第10話 彼の仕事納め

 狐は、見つかったらしい。

 これで、潜入の仕事は終わり。最後になる。


「まだ全員来てないけど、とりあえず乾杯」


 学生仲間のビールジョッキに、おちょこをぶつける。形だけの乾杯。

 ここで、自分は死ぬ。狐に毒を飲まされて。

 狐というよく分からん目に見えないものを探し出すのは、大変だった。だが、それも終わる。この裏で、秘密裏に自分の仕事仲間が狐を狩る。

 そして、自分は。

 うまくやって、仕事仲間の助けが入る前に。狐に殺される。そういう筋書き。

 ようやく。

 ようやく死ねる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る