第二話 到着 前編

〜帝国議会〜

「アルファスト王国までいけるのか?」

外務大臣の村雨がそう発言した。現在扶桑帝国議会ではアルファスト王国への捕虜返還、使節団の派遣が検討されている。

「可能です。場所は旧ハワイから南南西150kmですので」

「原子力潜水艦や原子力空母は使わないのか?」

「ええ、そこまで距離はないのではいらないと判断しました、よって通常空母と駆逐艦、通常型潜水艦、揚陸艦と補給艦で出港します」

軍務大臣の赤城が答えた。

「だが派遣しても大丈夫なのか?いくら国が奴隷を禁止にされているとはいえ、実際裏ではあの子のような奴隷がいるのではないか、隊員が誘拐でもされたら」

「そのための陸軍特殊作戦群だよ」

赤城が自慢げに言った。


ことの発端は数週間前…



〜駆逐艦 会議室〜

「アルファスト王国とはどのような国でしょうか」

艦長である一宮がそう発言した。一宮の記憶上そのような国は聞いたことがないのだ。

ほかの幹部や立入検査隊員もわからないよう

「アルファスト王国は科学と魔術が組み合わさった国です。もともとは絶対的魔法主義でしたが、クーデターが起こり現在のような感じになりました。」

アルシアはそう言うが、扶桑帝国側は全くわからない。

扶桑帝国やその他近隣国は魔術や魔法という概念は空想上のものと考えているからだ。

「魔法って空想上のものじゃないんですか?」

「空想上?そんなことありません、あなた方だって魔術は使えるでしょ?」

「いいえ、私たちや我が国は魔術というものを使えません、まず魔術や魔法は空想上のものと考えています。」

「うそ!?」

アルシアは驚いていた、魔術国側は全ての国の国民が大多数で魔術を使えると考えているからだ。

「一度本国へ帰還しましょう」

黒瀬がそう言った。

「そうだな、アルシアさん、これから本国へ帰還いたします。それまで一ノ瀬さんと部屋で待機してください」

「わ、わかりました」

「それじゃ、案内するね」

一ノ瀬が案内し

「ここで到着までいよっか」

「はい」

「いきなりこんなところにきて怖かったでしょ?」

「…はい」

「そりゃあそうよね」

「休む前に、何か聞きたいことある?」

「えっと、一ノ瀬さんのことを知りたいんですけど」

「私?」

「はい」

「そうだなぁっとその前に、これからは遥って呼んでね」

「わかった、遥」

「それじゃあ、なにから話そっかなあ」

この会話は数時間続いた



7月24日 扶桑帝国 横須賀港



「すごい…!」

アルシアは横須賀港を見てそう言った。アルシアがいた国はここまで栄えておらず、建物もこんなに立っていない。

そして1番驚いているのが

「なにこれ、すごく大きい…空母?でも形が違う」

すぐ横で止まっている加賀型航空母艦である

全長320mで原子炉2基、ディーゼルエンジン2基を推進システムとして導入している大型の空母艦である。

魔術国側にも空母はあるのだが、最新式で複葉機、主流はワイバーンで空母自体も一部を除いて木製で作られている。

第二次世界大戦の航空母艦を想像すればいい。

「加賀型航空母艦です、全長320mで我々扶桑帝国でも最大クラスの空母ですよ」

一宮がそう答えた

「すごい!私がいた国では飛龍空母で250mぐらいですから」

「飛龍?」

一ノ瀬がそう言った

「飛龍を知らないんですか?」

「一応知ってるわ、アニメとか漫画とかで…あ、それもわからないんだっけ、お伽話みたいなものよ」

「へえ、そうなんですか、魔術国は飛龍や赤飛龍や青飛龍、ワイバーンなど様々なものがあります」

「すごいな、本当にファンタジーみたいね」

一ノ瀬とアルシアが仲良く会話していた時

「アルシアさん、そろそろ外務省の方が到着しますので準備をお願いします」

黒瀬がそう言い

「わかりました」

アルシアがそう返事した


数十分後


港内に黒い車が現れ、そこからスーツ姿の女性が現れた

「初めまして、外務省から派遣されました、鈴木 はなねと申します」

「初めまして、アルシアといいます」

「アルシアさんはまずホテルで一泊していただき、翌日東京という首都に行っていただきます」

「わかりました」

「一ノ瀬さんにも同行してほしいとのことです」

「わかりました」

「それでは行きましょう」



7月24日 横須賀 ホテル

「広い!」

アルシアと一ノ瀬は横須賀にあるホテルにいた

室内は広く、アルシアは子供のようにはしゃいでた

「もう、走っちゃダメだよ」

一ノ瀬がそう注意する

「はーい」

走ることをやめ、ベットにダイブをした

「ふへぇ」

「アルちゃん、そんなだらしない声を出さないの」

アルちゃんとはアルシアのあだ名である

「いいじゃーん」

「はー、ご飯食べてお風呂入ったらすぐ寝るよ、明日早くに出発するんだから」

「わかった〜」

アルシアはものすごくのんびりしている

「これ明日大丈夫かしら」

「なんとかなるでしょ〜」

「まあ、明日は新幹線で行くからなんとかなるか…なるわよね?」

これからのことが心配になる一ノ瀬であった


一宮達side

「さてと、とりあえずこの捕虜らをどうするか」

一宮がそう言う

「捕虜収容所に移送ですかね」

隊員が答える

「黒瀬、回収部隊に要請してくれ」

「了解」


続く

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