私の名は

勇華

01

修道院 

ミサ。中央に司祭(男)、左右に修道女と修道士が並んでいる。


司祭(男)「ノーの遺言、第4章2節、『NOという言葉には強靭な力が宿っている。YESは服従の言葉である。人はYESを求めて問いただす。人はYESを求めて甘言をろうする。YESと言うのは易き道。NOと言うのはかたき道。NOという言葉はなんじを強くし自由を与えん』 我が子たちよ。なんじは親を失い、あるいは親に見捨てられた迷える子。しかし、決して孤独ではない。ノー様が見守り道を示してくださる。されど世は誘惑で溢れかえり、なんじをそそのかす不徳の者たちは良心の皮をかぶり甘い言葉をささやいてくる。YESと答えるのは易き道、その言葉と引き換えに自由を支払う。NOと答えるのはかたき道、それはまさしくノー様が記した正しき道。案ずるな、辛い道のりの終着には必ずや自由と祝福が約束されている。ノー様のお導きに」

一同「ノー様のお導きに」


修道女と修道士が退場。


司祭(男)「マリア、日が沈んだら私の部屋へ来なさい」

マリア「はい、司祭様」

司祭(男)「大事な話がある」

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