聖天魔物語 ~この厳しく残酷な世界を癒しで救う聖女~
江戸ノ地雷屋
第1章 見習い聖女と人間不信の魔獣
プロローグ
この世界にはニ種類の人間が存在し、それぞれ二つの大国に分かれて住んでいた。
一つは“
しかし、帝国の人間達は“
こうして二大国の戦争は回避されたが、
これから
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一面は
その中に空を飛び、背中に白く輝く翼を持った黒い長髪の女性と
怪物の鋭い牙を生やした巨大な
「……君‼ もう
黒髪の女が吐き出された炎の音に
『
黒き怪物の怒りと憎しみを
怪物の熱を
黒髪の女は白い翼の左の片方を大きくさせて巨獣の爪による攻撃を受け止めた。
『俺ハ人間ヲ
怪物が体から周囲の空気を歪(ゆが)ませる
凄まじく
全てを吐き終え、黒炎が消えた後、黒髪の女の体は残っていた。だが、体の
女の白い翼は雪で出来ているため、体を
(……
(私じゃ聖女の力を完全に出す事は出来ない……。今の私なんかじゃどうすれば良いのか分からない……。私は成り
高熱を
彼はあの日に起きた事件から変わり果ててしまった。
彼女も守るべき
(あの時だってそう……あの時、私が彼を怖からず、手を差し伸べて止めておけばこんな
彼女が後悔の念に沈んでいると突然、脳内に彼を止める
(もう…これしかない!)
彼女は思い出した術を使えばどうなるか知りながらも彼のために使うと決めていた。
彼女の雪で出来た白き翼をはためかせては風を起こし、雪を飛ばし、怪物の巨体をも吹き飛ばす程の吹雪と化した。
巨獣は凄まじき吹雪に押され、広大な
吹雪の勢いは止まらず、巨獣を回り囲んで竜巻となり、沈んでいく体を雪で
黒髪の女性が吹き荒れる雪の竜巻の中を平然と進み、白に染まっていく黒き怪物の顔に近づき、細い手が怪物の顔に触れる。
「……君……一緒に眠りましょう……」
そして、
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
むかしむかし、あるところに生まれた国ではたいへんめずらしい赤い目をもったひとりの少年がいました。
その少年の心は優しいがとても弱く、怒りっぽいが泣き虫でした。
まわりの子どもたちは彼の赤い目と反応をおもしろがって少年を毎日のようにいじめました。
そのため、少年の心に闇がめばえ、背が大きくなるとともに闇も大きくなっていき、人をうたがうようになりました。
そして、ある日におきた二度のケンカによって少年の心の闇が炎となり、自分の親をふくめたすべての人間を信じなくなった時、赤い悪魔があらわれ、彼にささやきました。
『お前のもつ”大切なもの”を捨てろ。そうすればお前に人間以上の力を与えよう』
少年は答えました。
「良いだろう。こんなもの、邪魔なだけだ。捨ててやる」
こうして”大切なもの”を捨てた少年は赤い悪魔によって誰もが恐れる魔獣となり、自分をいじめた子どもに仕返しをした後、世界中の人々を滅ぼそうとしました。
のちに聖女の力を目覚めた幼なじみの
そして、二年の月日が流れました。
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