ネイア

「…わかった……私はちょっと考え事があるから……先に街まで行ってるわね」


ミアナ

「……うん。…また…あとで」



●場転 間5拍




ミアナ

「…っと…よしっ!完成。……カイユ…ロウガさん……どうか…安らかにお眠りください………今までありがとう…カイユ」


ヒナミ

「っ!?…居た……ミアナぁぁっ!!!!!」


◆SE走り抱きしめる


ミアナ

「んんっ!?…えぇ?!うぅ~…だるぅぇ?力ぁ強いぃぃ痛い痛い!」


ヒナミ

「ミアナぁっ…ミアナ!ミアナぁぁっ!!」


ミアナ

「んんっ?!…この声……シス、ター?ヒナミ、お姉ちゃんっ!?」


ヒナミ

「うんっ!そうだよ!!ようやく会えたっ…よかった…ほんとよかった……ミアナ…」


ミアナ

「こっちの大陸に来てたの?!なんで?エフナ大陸のほうが平和なのに…」


ヒナミ

「あなたが心配だからに決まっているでしょ…もぅ…教会に居たころからほんと何も変わってないわね…ミアナ……心配ばっかりかけて」


ミアナ

「えへへっ…ごめんなさいシスター…でも……大切な人達の為なんだ。これだけは、止めれなかった…譲れなかった。」


ヒナミ

「ミアナ……成長していますね…立派に。…あなたに会いたいが為、それだけの為に来たわけではありません。あなたに会いたいという方が私を訪ねてこられたので連れてまいりました」



◆SEゆっくり歩く



ミアナ

「……?……誰?おじさん」


ルゴア(徐々に泣きながら)

「……ミアナ。君が…ミアナか……う、うぅ…そっくり…じゃない、か……アネミナに…うぅぅううう」


ヒナミ

「はぁ…ルゴアさん、泣いてちゃわかりませんよ?まったく……ミアナ、この方はあなたの祖父。あなたの母であるアネミナの父親ですよ」


ミアナ

「っ!?母さんの…父親……おじいちゃん、なの?私の…」


ルゴア

「…あぁ……そうだ…もっと顔を見せておくれ……ほんとに…娘にそっくりだ…瞳の色も…うぅぅ」


ヒナミ

「あぁ~また泣くぅ…もぅ、仕方ありませんね。私が事情を説明します。いいですか?ルゴアさん」


ルゴア

「うぅう~…たのむ…ぅぅう」


ヒナミ

「まったく……では簡単に。ルゴアさんはデスタやカイユ、そしてミアナとネイアを探してエフナ大陸まで来られた…が、どこを探せばいいかわからず途方に暮れ教会でうなだれていた所を私が声をかけた。私はデスタとカイユにあなた達を育てるよう言われていましたからね。ただデスタは父親とは名乗らなかった…戦災孤児だとずっと言っていました」


ミアナ

「うん…あの大会で初めて知ったもん…お父さんだって…ずるいよね……ずっと傍にいたのに父親を名乗らないなんて」


ルゴア

「まったくだ!!!!っデスタ!!!!!……なんで…あいつまで…うぅぅぅう」


ヒナミ

「怒るか泣くかどっちかにしてくださいっ!…こほんっ…そしてデスタがあの大会で死亡したと聞きました…そして次の日にあなた達は港からこちらに来た…それを目撃した人が私の元に慌てて来ました。あなた達を追うように私とルゴアさんはこちらに来た…ということです」


ミアナ

「そうだったんだね……来てくれてありがとうシスター。ルゴアさん」


ルゴア

「ぉおじいちゃんって呼んでいいんだよぉぉぉおうぅぅうううう」


ヒナミ

「こらっ!あまりミアナにくっつかないでください!怖がっているでしょ!」


ミアナ

「あははっ!うん!!ありがとう!おじいちゃん!!」


ルゴア

「うううぅぅうおぉぉぉおおおお!!ぉぉぉぉぉおお」


ヒナミ

「もぅ……でもまぁ…仕方ありませんわね…ずっと会いたがっていましたもの……ところで……さっきから気になってましたがそのお墓は───」


ミアナ

「カイユと…ロウガさん……さっき…私達と一緒に戦ってくれて…」


ヒナミ

「っ!?……なんてこと……あのカイユが………強敵だったんですね…よく守りきりましたね…カイユ。ロウガという方もほんとよくやってくれました…その魂が天へ誘われんことを……」



●間3拍



ヒナミ

「……ん。そういえばネイアはどこに?」


ミアナ

「お姉ちゃんなら街に行ってるよ。一緒に何か食べようって約束してるから。皆で行こ?きっとびっくりするよ!シスター見たら!あははっ!!」


ヒナミ

「はあぁぁ~相変わらずの天使だわミアナちゃん……えぇ行きましょうねぇえぇえぇ」



◆SE足音



ルゴア

「ぅわぁぁぁおじいちゃんを置いかないでおくれぇぇぇえええ」




●場転 間5拍




ネイア

「はぁ…確かに……街の雰囲気が異様だった……殺気だっている…そして…今も皆私を見ている……当たり前か…さっきの声明の張本人だ。…しかし…関係ない。何か飲もう……マスター」


ヤヨウ

「横、空いてますか?」


ネイア

「あぁ…」


ヤヨウ

「では失礼して……これは私の驕りです。どうぞ飲んでください」



◆SE木のコップを置く



ネイア

「そりゃどうも……しかし、なんだい?毒でも入れてんのかい?お兄さん」


ヤヨウ

「んふふっ……私は貴女に協力したい。」


ネイア

「私に協力?」


ヤヨウ

「はい。先程の声明、震えました…貴女方はあのリヴィア帝国を潰し革命を起こしたのです。」


ネイア

「……」


ヤヨウ

「…私はこのリヴィア帝国に反する軍ヴィアルのリーダー、ヤヨウと申します。」


ネイア

「ほぅ…」


ヤヨウ

「貴女方はまだご自分が何をしたかわかっていない……革命。一夜にして革命を起こしたのです…我が反乱軍ヴィアルのできなかったことをたった一夜でなされたのです。これだけの革命。この大陸はまた大きく変わります……ただ…」


ネイア

「わかっている……暴力…だろ」


ヤヨウ

「わかっていましたか…そうです。力で抑えつけ恐怖で縛りつけていた鎖が外れた

…リヴィアが堕ち新たな声明が上げられたことはまだ大陸全土には拡がってはいないでしょう……だが必ず起こります……力で解決する時代に変わるのです。いえ……貴女方がそう変えたのです」


◆SEガシャン


ネイア

「っ!!…貴様っ……だれが好き好んでそんな────」


ヤヨウ(台詞被せ気味に)

「なら阻止してみなさい」


ネイア

「っ!?…………できない…」


ヤヨウ

「できない?なぜ?あのような革命を起こした方だ…簡単でしょう?」


ネイア

「…やり方は……もぅ…わかっている……だが……」


ヤヨウ

「ほぅ…なら話は早い。そこで我々が力を貸すと言っているのです。私を使いなさい…反乱軍ヴィアルの兵はこのリヴィアに3千人滞在している。大陸全土合わせると1万は越える。この数でなら…どうです?」


