第9話 スキル発動!! 走って正確無比なクロスを上げます
試合が始まるとゴブリンのフォワードたちは一度ダブルボランチに一人にパスを回した。そこからゴブリンたちに取っての右サイド、僕とマッチアップするゴブリンにボールにパスを出した。
信治は即座に右サイドハーフのゴブリンに詰め詰め寄りパスをカットする。狙っていたプレーじゃないけど、信治は簡単に読めて取れたなと思っている。信治は自分でも信じられないと思う気持ちだった。そして信治には王子が寄ってくるのが見える。
ここまで冷静な自分がいると信治は信じられなかった。だけど体は軽く視野は広い。
「パスを回すんだぉー」
王子が言っているが信治は無視をする事にした。
一度試してみたと思ってたドリブル突破を仕掛ける事にした。信治は学生時代にした事も無いプレーだ。
ボールを奪い返そうと、ゴブリンの右サイドハーフは詰めてくる。
「早くボールをまわすんだおー。リズムが崩れるぉー」
「簡単には抜かせないぜ。殺す」
ゴブリンは叫んでいた。
信治とゴブリンは王子の声を聞く。
そして、サイドハーフのゴブリンは、王子とアレックスの位置をも見て、少しパスコースを消しに来るような動きを見せる。
そこだ。
信治はそれを待っていた。
サイドラインとゴブリンの右サイドハーフの間に、隙間ができる。
その間を取って、ゴブリンの右サイドハーフからから遠い左足で、ドリブルを始める。
信治はゴブリンの右サイドハーフ簡単に抜き去る事ができた。
その様子を見て、あわてた感じでホブゴブリンの右サイドバックが出てくる。ご丁寧にホブゴブリンの右センターバックがパスコースを消してくる。
それを見た信治は学生時代に覚えた切り返しフェイントでゴブリンの右サイドハーフを抜き、シュタールの背の高さに会った、クロスを上げようと思う。センターバックらしくゴブリンたちの中では高い身長で170cm前後である。シュタールは160cmなので高さが会えば、高低のギャップができて、処理をしにくいはずだと思う。
頭の中に文字が浮かぶ。
スキル発動;切り返しの貴公子
ゴール側に行くと見せかけて、そのままゴブリンのサイドバックの左側を抜けていく。
中をも見る余裕があるなんてびっくりだと信治は思っていた。
シュタールが走りこんで来てる。
完全なマイナス角度のクロスを上げられる。
クロッサー;発動
また脳内に文字が光る。
リズムゲームのカットインみたいで正直面倒くさい。
だけど、人生の発クロスで、これほどに正確に蹴られると言う事は無い、正確無比な早いクロスボールを蹴っていた。
一瞬、ゴブリンたちの時が止まる。
あわてて動き出したことには遅かった。
シュタールはダイビングヘッドを決める。
僕の方を見ていたゴブリンのゴールキーパーと左センターバックはシュタールの存在を感じていなかった。
たやすくゴールネットにボールが吸い込まれていく。
僕がゴールを見る頃にはゴールネットにボールが包み込まれている所だった。
むぎゅ
後方と右腕に柔らかいものが当たる。
「やりましたね、信治さん」
「信治やるね。格好良いよ」
信治のサポートにサイドバックの位置から上がってきた雪とペナルティエリアの前まで出て来たナターリアに信治に雪とナターリアが抱き着いていた。
柔らかい胸をしていた。
サッカーの試合ってこんなに良い物ってないんだなと二人の胸の感触に恥じらいを感じながら信治は思う。
そんな時だった。
「ぴ-」
ゴブリンの審判の笛が鳴る。
そして誇らしげに言った。
「残念だなぁ。あのドワーフの位置はオフサイドだ。まだまだま時間があるぎゃ、人族どもを根絶やしにするぎゃ」
オフサイドになったが信治はすごい興奮していた。こんなプレー、スマホゲームでもした事が無い。びっくりだ。
「オフサイドはおかしいよー」
「シュタールさんの位置は完璧でしたよ」
雪とナターリアは抗議の声を上げている。
「仕方ないよ。主審の決定は絶対だからね。今のはオフサイドみたいだから、ポジションに戻ろう」
胸の感触に耐えられなかった信治の精一杯の抵抗だった。
これがサッカーの楽しみなのだなと信治は思う。
何度だって駆け上がってやる。
そう心に決める信治だった。
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます