第185話 暗い祝勝食事会

信治達はドワーフ達との死闘を終えて、クールダウンしてから、食事会を開いている。

食事会の様子は一部を除いて暗かった。大量得点を取っての二連勝をしたチームとは思えない暗さだった。優勝すると言う事への重圧と混沌の勢力との試合だったからだ。混沌の勢力の中心の選手は、魔族と呼ばれるもので知性、発想力、技術、フィジカル全てを取っても人間の条件を超えている。また翼と美しい二つ角を持っている。

とてもエレガントで美しく、当たりの激しいプレッシャーをかけて来る泥臭いサッカーもする。

またゴールキーパーは百椀巨人のへカントンケイルだった。勝てるのかと言う疑念がチームを覆っている。円達は信治が優勝してMVPを取れば、その褒美としてなんでも願いが叶うと言われているので元の世界へ戻る事を願うのでは言う不安を抱いている。そして、次の試合まで間が無とていので、アルコールは出されていない。

費偉将軍は言う。

「この食事会と主審時間の22時まで自由時間とする。サッカーの事はとりあえず忘れてリフレッシュして欲しい」

「ねぇ、信治さん、今晩は出かけないかな?」

ナターリアが言う。

見上げる様な視線で信治を見て来る。

信治は全く暗さを感じていなかった。

「どうしたのかな?ナターリアさんは不安があるのかな?」

「ナターリアちゃんずるいよ。信治さんは私とお姉ちゃんでお話するんだから」

「そうよ。ナターリア。その信治君にいろいろ聞きたい事もあるしね」

「それはずるいですよ。環さん、円さん。私もお話したいです」

「ナターリアは信治さんがファンタジスタにならない様にナターリアの初めてを上げるだけだよ」

「こらナターリア。体力を消耗する様な事をして、優勝を逃したらどうするの!少しでも回復に努めないといけないのよ」

「うん。だからポテトチップスを食べても良いんだよね。信治さんも食べよう。岩塩とのり塩とうす塩どれが好きかな?」

「円は食べない。この祝勝の食事会だから、まぁ食べても良いわよ。聞きたいんのだけど信治君は優勝して大会MVPを取ったら何を願うのかしら?」

「僕が大会MVPとかありおませんよ。サイドバックですしね」

「得点のほぼ全てに絡んでいるのだから大会MVPの可能性は高いわよ」

「うちのチームはほぼゴールを得ている人は横並びだしね」

「無失点を続けているジェシカさんの可能性もありますよ」

「そうよね。信治君は守備と攻撃の起点になっているから、信治君かジェシカのどちらかよね」

「でも信治さん、MVPを取れば、何を願いますか?」

真剣な表情で雪が信治に問う。

「・・・分かりません。今この瞬間を楽しんでいますから。永遠に続けばいいなとは思います」

「信治君らしいわね。でもそれはこの世界では許されない事なの。サッカーに悔いを残して死んだ人がサッカーに救済されて、天国に行くための場所と言われているの。映研に続けば良いと言う願いは却下されるらしいわ。元の世界には戻りたくないのかしら?」

「元の世界もつまらなかったので、この世界に来たのだと思います。今は優勝したいです。みんなと一緒に。」

「信治君らしいわ。そうね。勝ってから考えましょう」

「ナターリアの願いはいつも一緒だよ。きっと永遠はあるよ」

「私は信治さんと同じフィールドに立ちたい」

「信治さん、次の試合もよろしくお願いします。それで魔族の特性をお話します。ほぼ全ての得点に絡んできた信治さんはかなり強いマークに合うと思います。信治さんをマークしながら環さんがいるサイドで試合を作るかもしれません。試合に参加させないと言うシンプルな作戦を取るかもしれません。混沌と言う通り、戦い方を試合中に進化させていきますからね」

「雪さん、その辺りの話を聞きたいです」

「おい、信治。そのテーブルだけで盛り上がっていなくて、スピーチしてくれ。葬式みたいな食事会はこりごりだし、フィールド上でいないとどうもやりにくい」

「僕ですか?こう言うのはアレックスさんやパウロジュニアさんで無いと説得力が出ないと思いますよ」

「良いや、信治君に頼みたい。私が転生する前はどうも国際大会の試合結果とは縁が無かったらしい。ジンクスさ。アレックスも苦手と言っているし、信治君頼んだ」

パウロジュニアが言う。

「分かりました。皆さん、サッカーは好きですか?苦しい局面でも楽しめていますか?大量得点を上げて、上手く試合が運べている時も楽しんでいられますか?この世界でのプレイはprayすなわち祈りを捧げよですが、混沌軍との戦いはplayしましょう。苦しい局面が続くと思いますけど心のどこかで楽しみましょう。さぁアレックス。閉めてください」

「最後に振るなって。まぁ良いだろう。最後の混沌勢との戦いに勝って女神杯を優勝しよう。必ず勝とう。」

「おう」

力強い返答が食事会を包む。

ようやく信治は食事を楽しめるのだった。 

                                   続く

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