ネイア

「…支配……できる」


ヤヨウ

「えぇ…貴女方が言った理想の大陸「デスタアネミナ」に変えることができます」


ネイア

「っ………」


ヤヨウ

「力を抑える為の力です。これは平和の為の正義。曇りの無い純粋な正義なのです。」


ネイア

「正義…」


ミアナ

「あっ!いたいた!おーいお姉ちゃーん!!」


ヤヨウ

「おっと、邪魔が入りましたね…明日、また伺います。お答えをお聞かせください。」


ネイア

「あ、あぁ…また」


ヤヨウ

「んふふっ…良い返事をお待ちしておりますよ……マスター、お代はここに。…では」


ネイア

「…」


ミアナ

「…?今の人誰?知り合い?」


ネイア

「いゃ…知らない人だ。それより…誰だ?その人……あ。」


ヒナミ

「ッネイアァァ!!ネイアぁ!ネイアぁぁ!!」


ネイア

「んぐっ!?苦しい苦しいっ!し、シスター?!なんでこんなところに!?」


ミアナ

「シスターだけじゃないよ!?なんと~?じゃんっ♪おじいちゃんも来てます!」


ネイア

「ぇ?おじいちゃん?っわ!!えぇ!?」


ルゴア

「ッネィアァァァァァよかったぁ!!!うわぁぁぁぁぁぁ」


ネイア

「髭っ!髭がちくちくするっ!ちょっ、と!もぅ!!離れてくださいっ!」


ヒナミ

「んー…これがオアスの元国王とは……やれやれ」


ネイア

「っこれはどういうことなの?説明して!シスター!」



●間3拍



ヒナミ

「……と、いうことなの。あなた達が無事でよかったわ…二人は私達が護るから、安心しなさい」


ミアナ

「うんっ!シスターとおじいちゃんなら信頼できる…ありがとう」


ルゴア

「うむっ!わしとてまだ衰えておらんからのっ!【善神】と呼ばれた若かりし頃を思い出すわい。とにかく孫達よ、今日はゆっくりおやすみ…明日また色々と考えれば良い。見張りは私達に任せ───」


ネイア(台詞遮って)

「いらない」


ルゴア

「っ?……なん、じゃと?」


ネイア

「いらないって言ってるの。シスターの力もお爺ちゃんの力も……二人増えたところで同じよ。目障りなだけだわ」


ヒナミ

「………ネイア」


ミアナ

「なんで…なんでそんなこと言うのっ!?私達をここまで育ててくれたんだよ!?私達を思ってここまで来てくれたんだよ!!?なんでっ!?」


ネイア

「っ!?……じゃぁ……じゃぁあんたが治めてみろっ!!この国を!!考えてもいないだろそんなこと!あの女にも言われてた通りだ!平和ボケした0点女だってな!!」


ミアナ

「っ!!!」


◆SE平手打ち


ネイア

「っ……………くっ!!?」


◆SE殴る


ミアナ

「うぁっ!!」


ルゴア

「やりすぎじゃネイア……やめなさい」


ヒナミ

「ネイア…落ち着いて……秩序が乱れ暴動が起きようとしているのは明らかだわ…だがそれを止めようとも思っているのよ。私達は」


ネイア

「……どうやって」


ヒナミ

「ルゴアさん」


ルゴア

「うむ…ネイア、ミアナよく聞きなさい。私はこの大陸のオアス国の元国王だ。私の国はリヴィアに敗北した。だが戦って全て失ったわけではない……最後まで足掻くのは愚の骨頂だった。市民を、仲間をむざむざ亡くすことはないと悟ったのだ……それを気づかせてくれたのは……君のお父さん…デスタなんだよ」


ネイア

「……」


ミアナ

「お父さん……」


ルゴア

「最後の戦いをする前に開城した……降伏したのだ。オアスは全てリヴィアの支配下に下った。……だが、今のこの状況はどうか?私が生きていると知れば同胞達は必ず力になってくれる。アネミナが願った平和な世界にすることができる。約束しよう…ネイア」


ネイア

「……数は…兵力は……」


ルゴア

「…兵力?……はっきりとまではいかないが、五千はいるだろう。騎士団長は皆リヴィアの者に暗殺されてしまったがな」


ネイア

「足りないわ。その程度じゃ……暴徒は3万は越える。抑えられない」


ルゴア

「そんなすぐに3万人が争うことはあるまぃ───」


ネイア(台詞遮って)

「しっかり受け継いでるのね、平和ボケは」


ルゴア

「……なんじゃと?」


ネイア

「私は私のやり方で治める、必ずこの大陸を平和にする。」


ヒナミ

「ネイア……あてがあるというの?」


ネイア

「えぇ……明日の夜明けに、リヴィア城に来て。そこで話す。じゃぁ…」


ミアナ

「お姉ちゃんの馬鹿ぁっ!!!勝手にすればいいわ!!!!」


ネイア

「………」



◆SE歩いて去る



ネイア

「……馬鹿は承知よ」



●間3拍



ヒナミ

「たった一人でどうにかできるはずがない…さっきの男か……何かありそうね」


ルゴア

「悪知恵を植え付けられたか…まったく、わしの可愛い孫に何かしたら承知せんぞ」


ミアナ

「……」


ヒナミ

「ミアナ…今日はもぅ休みましょう?ルゴアさんと一緒に何か温かい物でも食べて?ね?」


ミアナ

「………ぅん……ほっぺた痛い……お腹空いた」


ヒナミ

「冷やしましょう……良い子。………ルゴアさん、少し出てきます。あとよろしくお願いします」


ルゴア

「あぁ…任せておけ。タフさだけが取り得じゃ、もし死んでも生き返って護るぞ?」


ヒナミ

「頼もしいです。では」



●場転 間5拍



ヒナミ

「おい」


ヤヨウ

「っ!?……なに、かな?……暗殺、かい?」


ヒナミ

「暗殺ならば声などかけない。プロとはそういう者だ」


ヤヨウ

「んふふっ…なるほど……で、何か僕に用ですか?血の匂いがするシスターさん」


ヒナミ

「ネイアに何を吹き込んだ…返答次第では容赦はしない」


ヤヨウ

「何も」


ヒナミ

「本当だろうな」


ヤヨウ

「ご本人に聞いてみてはどうです?私は何も企んでもいませんしあの子を利用しようとも思ってはいない…あなたの検討違いでは?」


ヒナミ

「なんだと…」


ヤヨウ

「私は、ただ、暴徒と化した市民を抑えるための力を貸してやる、と、伝えただけです。それ以上の事はなにも…本当ですよ?」


ヒナミ

「どうだかな…信じられない。そんな力があるようにも思えないが?」


ヤヨウ

「私はこう見えて反乱軍のリーダーをしております。先程から申してる通り…ご本人に聞いてみてはどうですか?んふふっ…しつこい女性は嫌われますよ?では…私はこれで」



◆SE足音



ヒナミ

「……聞けたら苦労しないわ」



●場転 間5拍




ルゴア

「お、早かったな」


ヒナミ

「えぇ…少し探し物をね……ミアナは…寝てしまいましたか…疲れていたんですね」


ルゴア

「今は休ませてやろう…怪我もしている。私達が護っていこう」


ヒナミ

「えぇ…外は私が。ルゴアさんはミアナを」


ルゴア

「あぁ…任せろ」


ヒナミ

「ネイア…信じているわよ……」



●場転 間5拍




ネイア

「……キギア」


キギア

「来ると信じていたよ。ネイア。お前は私に似ている。強くなるべき女だ。ん?そっちの男はなんだ?ネイアはつけられているのか?消そうか?」


ヤヨウ

「物騒ですね…申し遅れました、私ヤヨウと申します。リヴィア反乱軍ヴィアルのリーダーをしております。この度はネイアさんの声明に心打たれまして……我軍全てを率いて暴徒を抑えようとお話を持ちかけました」


ネイア

「数は多いほうがいい…力に対するは力だ」


キギア

「さすがネイア、良い判断だ…75点。そいつからも別の意味でヤバイ匂いがするな。……だが一つ……忘れていることがある。」


ネイア

「忘れていること?それは何?キギア」


キギア

「私を味方につけることだ。と・て・つ・も・な・く…強い武将を一人備えておくこと。それだけで敵となるものは戦意を失う。」


ヤヨウ

「んふふっ…よほど腕に自信があると見受ける……が、しかし…貴女は腕一本。それほど強そうには到底見えない」


キギア

「貴公は馬鹿なのか」


ヤヨウ

「っな!?」


キギア

「殺意を出していないだけだ……見るか?私の殺意。」


ヤヨウ

「ほぅ…では見せていただこうか?私もリーダーとしてそこそこ腕がたつつもりだ」


キギア

「ほうほう?いいだろう。…ネイアも、しっかり見ていろよ?私の、殺意を」


ネイア

「あ、あぁ…」


キギア

「では……気を失うなよ?…………ぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいい……あ゛!!!!!!」



◆SEぴきんと凍りつくような


ヤヨウ

「うぁ…ぁ…ぁぁ…こ…ころ……ころされる……ひ…ひぃ…ひぃい」


ネイア

「ひっ!?ぅぅうぁ…ぁぁああ!ああぁぁああ!!ぅううぅううぅううぁあああああああ!!!」


◆SEフッと消える

◆SEドサッ


キギア

「……どうだ?死んだと思っただろ?まぁ殺す気持ち一歩手前で止めたが」


ヤヨウ

「…ぅ…ぅうん…ぅん…腰が…抜け…」


ネイア

「ぃ…くっ……なんて…殺気……いっ」


キギア

「おぉ…おぉぉ?……さすがネイアだ。自分の足にナイフを刺して痛みで耐えたのか。90点だ。あんたは……50点ってところかな。気絶してないだけましだ」


ヤヨウ

「んふふ…そ、そりゃ…どう…も…」


ネイア

「しかし…今まで感じた事がない…気分になった……何、だろ…」


キギア

「それが死だ。確実な死が目の前にあった。大抵の者は気絶し意識を無くすことでこの死から逃れようとする。だがネイア。お前は違った。何より今その足で立てている。これが大きい」


ネイア

「痛みに逃げ耐えようとした…それは逃げ、ではないの?」


キギア

「違う。意識を失うのはもぅ敗北だ。意識を失った者はもぅ何をされても気づけず終わり。殺されるのを待つだけだ。次にこの男のように腰を抜かし力も入らず伏せてしまう。これもダメ。どうぞ刺してくださいと言ってるようなもの。」


ネイア

「なるほど…私は今立って更にナイフを持っている。」


キギア

「そうだ、それだけでも勝機が見えてくる。0ではない。さすがだネイア」


ネイア

「…ぅん、ありがとう」


キギア

「では。答えを聞かせてもらおうか。ネイア」


ネイア

「……人々は暴力の束縛、拘束から解放されたが為……人々がとる行動…それは、暴徒と化し、力こそが全ての国になってしまう。力を抑えれるのは所詮力のみだ…だがそれにはこちらにも大きな力が必要となる。そこで私は………反乱軍ヴィアル全軍を率いるヤヨウ…あなたと……キギア、あなた達の力を借りたい。共にこの国を、この大陸を平和にしたい……共に…戦ってくれるか?」


ヤヨウ

「んふふっ……もちろんだ。よろしく頼むよ…ネイア総督」


キギア

「それはいい呼び名だな。私は武将止まりで十分だ。何より戦いが好きだからな」


ネイア

「総督……ありがとう、二人共……」



◆SE足音3人分近づく



ネイア

「来たわね…」


ミアナ

「ネイア…話を聞かせて……」


ヒナミ

「ネイアちゃん…何をしようとしているの?」


ネイア

「……」


キギア

「なんだ0点女か。用はない。去れ。」


ヒナミ

「………っ!!?…キ、キギア!?キギアなの?」


キギア

「あ?誰だ私を気安く呼ぶ女は」


ヒナミ

「……ネイアに何を吹き込んだの…キギア」


キギア

「あ?………ヒミナ?おお…ヒミナじゃないか。久しいな。この死にぞこない」


ルゴア

「なんじゃ。知り合いか?しかし名前が間違っておるぞ?」


ヒナミ

「あいつはあぁ呼ぶのよ、私のことを……昔の相棒よ」


キギア

「ヘッドハンターズで遊んでいた時になぁ…チームだったんだよそいつと」


ヒナミ

「だが……私以外のチームメイト全て殺して…消息を絶った」


キギア

「よく覚えてるな。そんな昔のこと」


ヒナミ

「覚えているな、だとっ!?皆…お前を信頼していた……なのに…何故…」


キギア

「終わったことはどうでもいい。興味がない。私が今見たいのはネイアだ」


ヒナミ

「なんっ…だと」


ルゴア

「まぁまぁ…過去に何があったかは知らんが……ネイアを見たいとはどういう意味じゃ?キギアとかいう女」


ヤヨウ

「んふふっ……そのままの意味ですよ…ネイア総督は私達と協力し暴徒を治めこの国を平和にすると誓ってくださった。ただそれだけですよ。キギアさんが仰ったのは、ネイア総督が示す世界が見たいということでしょう」


キギア

「さすが永久参謀。それだ」


ヤヨウ

「永久参謀って…まぁいいでしょう……私ヤヨウは反乱軍ヴィアルの総指揮を取っておりその兵力はこの大陸全てを合わせると1万は越える…今現在も増え続けているでしょう。この兵力で暴徒を抑えこの大陸を平和にします。んふふっ……何か?ご質問でも?」


ミアナ

「ネイア、本当にそんなやり方で…平和になるとでも思っているの?また憎しみが生まれ悲しみが蔓延するだけ……リヴィア帝国と何も変わらない…」


ネイア

「全然違うわ。武力で支配できた後は必ず争いが無い大陸にする…蛮族から市民を守り犯罪から人を護る軍となるのよ……どこが…どこがいけないっていうのよ!!」


ミアナ

「力で抑えつけるなんてこの大陸はもぅ耐えられないのよ!!うんっざりなの!!!人々が望んでいるのはそうではない!!!………完全な平和よ。」


ネイア

「完全な平和!?はっ…バカバカしいわね。そんな理想論で平和が生まれると思う?それを謳って人々が納得すると思う!?甘いのよあなたは!現実を見ていない!!私は違うわ!しっかりとこの二つの眼で事を受け入れしっかりと解決しようと見ている。なのにあなたは何?完全な平和だのリヴィア帝国と一緒だの!!キギアさんの言うとおり。0点よ、あなた」


ミアナ

「っ!?」


キギア

「ウフッ」


ルゴア

「ネイア…少し言い過ぎだぞ。その話じゃが私達もそうしようと考えていた。元オアス国の国王である私が、元オアスの民に声をかければ必ずや奮起し戦ってくれるだろう。だが争いはせぬ…あくまで護る。抑えつけはせぬ……」


ヤヨウ

「ほぅ…貴公はあのオアス国の王でしたか……善神ですか…偽善神?……ンッフフッ」


ルゴア

「貴様っ」


ヤヨウ

「しかし…これではそちらの軍とこちらの軍そして暴徒…3対立による戦争が起きてしまいかねませんねぇ?」


ヒナミ

「どちらかが手を引くか…どちらかが協力するか……それが一番かと思われますが…そう簡単にいきません・・・よね」


キギア

「協力して…また裏切られるかもしれないもんなぁ?ヒミナぁ」


ヒナミ

「ぐっ!!!!!!?」


◆SE抜刀→飛びかかり斬るが空を斬る


キギア

「虫でもいたのかしら?その程度では私には触れる事すらできないよ。剣を抜いたってことはそれ相応の覚悟をしているというわけだな?ヒミナぁ」


ヒナミ

「あんただけは…絶対に許さない…」


ミアナ

「このまま…ここで殺しあっても答えなんか出ないよ…シスター」


ヒナミ

「っ!?……ミアナちゃん……ごめんなさい」


ミアナ

「…………」


ラルゴ

「ミアナ…どうしたんじゃ?大丈夫か?」


ミアナ

「大丈夫……平気。冷静だよ、私は……」


ヤヨウ

「何か…条約を結びますか?それとも───」


ミアナ(遮るように)

