第2話 事件の予感! 全てはここから始まっていた
◾隆臣
神田明神の火災はニュース速報になり、都民を不安のスパイラルに招くことになった。
そして凛とジョーカーは帰りにひったくり犯の男をとっ捕まえてきたらしい。お手柄だけど、やっぱり変な事件に巻き込まれちまってたな。
翌日。俺、エース、凛、ジョーカーは神田明神へやってきた。
凛とジョーカーは神田明神参道入口にある
凛の父である
最初は嫌々やっていたが最近は熱を入れて仕事に取り組んでおり、神田明神の方でも巫女として助っ人もしている。
かわいい双子の巫女がいるということで、ひそかに秋葉原のオタクたちの人気を集めたりもしている。オタクは基本ロリコンだからな。知らんけど。
ジョーカー曰く、オタク共の見る目が気持ち悪かったから罵ったのになぜか感謝されたんだとか。まあオタクは特殊だし、しゃーない。
「御神体は本殿の地下にあるんです。わたしもジョーカーも見たことはないんですが」
と、凛。
そして今日は神田明神の地下にあるとされる御神体を回収しに来たのだ。
どうしてこんな危険な場所に年端もいかない凛とジョーカーが来ているのか。それにはちょっとしたわけがある。
ここの神主がどうしても凛とジョーカーに御神体を見せたいと言ったからだ。
2人で行かせるわけにはいかないので、俺とエースも同行してるってわけだ。
規制線が引かれており、ここにいるのは俺たち4人だけ。もちろん警察や消防に許可をとってこの場にいる。
肩甲骨まで伸ばしたつややかな白銀の髪の毛をツインテールに束ね、赤い宝玉のようにきれいな瞳を持つ小さくてかわいらしいこのロリっ子の名前は
コスプレのような髪の毛と瞳だが、髪の毛は地毛だしカラコンをつけているわけでもない。
つんつんまつ毛も白銀色で、肌も日本人にしてはかなり白い方だ。イメージカラーは間違いなく白だな。
凛はジョーカーやエースとともに台東区にある東京魔術大学附属学園の初等部4年に所属している。
凛の父である和也さんは東京魔術大学――通称
凛は極めて秀才で運動神経も抜群で礼儀も正しく、楽器も才能に溢れておりなおかつ初等部のミスコンでジョーカーとともに2年連続グランプリに輝くほどの容姿の持ち主なのだ。いわゆる非の打ち所のないパーフェクトガール。
その多彩さを評価され、学園初等部のホームページではトップ画面に写真が掲載されていて、初等部の看板娘的な存在となっている。
でも家では至って普通の女の子だから、そのギャップがまたかわいいんだよな。
俺とエースは先導する凛とジョーカーに着いていく。
鉄筋コンクリート造なので跡形はあるが、かつての立派な本殿の光景はもうない。
「それじゃあさっそく作業に取りかかろうっ!」
「そうだな」
エースに俺が頷くと、
「でもこの瓦礫……どう退かせればいいのかしら」
と、ジョーカーがつぶやいた。
「大丈夫! 私の能力ならなんとかなるよっ」
エースが薄い胸を張って言った。
すると俺の隣にもう1人の俺が現れ、それに続いてもう何人もの俺が出現した。
この世界にはガイストというものが存在がする。
ガイストとは、特殊な能力を持つ守護霊のようなもので、それを保有する者をガイスト使いと呼ぶ。
ガイストは誰しもが持っているわけではないが様々な個体がいるのが特徴で、1人につき1人だけ保有することができる。
名前の由来はガイストの使う能力がまるでポルターガイストのようだからというところからである。そしてガイストは例外なくロリっ子だ。
俺と凛はガイスト使いだ。俺のガイストがエースで凛のガイストがジョーカー。
ジョーカーは凛と容貌が非常によく似ていて、髪の毛の色を白から黒へ、瞳の色を赤から水色にしたような見た目で、一卵性双生児と間違われることが多々ある。真っ黒な髪の毛が印象的なので、イメージカラーは凛とは真逆の黒だな。
そして俺のガイストたるエースのガイストとしての能力は対象人物の身体能力を強化したり対象人物の分身体を作り出すことである。
エースはそれを利用して俺の分身体を何体かつくり、身体能力を底上げして分身たちに瓦礫をどけてもらおうとしているのだ。
「今回はわたしの出番はなさそうね」
ジョーカーは空中で腕と脚を組みながら言った。
おっと危ない。空中で脚を組んでるもんだから短いスカートの隙間からジョーカーの秘密の白い布が見えてしまうところだった。
ガイストは霊体と実体の2つの特性を併せ持っており、実体があるのに幽霊のごとく浮遊することもできるのだ。ちょうど今のジョーカーのように。
「2人とも危ないから下がってて」
俺の言葉で凛とジョーカーは瓦礫のそばから離れてくれた。
分身が瓦礫の撤去を行った後、俺は地面に金属製の蓋のようなものを発見した。ここから地下に行けるみたいだな。
「じゃあ中に入って御神体を回収しよう」
エースはそう言って分身体をすべて消した。
俺が鉄製の蓋を開けると、その下は黒洞々としていて地下へと続くはしごが見える。
「暗くて下が見えないわね」
ジョーカーが言うと、エースは地面に落ちている石ころを手に持って、穴の上でそっと手を離した。
少しして石ころが地面と衝突した音が反響して聞こえてくる。
「深さはだいたい17m。結構深いね。まずは私が降りるよ。下に着いたら合図送るから、そのあとに2人はジョーカーと一緒に降りてきて」
と言ってエースはポケットからスマホを取り出し、懐中電灯機能で下方を照らしながら浮遊能力を利用してゆっくりと地下に降りていった。
しばらくして、
「いいよー!」
エースのかわいらしいソプラノボイスが聞こえてくる。
その声を聞いてまずはジョーカーが穴の中に降り、続く俺と凛の足元をスマホの懐中電灯で照らしてくれる。
「こ、怖いですっ……」
凛の声は震えている。相当怖いんだろうな。
「あんま下見ない方がいいよ」
と、上を見て凛にそう伝えた瞬間、
「うおッぶね!」
俺は足を踏み外してしまった。
その理由は単純だ。上を向いたとき、凛の短いスカートの間からちょうど水玉模様のかわいらしい秘密の布が目に入ってしまったからだ。
凛は9歳で歳の離れた妹のように思ってきたけど、やっぱり他人なのでどうしても驚いてしまった。
「大丈夫ですか隆臣?」
「う、うん。大丈夫大丈夫」
俺はそう返事して煩悩を振り払い、まっすぐ前だけ向いてはしごを降りることにした。
To be continued!⇒
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