藤の花のひとりごと
天乃三葉
第1話
藤の木になって、樹齢200年は越えたらしい。
初めに意識を持ったのはいつだっただろうか。
色々な生き物の声がわかるようになった。
彼らは色々な情報を与えてくれた。
特に鳥達は色々なところを見ているので、広範囲の情報を持っていた。
どこぞの藤が神になった。
どこぞの藤は重い病気になって助からないだろう。
どこぞの藤は人間の手によって伐られてしまった。
など、藤達の情報も知ることが出来た。
どうやら、樹齢数百年となって来ると、神扱いされる場合もあるようだ。
神とはどんなものなのだろう。
物知りの梟が言うには、人間の願いを叶えるものらしい。
人間は願いを叶えてもらう為に色々な品を持って来る。
人間のことはいまだによくわからない。
ここは人里からだいぶ離れている。
滅多に人間が来ることはなかった。
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