「いえ、一つ提案があります。これは…私の、いえ…始まりでもあり終わりの提案。」


キギア

「ほぅ?0点女にしては良い眼をしている。腐ってもネイアの妹というわけだな…聞かせてもらおうかその提案」


ミアナ

「………ヘッドハンターズで決めましょう」


ネイア・ヒナミ・ルゴア

「っ!!?」


キギア

「乗った」


ヤヨウ(小声で)

「……忌々しい……ヘッドハンターズ。」


ミアナ

「ここにいる者は全て理解しているでしょう…ヘッドハンターズのルールを。本来は5対5……今回は3対3のヘッドハンターズをこのリヴィア城で行い、勝った方が所有している兵力を吸収しこの大陸を治める。簡単でしょう?」


ネイア

「あなた……自分で何を言ってるかわかっているの?!……私達で、首の取り合いをするのよ?!」


ヤヨウ

「なるほど……私達が勝てばそちらの戦力は全てこちらに、あなた方が勝てばこちらの戦力はそちらに。というわけですか」


ミアナ

「えぇ……私の命は。私の為にあらず…ごめん、シスター…ルゴアさん。」


ヒナミ

「……仕方ありません。私にとっても───」


ネイア(台詞遮って)

「ミアナっ!!私の問いに答えなさいっ!!……どちらかが死ぬ。いえ…姉である、私を斬る覚悟があるのかと聞いているの!!」


ミアナ

「……すべての、無垢で幼気な命の為に、私は……貴女を斬ります。」


キギア

「その覚悟。その瞳。曇りのない眼。嘘偽りは全く感じないな。これはネイア、覚悟するしかないな。」


ネイア

「っ!?……そん、な」


キギア

「大丈夫だ、安心しろ。私が居る限りお前には届かない。妹の首は必ず届けよう。」


ネイア

「…………あぁ……………頼む」


ルゴア

「ミアナ……孫達の殺し合い等、おいそれとさせるわけにはいかん……が、そのミアナの思い、しかと見た。平和の為…我々どちらかの犠牲で数万の人々が平穏に暮らせるのならば…仕方あるまい。平和の為ならばどのような犠牲も厭わない覚悟……それが例え肉親を討つ事になろうとも。しかとアネミナの信念までも受け継いでいるのだな。」


ミアナ

「ごめん…お爺ちゃん……私に力を貸して」


ルゴア

「もちろんじゃ……こんなこともあろうかとしかと毎日鍛えていたからの。……【善神】の名は健在だということを小僧共に教えてやろうじゃぁねぇか!」


ヤヨウ

「フフフッ……偽善神、ですよね?オアス程平和ボケした国は見たことがなかったですよ」


ルゴア

「貴公にそう判断されたところで何が変わるものか、外面だけ見たところで何が解るものか。真に見るべきは心。その内側じゃ。覚えておけ小僧。」


ヤヨウ

「今更私がそれを覚えたところでどう変わることではない。では……ヘッドハンターズで…部下達には伝えますよ、このことを」


ルゴア

「ああ…私も今リヴィアに居る元オアスの民達に伝えよう。」


ヒナミ

「キギア、あなたにはどうしても聞かなければならないことがある。」


キギア

「くだらない過去に振り回されるなヒミナ。醜いぞ?」


ヒナミ

「…………くそがっ」


キギア

「では、明日な。楽しもうじゃぁないか。あの、時。みたいに?くっはっはっはっは!!」


ヒナミ

「ふぅぅう………」


ミアナ

「シスター?……ごめん、ね…こんなことに巻き込んで……」


ヒナミ

「……大丈夫、よ……私にとってもこれは終わらせなければならない戦いになった。あの女は…キギアは危険すぎる……生かしておいてはいけない。」


ミアナ

「シスター……」


ヒナミ

「大丈夫!あの女は私が必ず倒す!任せて、ミアナちゃん♪」


ミアナ

「うん、頼もしい…ありがと!」


ネイア

「………あなた、本当にこれでいいのね?」


ミアナ

「うん。もぅ貴女に何を言っても届かなかったから…こうするしかないの。私なりの、私達のやり方だと思う、これは」


ネイア

「……わかったわ………ミアナ、その首。もらうわよ」


ミアナ

「その言葉、そのまま返すわ。絶対負けない。」


ネイア

「……では、明日。サンディオムが登り翼竜鳥が空を翔る頃。ここリヴィア城に集まり、ルールを決めよう。」


ミアナ

「わかった」


◆SE 足音


ルゴア

「行ったか……全く、何てことを言いだすのかと思えば。さすがというかなんというか……我が娘と行動が似ておるわい」


ミアナ

「……」


◆SE ドサッ


ヒナミ

「ミアナっ!?……大丈夫!?」


ミアナ

「うん、平気…緊張が解けたのかな……何てこと言ったんだろう…私…」


ヒナミ

「大丈夫……他の2人を倒して、ネイアちゃん一人になったら説得しよう?そして皆で平和に暮らせばいいわよ。ね?」


ミアナ

「うん……二人共、ごめんね…」


ルゴア

「可愛い孫の為だ。任せろ」


ヒナミ

「私はあなたの為なら命は惜しみません。あなたを護れるなら戦う。それだけよ、ミアナ」


ミアナ

「うん…」




●間5拍




キギア

「しかし面白いことを言い出したなネイアの妹は。あれは本気に見えたか?えと、名前なんだ…」


ネイア

「………ミアナよ」


キギア

「それだ。まぁ理由はどうあれ…私は楽しむぞ。ヒミナも消しておかないといけないからな」


ヤヨウ

「ふむ、何か因縁があるようですね。あのシスターと」


キギア

「話してやろう。私は今気分が良い。私は元々タハバナ国の傭兵。ヘッドハンターズで戦いタハバナを導いていた。」


ネイア

「タハバナ…聞いたことはあるわ。花が咲き乱れる良い国だと」


キギア

「そうなんだ!私の故郷だからなっ!あ、そのヘッドハンターズにヒミナ達と参加していた。10年連続優勝したんだ。私達のチームは」


ヤヨウ

「こちらの大陸にまでその噂は流れてきてましたよ。無敵のチームクルシアル、でしょう?」


ネイア

「クルシアル…私達が当たったチームだわ」


キギア

「それは偽物だろうねぇ…なんたって私がリーダーなんだから。私達のチームは解散したのよ、ひょんなことからね」


ヤヨウ

「ひょんなことから、とは?」


キギア

「種の奪いあい。ラニアガスの種だ」


ネイア

「あのフラスが使用したやつだな…とてつもない力を得ていた」


ヤヨウ

「ラニアガスの種…しかしあれは世界法によって使用禁止とされた秘薬。…調合した者も不明、あるかどうかさえわからないシロモノだったはず…まぁ使用すれば世界法によって裁かれるらしいですが……」


キギア

「その世界法の諜報員の一人が私だ。あれは必ず葬り、一つたりともこの世に残してはならない。」


ネイア

「その種が手に入り奪いあいが起きた…ということ?」


キギア

「その通りだ。さすがだなネイア。醜くく争い奪いあったので全員私が殺した。だがヒミナだけその場に居なかったのでな…逃げのびたが種の存在を知った。消そうとしたが消息不明になった…が、ここに再び現れた。ということだ。」


ヤヨウ

「なるほど……よくわかりました。その……私も調べてることがありまして。お二人共、知っていたらで構いませんので教えてくださいませんか?」


ネイア

「あぁ…力になれることなら」


キギア

「構わないが、なんだ?」


ヤヨウ

「……コヨウ、という女性を知っていますか?」


ネイア

「っ!?……コヨウが、どうかしたの?」


ヤヨウ

「やはり知っていますか。コヨウは私の妹なんです。あなた方姉妹がヘッドハンターズで共に戦っていたことまでは調べました……だが死亡した。私の大切な妹をよくも…殺したやつをみつけ八つ裂きにしたぃ……許せない」


ネイア

「……それなんだがな…ヤヨウ…コヨウが殺されたのは───」


キギア(勢いよく台詞遮って)

「全てリヴィアの仕業だ!!そういうことだ。な?ネイア」


ネイア

「ぁ………あぁ。そうだ」


ヤヨウ

「そう、ですか……そういえばその大会にはこのリヴィア王国の王子、シマクまでもが係っていたとか。これもリヴィアの策略なのか……くそっ」


ネイア

「あぁ……」


キギア

「これが終わったら手伝おうじゃないか。ヤヨウ」


ヤヨウ

「頼む……君が居てくれれば百人力だよ」


キギア

「百人だと?……万人力だが。まかせろ。まぁ今夜は飲もう。明日も私に任せろ。」


ネイア

「あぁ……明日は頼む、二人共」


キギア・ヤヨウ

「あぁ」



●間5拍



ミアナN

「そして……私達姉妹の」


ネイアN

「最後の戦いが始まる」




●場転 間5拍



ネイア

「来たわね」


キギア

「死ぬ覚悟はできたか?」


ルゴア

「お主たちがな」


ヒナミ

「ミアナを絶対に殺させはしない。キギア、アナタへの復讐。今ここで!」


ヤヨウ

「ルールは通常のヘッドハンターズとなんら変わりません。私たちは王の間から、あなた達は城門からスタート。お互いどこで遭遇するかわからない…これでいかがでしょうか?」


ミアナ

「えぇ、問題ないわ」


◆SE 羽ばたく音


キギア

「翼竜鳥が飛んだ。時間だ。はじめよう。」


ヤヨウ

「しばらくしたら部下に大砲で開始の音を鳴らすように言ってあります。では、ご武運を?クフフッ」


ネイア

「私達も配置につきましょう。……じゃぁね…ミアナ。」


ミアナ

「えぇ。………行きましょう」


ルゴア

「あぁ。……向かいながらもう一度作戦を話すぞ。」


ヒナミ

「はい…私達に、神のご加護があらんことを…」



●間3拍



ルゴア

「武器は大丈夫か。二人共」


ミアナ

「うん…二本あるよ。私の剣とロウガさんに貰った剣。研いできた」


ヒナミ

「大丈夫。作戦通り行くわよ…最初は3人でかたまって注意しながら王の間を目指す。」


ルゴア

「対敵すれば3人で対応する。いいか?ミアナ」


ミアナ

「はい。大丈夫です」



◆SE 大砲



ルゴア

「はじまった…いくぞ」


キギア

「もぅ後ろにいるんだけどなぁ」


ルゴア・ヒナミ・ミアナ

「なっ!??」


◆SE剣交


キギア

「よく受けたなぁ。70点だ。高得点だぞ?」


ヒナミ

「くっ!…うる、さい!!」


◆SE剣弾く


ヒナミ

「ここは私が!先に行って!!!」


ミアナ

「でも!!3人で戦うって!!!」


ヒナミ

「いきなさい!!こいつは私が!!……あれ……どこにいった!?」


キギア(耳元で囁くように)

「この距離に近づくまで気づかないとは。さ・す・が。0点、だ」


ミアナ

「ぅ…あ」


ヒナミ

「ミアナにそれ以上近づくなああぁぁつ!!!一歩でも踏み込んでみろ…飛びかかるっ」


キギア

「いいねぇ。その殺気、気迫。あいつらを殺した時のようだよ」


ヒナミ

「誰の……誰のことを言ってやがるっ…だっれのぉぉぉぉぉ!!!!」


◆SE 剣振り

◆SE 剣交り(鳴り続けます)


キギア

「ほぉう?ちゃんと鍛錬は怠らずしていたようだなぁ…なかなかやるやるぅ♪」


ヒナミ

「あなたのっ!首をぉ!取れるまでっ!!攻撃はやめない!!いきなさいっミアナぁ!!」


ミアナ

「でも!!」


ルゴア

「くっ」


ミアナ

「ちょっ、離して!!お爺ちゃん!!!シスター!!!!ヒナミお姉ちゃん!!!!」


ルゴア

「許せ、ミアナ」


◆SE 走り遠のく


キギア

「私を止める作戦だったのかい?賢明だよ。ヒミナ。しかしその剣、まだ使ってんのかい?彼、から貰った……名前なんだっけ?」


ヒナミ

「うるさい……黙れぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」


◆SE激剣交


キギア

「あぁもぅ……この程度なの?さっさと終わらせてあの子狙いに行こうかしら。」


ヒナミ

「させない。戦いにくい服、ねぇっ!ひらひらひらひらぁっ!!……くっ」


◆SE派手に破れる


キギア

「恰好も何もあったもんじゃぁないな。あぁそうか…南の蛮族育ちだったなお前は。元々恰好なんて関係ない。か!アッハッハッハ!!!」


ヒナミ

「強ければ恰好もクソも関係ねぇだろ。てめぇだけはぶった斬る。」


キギア

「出たな…ヒミナ。」



◆SE足音近づく



ヤヨウ

「何を遊んでいるのですか?キギアさん。作戦と違いますよ?」


ヒナミ

「っ!?…ここに…二人、だとっ」


キギア

「あぁ?……う?………あ、ほんとだな。作戦と違うな。じゃ、こいつ頼むわ」


ヒナミ

「待て!!いかせ───」


ヤヨウ(台詞遮って)

「ふっ」


◆SE 大鎌→剣交


ヒナミ

「くぅっ!……なんて大きさ…」


ヤヨウ

「大きいでしょう?安直ですが【デスシックル】と名がついているそうで説によれば本当の死神が持っていたとか」


ヒナミ

「そんな大きな武器はね、懐に入れば無能と化すのよぉっ!!!」


◆SE 飛びかかる

◆SE 振りまわす→斬れる


ヒナミ

「ぐぅっ!」


ヤヨウ

「これの軽さは異常、あなどらぬことだよ」


ヒナミ

「うるせぇ…てめぇなんざ、あなどってしかいないよ」



●場転 間5拍



ミアナ

「降ろして……」


ルゴア

「……あぁ」


◆SEドサッ


ミアナ

「作戦と違うよ…お爺ちゃん……戻ろうよ」


ルゴア

「戻らぬ。キギアはヒナミさんに任せるんじゃ」


ミアナ

「何で!?三人で戦うって約束したじゃない…嘘つきっ!!!」


ルゴア

「わかってやってくれ……ヒナミにとってキギアは───」


キギア(台詞遮って)

「キギアは~?なんですか?え?」


ミアナ・ルゴア

「っ!?」


キギア

「あっはっはっはっはー!!なぁにその顔っ!!!そんな顔しないでよー?ここに私が居てもおかしいことなんて何もないよ?」


ミアナ

「シ、シスターは……ヒナミお姉ちゃんは!?」


キギア

「ヤヨウとお楽しみ中よ♡………だからここに私が来た。何か問題でも?」


ルゴア

「大有りだ……仕方ない。ミアナ、二人でやるぞ」


ミアナ

「…うんっ!シスターもあの人相手なら安心できる」


キギア

「相手してくれるのね…ちょっっっっとだけ、力を出すわね?2%ってところ?」


◆SE抜刀


ルゴア

「2%…じゃと」


◆SE鉄槌を取り出す


ミアナ

「そんな脅し、屈しない」


◆SE抜刀


キギア

「んー♪いいなこの感じ、久しぶりだ。じゃ、しよ?」


ルゴア

「ふんっ!!!」


◆SE振る×4


ミアナ

「でやぁっ!!」


◆SE剣交(鳴り続けます)


キギア

「ほぅほぅ。なるほどなるほど?良いコンビネーションだ」


ミアナ

「くっ!!でやぁっ!!はぁっ!!!」


ルゴア

「ふぅん!うぉぉお!!うりゃ!!!」


キギア

「なかなか。だがっ」


◆SE弾く


ミアナ・ルゴア

「ぅあ!?」


キギア

「弱い。それで全開なのかい?私は2%だぞ?」


ルゴア

「はぁ、はぁ、っはぁ……なんて奴じゃ…片腕ですべて受けきるとは」


ミアナ

「うぅ…」


キギア

「頼む。もう少し本気をだしてくれ。つまらん」


ルゴア

「くっ…もとよりこっちは全開なんじゃが……歳には勝てんか」


ミアナ

「デスタも同じこと言ってた、でも、負けられないって」


ルゴア

「そう、じゃな…仕方あるまい」


キギア

「お?本気を出してくれるか?何かある目だ」


ルゴア

「あぁ………ミアナ、私から距離を取れ。」


ミアナ

「はいっ」


ルゴア

「ぅぉぉぉおおおおお!!!」


◆SE振り回す


ルゴア

「参るっ!!!」


キギア

「来い。」


ルゴア

「全力の一撃だぁぁ!!受けてみろぉぉぉぉおおおお!!!」


◆SE振り回す


キギア

「面白い。やってみろ」


◆SE鉄が衝突する


キギア

「………こんなものなのか、全く残念だ────」


ルゴア(台詞遮って)

「二段階だ」


◆SE飛び出し→刺さる


キギア

「なっ!?……うぅお」


ミアナ

「凄い……鉄槌の中から刃が出てきた!」


ルゴア

「仕込み鉄槌ブリスディア、そういわれているな、この鉄槌は」


キギア

「ぅうう……ふふふっ。ふふ、くふははははは!!やるやる!!面白い面白いぃ!!!」


ルゴア

「かなりの致命傷と見受けるが、まだやるかの?」


キギア

「んー?チメイショウってなんだ?どれのこと言ってんの?」


ルゴア

「なっ!?刺さったはず…血はでている……傷口は」


キギア

「傷口ぃ?みるかい?ほれ」


ミアナ

「っ!?無い…確実に刺さってた……なのに、なんで?」


キギア

「くあっはっはっはっは!!!そりゃ驚くよなぁ?」


ルゴア

「貴様っ……人間だろうな?」


キギア

「んー?どうなんだろうな…私はもぅ人間じゃないのかもしらんな。……しかし…この私に傷をつけれたのは光栄に思うべきだと思うぞ?もぅ伝説級だ」


ルゴア

「……それはどうも」


キギア

「お礼といってはなんだが………ううぅ」


ミアナ

「…何、この威圧感……怖い」


◆SE 肉が動く


キギア

「っくぅはぁ……………………両手でやってやろう」




●場転 間5拍





◆SE剣交


ヒナミ

「っく!!おぉぉぉおおお!!!」


ヤヨウ

「ふんっ」


◆SE剣交


ヒナミ

「くうっ!……リーチが流すぎる……厄介だ、あの大鎌」


◆SE振る


ヤヨウ

「大きいでしょう?だからここに来たのです。ここなら柱も少なくこれを振り回すには一番の場所ですから」


ヒナミ

「なるほどっ…有利な場所でしかけたと。賢いわ坊や。」


ヤヨウ

「それはどうも御嬢様。さて、そろそろ遊びは───」


ヒナミ(台詞遮って)

「遊びはこれぐらいにしようか」


◆SE電気


ヤヨウ

「なっ!?……眼に見えるほどの雷を纏っている……なんだそれは」


ヒナミ

「今日が曇天でよかったわ、天も味方してくれている。」


ヤヨウ

「体に雷を微量に宿しやすい体質があるのは聞いたことがある……ここまで極端ではないが……雷女か、これはまた奇妙な」


ヒナミ

「【神雷】……と恐れた敵はそう言って死んだわ。元クルシアルを舐めないでくれる?」


ヤヨウ

「別に舐めてなどはいないですが。それで、その雷を纏って如何するつもりですか?落雷でも私に撃ちますか?古の魔女の真似事でもなさるのでしょうか?」


ヒナミ

「そんなことはできないわ、ただ帯電し体に流し反射速度を上げる。ただそれだけ」


ヤヨウ

「なるほど…厄介ですねぇ」


ヒナミ

「早く終わらせる。悪いが、死んで」


ヤヨウ

「断る」



◆SE ガサゴソ



ヒナミ

「ん?……マスク…なに」


ヤヨウ

「んーん?なんでしょう、ねぇ?」



◆SE パリンと割れる



ヒナミ

「っ!?自分の体に……何を………くっ、これは……毒っ!?」


ヤヨウ

「んふふっ…治療にも使われるメイカギネバユの花の粉ですよ。私は医師でもありますのでね。色々調合致しましてあの美しい花が…なんと見事な劇薬になりましたおめでとうございます」


ヒナミ

「くっ………何ていやらしく卑劣な戦い方」


ヤヨウ

「最高の褒め言葉だ。大丈夫ですよ?この毒は触れても問題ない……ただ…体内に入ると……んふふっ……肺が腐っていきますけどね。さぁ、かかってきなさい。先程のように距離をつめて…近づいてきなさい?」


ヒナミ

「ちぃっ」


◆SE走り去る


ヤヨウ

「良い選択です。さすがはキギアの元相方……さて」



●場転 間5拍




ミアナ

「……ずっと無かった……何回も確認はしてた…けど何?なんで腕が生えたの!?」


ルゴア

「……致命傷からの再生力も人間のソレではなかった……お前…まさか」


キギア

「んぁっはははははははははははは…ばぁっ!!!」


ミアナ

「ひっ…」


キギア(凄く真面目に早口で)

「私は、法を裁く世界法最高責任者直属諜報員の一人。キギア。任務は、世界に存在しているというラニアガスの種をこの世から葬りさることであります。が、とても魅力的な種であるため。私めが、きっちりと体内に回収致しまして、美味しくいただいております。はい。」


ルゴア

「……やはりか……なんたる大犯罪者じゃ。……はっ、貴様」


キギア(元に戻り)

「気づいちゃった?1つ目はクルシアルでの奪い合いを制し喰った……ひーとーつめーはーね?」


ミアナ

「………1つ目……何個…食べたの」


キギア

「4個喰った。……世界で確認されている種は全部で5個。そして最後の一つがリヴィア、ここにあると聞き遠路はるばる来たというのに喰われていた……まったくの無駄足になったが面白そうな事をしていたのでな、ネイアの味方になったということだ。」


ルゴア

「なんたる……貴様はもぅ人間ではなくなっている。」


キギア

「どういうことだい?この美しい体型、顔、声、どれを取っても人間。ましてやそこに無限の力、無限の再生力を加えてみなよぉ……新人類じゃないか!人間の新しい進化が今ここに存在している。」


ルゴア

「それはもぅ進化ではない……暴走。元の貴様はもぅいないのじゃろう…可哀想に」


キギア

「は?いますけどー?ここにいますけど?大丈夫?見えてる?おじーちゃーん」


ルゴア

「お前も……南の蛮族の出じゃな」


キギア

「っ!?…………なぜ知っている…」


ルゴア

「その頬の朱色の痣は赤ん坊のころに付けられるもの………そして、ヒナミも同じ」


キギア

「………だから…なに」


ルゴア

「妹なのじゃろ……ヒナミは」


ミアナ

「っ!?…シスターが、この女の妹?!」


キギア

「………」


ルゴア

「護ろうとしておるのじゃろ?お前の意志はそう抗っておるのじゃろう?」


キギア

「……うるさい」


ルゴア

「だから殺さなかった……妹だから」


キギア

「……おいじじい。口を閉じろ」


◆SE構える


ルゴア

「お前は殺せないはずだ、妹であるヒナ───」


キギア(台詞遮って)

