カン・ジ・エンプティはまた負ける
あきかん
イントロダクション
俺の名前は、カン・ジ・エンプティ。
どんな物語にも出てくる端役下役やられ役。勝負の場では負けるのが俺の役目だ。じゃんけん、コインの裏表、トランプ、ギャンブル、殺し合い。全ての勝負に負けてきた。それでどうして生き残っているのか、だって?悪運が強いからさ。この頭に埋まっている弾丸も勝負に負けた勲章だ。
今度の勝負は負けたら困る?知らねえよ。それはそちらの事情だろう。俺以外にも雇ってんだろ。本命はそいつらに任せろよ。俺に任せられてもな、どうせ失敗するのが目に見えている。まあ、時間稼ぎぐらいはしてやれるから安心しろよ。前金分は働くからさ。
はぁ、胡散臭いか。よく言われる。こんな格好だしな。しなびたワイシャツ。茶色のチョッキベストに灰色のパンツ。頭にカーボーイハットを被ったこの服装は、個人的には気に入っているが、よく時代遅れのカーボーイスタイルだと揶揄される。形から入るのが重要だと俺は思っているので、他人に言われて格好を変える気持ちもないのだが。
あいつにも馬鹿にされたな。見た目も言動も軽いってよ。話がそれたか。俺が何でエンプティと名乗っているかだったよな。まあ、単純な話。あいつに「貴方は空っぽなのよ」と言われたからだ。だから、自分でエンプティなんて名乗っちゃいるが、それも俺が決めた事じゃないんだよ。お似合いだろ。
ものはついでだ。あいつの話をしようか。お前さんもあの事件を何処かで聞いて俺に依頼をしたんだろ。マフィアとの一騒動を。なら、当事者であるところのカン・ジ・エンプティ様が直々に事の顛末を話してやるさ。時間ならあるだろ。それにそんなに長い話でもない。メインの登場人物はたったの二人。あいつと俺だけ。堕落した女と空っぽの男の逃避劇。面白いかどうかは保証しないがな。
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