04

町の広場 朝

マリアは辺りを見回す。

町人1(女)がマリアの目の前を通りかかる。


マリア「助けてください」

町人1(女)「どうしたの、そんな恰好で。大丈夫」

マリア「……司祭様に……強姦されました」

町人1(女)「そんな……まさか、あの司祭様が。本当に」

マリア「本当です。本当なんです」

町人1(女)「司祭様が……強姦だなんて」


町人(男)二人が通りすがる。


町人2(男)「司祭様が強姦だと!? そんなのは嘘っぱちだ! みんな! この修道女は司祭様を冒涜したぞ! なんて女だ!」

町人3(男)「こいつは阿婆擦れだ! お前は修道女じゃねえ、修道女の服を身にまとった娼婦だ! そうに違いねえ! 司祭様を陥れようとしたんだが相手にされず、腹いせに出まかせ言ってんだ!」

町人1(女)「ちょっと! この子がそうだとは到底思えない。こんなに怯えて泣いているのに!」

町人2(男)「黙れ、女め! 女はすぐ嘘をつく。すぐに泣く。お前もこの娼婦と同じ嘘つきだ!」

町人3(男)「そうだ、女の言うことは信じられねえ!」

町人2(男)「みんな、集まってくれ! この修道女はあの司祭様を強姦魔とののしる不届き者だ! こいつはまさしく魔女に違いない。男を陥れる魔女だ!」

町人1(女)「違う、言いがかりはやめて!」

町人2(男)「黙れ、黙れ! 魔女の肩を持つのか。お前もこいつと一緒に火あぶりにされたいのか!」


マリアはひどく怯え逃げようとする。


町人3(男)「おい! 魔女が逃げるぞ! 逃がすな、捕まえろ!」


周囲にいた男たちがマリアを取り押さえる。

マリアは恐怖で硬直する。


町人1(女)「その子を離して!」

町人2(男)「火あぶりだ! 油を持って来い!」


兵士(男)ふたりが登場。


兵士1(男)「騒がしい、なにごとだ」

町人2(男)「魔女です。この女、司祭様を誘惑しようとしたけがらわしい魔女です」

町人1(女)「違います! 魔女なんかじゃ」

兵士1(男)「黙れ! 女は黙っていろ!」


兵士2(男)はマリアの顔をまじまじと見る。


兵士2(男)「ほお、こいつが魔女とは。炭にするにはもったいない女だな」

兵士1(男)「悪趣味だな、お前はまったく。この女の身柄は我々が預かる。さあ、よこせ」


男たちは兵士にマリアを引き渡す。


町人3(男)「そいつをどうするんだ」

兵士1(男)「お前たち下賤には関係のないことだ」

町人1(女)「待ってください! ちゃんとその子の話を聞いてください」

兵士2(男)「なんだお前は。こいつと仲良く拷問でも受けたいのか」

町人1(女)「いえ……」


マリアと兵士(男)ふたりが退場。


町人2(男)「けっ、ふてぶてしい野郎め。礼のひとつもなしかよ」

町人3(男)「ちょっと地位が高いだけで偉そうに。虫唾が走るぜ」

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