「ッ黙れぇっ!!!!」


◆SE剣風

◆SE斬れる


ルゴア

「ぐぅううぁぁあああああああ!!!」


ミアナ

「おじいちゃん!!!!」


キギア

「まだ腕一本飛ばしただけだぁ………それでもまだ黙らないか?あ?!」


ルゴア

「ぐぐっぅ………ふぅぅ、ネイアに…自分を重ね、ミアナにヒナミの…姿を重ねてしま───」


キギア(台詞遮って)

「うるさい」


◆SE剣風

◆SE斬れる


ルゴア

「っぐぅぅぅうぅうううううう!?…………はぁ、はぁっ」


キギア

「右足も飛んだねぇ。まだ人間なら喋れると思うが、喋るかい?あ?」


ヒナミ

「ぅぅぅぅうううおおおおおおおおおおおっ!!!!」


◆SE剣交


キギア

「よぉうヒミナぁ…元気してっかー?」


ヒナミ

「おかげ様でぇ……よくもルゴアさんを」


キギア

「いらぬ事をべらっべらっべらっべらっ喋るからよぉ~……いつ黙るのかと思ってな~?」


ヒナミ

「くっ!!!」


◆SE剣弾き


ミアナ

「シスター!!」


ヒナミ

「無事でよかった…ミアナ。ヤヨウももうじき向かってくる…ルゴアさん……」


ルゴア

「わしは……もぅ…だめじゃろぅ……血が止まらない………ヒナミ、ミアナを連れて今すぐネイアの元に迎え。最後の頼みだ………頼む」


ヒナミ

「………」


ミアナ

「……お父様、ありがとうございました」


ヒナミ

「っ!?ミアナ?」


ルゴア

「アネミナ…ありがとう……さぁ、行け。私にはまだやることがある……」


ヒナミ

「………わかりました」



◆SE足音




ヤヨウ

「ようやく追いつけました……さて、この状況はなんです?キギアさん」


キギア

「見てわかんねぇのかよ。圧倒的優勢だよ……で、爺さん。まだ喋るのかい?その体で」


ルゴア

「………ぅぅう……お前──の──」


キギア

「声が小さくて聞こえない。なんだって?」


◆SE足音


ルゴア

「お前…たちの負け……だ………友たちよ、今参るっ」


◆SE火をつける

◆SE倒れる


ヤヨウ

「なっ!!?」


キギア

「ッ!!?これっ…は、こいつ!体に大量の爆薬を敷き詰めてやがるっ!!!?ヤヨウッ!!!!離れっ────」


◆SE大爆発




●場転 間5拍




ネイア

「凄い爆発……城全体が揺れている……」



◆SE足音



ネイア

「………来たわね…いや、よく来れたわね……ミアナ。シスター。」


ミアナ

「お父様が行かせてくれました……が……さきほど自爆しました……」


ネイア

「そう……残念ね」


ヒナミ

「ネイア…もう一度考え直して……まだ間にあう。これ以上争い失うのはやめよう?私達手を取って協力すれば…必ず平和に導ける」


ミアナ

「……お互い同じ目的なのに、変ね……どこで変わってしまっているのかしらね…姉さん」


ネイア

「もぅ後には引けないわ…そちらの兵とこちらの兵たちは勝った方にしか従わない…そういう約束でしょ」


ミアナ

「えぇ…どちらかが全滅するまでやるのが、ヘッドハンターズ」


ネイア

「そういうこと……さぁ、決着をつけましょう」



◆SE抜刀



ミアナ

「……姉さん………私からの最後のお願い…聞いてくれないかな………」


ネイア

「……なに」


ミアナ

「お願い、自らの意志を殺そうとしないで」


ネイア

「っ!?……どういう意味……」


ミアナ

「思ってもいないことを実行しようとしている。そう追いつめられているようにしか見えない……ねぇ、姉さん。私に任せて?私、強くなる、強くなるからさ…だから、無理して仕切ることもないの。だから……」


ネイア

「だめ…。もぅ、戻れないのよ、ミアナ……言ったでしょ、これはヘッドハンターズ。」



●SE足音



ヒナミ

「っ!?もぅ来たというの!?」


ミアナ

「くっ……」


キギア

「はいよお待たせ総司令殿」


ヤヨウ

「総督だ…いい加減覚えろ」


ネイア

「さっきの爆発、大丈夫だったの?」


キギア

「あぁ。下半身が吹っ飛んだぐらいで問題はないよ。すぐに治る…あのクソじじいビビらせやがる。」


ヤヨウ

「……」


ネイア

「……え?」


キギア

「それより…いよいよ全員揃ったということだぁ。楽しもうじゃぁないかぁ!」


ヒナミ

「くっ」


ヤヨウ

「殺す前に、一つ聞きたい。御嬢さん方」


キギア

「あ?」


ミアナ

「……なんでしょうか」


ヤヨウ

「コヨウという人物を知っているだろうか」


ミアナ

「っ!?」


ヒナミ

「居たわね、そういえば」


キギア

「ちっ……昔のことなんてどうだっていいじゃねぇか!未練たらしい男だなぁ!!」


ヤヨウ

「キギアさんは黙っていてください。やはりか……だれが殺した、言え」


ミアナ

「……あの時、最後に首を跳ねたのは」


ネイア

「私よ」


ヤヨウ

「っ!!?……………そう、です……か」


◆SEガサゴソ


ヒナミ

「また、マスクを…まさかっ!ミアナ離れて!!」


ミアナ

「っ!?」


ヤヨウ

「運命とは時に無常なのですねぇ……仕方ありません、ね、こればっかりは」


◆SE割れる


ネイア

「ぐっ…ごほっごほっごほ……何、これ」


キギア

「………ん…何これ、粉?なに?あんたなにしてんの?」


ヤヨウ

「私の最愛の妹を殺した罪だ……ネイア、貴女にはここで死んでいただくっ」


ネイア

「ごほっごほ……くっ」


キギア

「なぁ、おい、ヤヨウ」


ヤヨウ

「私のコヨウ、私のコヨウを…私のコヨぉぉぉおおおおおおおおうううう!!!!!よぉくもぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!八つ裂きだぁぁぁぁぁああ゛あ゛あ゛っ!!!!」


ネイア

「ぐっ!!?」


キギア

「死ね」



◆SE斬り



ヤヨウ

「こ、よ」



◆SE首落ちる




キギア

「何なの、まじで。それだけの理由で急にネイアを殺すというの?馬鹿じゃない?優秀だと思ったのにな」


ネイア

「……助かった、ありがとうキギア。…ごほっごほっごほ」


キギア

「いいんだ…なるほど、これは毒だったのか……めんどくさいな、まってろ」


◆SE構える


キギア

「はぁぁぁあああああっっ!!!」


◆SE剣風 → 突風



●間3拍



ミアナ

「……凄い……剣風だけで毒を吹き飛ばした」


ヒナミ

「キギア……」


キギア

「もぅ大丈夫だ、安心しろネイア。」


ネイア

「ありがとう、助かる」


ヒナミ

「ミアナちゃん、ごめん、決着をつけさせて……お願い」


ミアナ

「シスター………何かあるんだね。決めなきゃならないことが。お爺ちゃんも何か言いかけてた。ヒナミにとってキギアは、って」


ヒナミ

「うん、これはあなた達姉妹の戦いでもあり。私達姉妹の戦いでもある……利用するみたいでごめんね。最初はそんなつもりはなかったの……でもキギアが現れてから私は……悔しくて仕方がなかった……あの時のことがっ……」


ミアナ

「うん、それほどの思いなんだね……いいよ、行って。例えそれがどういう結果になろうとも。私は受け入れる……ヒナミお姉ちゃん、最後に…あれを」


ヒナミ

「……うんっ!」


ミアナ・ヒナミ

「…私達に、神のご加護があらんことを…」


ミアナ

「行ってらっしゃい」



●間3拍



キギア

「来たか、ヒミナ」


ヒナミ

「その呼び方、いい加減やめてくれる?ヒ・ナ・ミよ。ずっと呼んでたでしょ、あなた」


キギア

「そうだったっけなぁ?………覚えては…いない」


ヒナミ

「……?」


キギア

「なぁ、お前。ずいぶんと私に詳しいようだなぁ…私は……なんだ?」


ヒナミ

「……キギア……」


キギア

「あの種を喰いだしてからというもの……記憶や、感情が無茶苦茶になる……私という者がわからなくなる……教えてくれないか?お前」


ヒナミ

「…そう………あの時の種を奪って食べたのも貴女だったのね……そして私には知らせず逃げた、と」


キギア

「そうだと思う。今は知らない。」


ヒナミ

「もぅ、いいわ…キギア、貴女は疲れてるのよ……大丈夫、私が終わらせてあげるから」


キギア

「……ヒ、ナミ」


ヒナミ

「そう…ヒナミ。だから、おとなしく斬られて。首を落とせば死ねる。いくらラニアガスの種を食べてようとも意志の分断に再生力は働かない。大丈夫、死ねるんだよ、キギア」


キギア

「あ…………死ねる?」


ヒナミ

「うん、死ねるよ。お姉ちゃん」


キギア

「っぁ!?……………ヒナミ」


◆SE足音→抜刀


ヒナミ

「あなたの夫の剣で、首を跳ねてあげる」


キギア

「夫?……私が?……死ぬ?」


ヒナミ

「うん、おやすみなさい、お姉様。お疲れ様。」


◆SE刺さる


ヒナミ

「がっ……がはっ……何…で」


キギア

「いやおかしいだろどう考えても。なんでこの私が死なないといけない。妹?夫?私にはそんなものいない。この私を誰だと思っている。天下無双のキギア様だぞ?わかっているのか……わかっているのかぁぁぁああああ!!!!」


◆SE斬り続ける


ヒナミ

「ぃぃぃいいいいいああああああ゛!!!!」


キギア

「誰っだっお前は!!!誰だっ!!!!!!」


◆SE斬り続ける


ヒナミ

「ぅぅぁぁぁぁあぁああああああ゛あ゛!!!!」


キギア

「何で泣いているのだ!!!私はっ!!!!もぅ………シネェェェェええ!!!!!


◆SE斬り

◆SE落ちる



ネイア

「………手を切り落とし……胴を真っ二つに斬った………なんて………」


ミアナ

「………くっ……シスター…」


キギア

「はぁっ…はぁっ…はあっ……これで…死んだろ………な、なんで……泣いてるんだ私は…なんだこの感情は、知らない!いらないっ!!なんだ!?なんなんだ…いつから、こんな…私は、気が狂っているん、だ…妹を……妹…うぅぅう、うぅぅ、うぁぁぁああ!!!」


ミアナ

「……キギア……その感情は、愛と言うんだよ」


キギア

「あい?……なん、だ、それは…聞いたことはあるよ、ただ見たことが無い!意味もわからない!!なんなんだ…この眼から落ちていく水はっ……くっ」


ミアナ

「涙、悲しいときに出るんだよ……あなたの…大切な妹だったんでしょ………ヒナミは。自ら殺めてしまったことに、嘆いてるんだよ。本当のあなたが」


キギア

「そう…なのかな……」


ミアナ

「うん……絶対そう。けどねキギア…ヒナミはもぅ覚悟の上だったんだよ…あなたに変わってほしくて最後は慈愛の心しかなかった。」


キギア

「もぅ、わからない…わからないよ……私はなんなのかなぁ…見てよ、これ」


◆SE斬る→落ちる


ネイア

「なっ!?自分の腕を!!キギアっ!!!」


キギア

「ん、大丈夫だよ。見てて」


◆SE肉が動く


ミアナ

「……再生した……というか……生えた」


ネイア

「……人知を超えてる」


キギア

「気づいたら私は死ねない体だった。だから楽しんでいた。けどもぅ…世界最強はいいや…こないだ潰した国には悪いことをしたな……疲れた。……ネイア」


ネイア

「……なんだ」


キギア

「殺してくれ。こいつを使って……私の首を落としてくれ。この剣は、私の夫の…剣だ…私が愛した…男の……それを……ヒナミが…持ってきてくれた……ヒナミが…ごめん、ヒナミ……ごめん…許して…ごめん…馬鹿な姉を……アキミを許してくれ」


ネイア

「……本当に………いいんだな」


キギア

「あぁ……もぅ…何も………」


ミアナ

「キギア……いえ、アキミさん」


キギア

「あ……」


ミアナ

「待っててくれますよ、お二人とも…空で」


キギア

「うん、ありがとう。ミアナ」



◆SE斬り

◆SE落ちる



ネイア

「…………」


ミアナ

「…………」


ネイア

「私達だけに…なったわね……」


ミアナ

「うん」


ネイア

「悲しいね、この世界」


ミアナ

「うん……平和ってなんだろうね…難しいね」


ネイア

「ね……カイユ、元気にしてるかな」


ミアナ

「元気だよ、母さんと父さんと…それにロウガさんまで傍に居てくれてる」


ネイア

「うん……そうだよね。」


ミアナ

「うん……そうだよ」


ネイア

「………」


ミアナ

「………」


ネイア

「さて、そろそろ……やろうか」


ミアナ

「うん……決心は、変わらないんだね」


ネイア

「あぁ……私がこの大陸を治めてみせるよ。例え憎まれても恨まれても…平和にしてみせる」


ミアナ

「そっか……あのね、今はなんとなく…お姉ちゃんのその気持ちがわかる気がする…けど、私も負けられないよ、皆が作りあげてきたこの場。しっかりとケジメはつける。中途半端な気持ちだったら皆の覚悟を無駄にする。私は決めたの。もぅ迷わないよ」


ネイア

「……立派だよ………なぁ…お互い一撃で決めないか…アレで」


ミアナ

「うん、私もそう思ってた。さすが」


ネイア

「誰の姉と思ってるの……………………………ミアナ」


ミアナ

「ん?」


ネイア

「今までありがとう…さようなら」


ミアナ

「……さようなら、姉さん」



◆SE足音




ネイア

「構えて」




◆SEカチャ

●間3拍



ミアナ

「見て」




●間5拍




ミアナ・ネイア

「ぅぅぅぉぉぉぉぉおおおおおおおおお゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」


ネイア(小さい声で)

「愛しているわ」


ミアナ

「っっ!!?」



◆SE斬れる

●間3拍

◆SE落ちる



ミアナN

最後の斬り合い、私は斬る刹那に見た……姉さんは…


剣を抜いていなかった。


それと…………………笑顔で私を見て呟いた。……愛しているわ……と



●間3拍



ミアナ

「ぅうう……うっぅ…うぁ、うぁぁあああああああああああんん!!うわぁぁぁぁぁあああああああああああああんんんん!!!」



●間5拍




ミアナN

戦いは………終わった。私達の姉妹の戦争は、ここで幕を閉じた。




●場転 間10拍



ミアナN

そして、5年の年月が過ぎた………



ミアナ

「父さん…母さん…カイユ……始まりも終わりも……結局これだったよ」



◆SE長い足音



ミアナ

「やるよ。姉さん……また始まりから」



◆SE大歓声



ミアナ

「(大きく息を吸う)」


ミアナ

「これよりっ!……第一回ヘッドハンターズ世界大会を始めるっ!!!平和の為に!我国を護りたいと思う正義を剣に乗せ!!!首を狩れ!!!!」



◆SE大歓声


●間5拍



ミアナ

「首狩りこそ、生きるということ」














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LIVING BY NECK HUNTING SISTER WAR SEN @sensensenkou

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