第11話「おれ、2日目にして嫌われ役」
「……………………は?」
この子、こんなこと言うような性格してたの?てっきり長◯雪さんみたいな読書好きの喋らない人かと………。
「…は、羽咲さん………小南、どうしたんでしょう?」
「…………ま、まあ!女の子はいつ何時にどんな変化が起こるかは分からないからね!」
「……………………」
ずっと黙られても困るなぁ。聞いてる感じ元々はこんな性格じゃないみたいだし………。
「き、急にどうしたんですか? 女の子が好きかっていう質問にはノーコメントにさせてもらいますけど」
「…………だ、だめ…………」
何でだよ。これ本当のこと答えたら殺されるかな?
「…………女の子は好きではないですよ」
「え………?」
「え?」
「………き、嫌いなの?」
上目遣いで言われたら嫌いとは言えないです。
「き、嫌いでもないですよ。中間です中間。それよりも急にどうしたんですか?」
「………………………」
黙った。マジで何なんだよ。美坂さんってこういう人だったのか?今まで異性との接点が無かったから本当の性格を隠してただけとか?
「……………っ!」
「えっ、ちょっと!」
急に走り去っていった。何だったんだ?
「行っちゃった………。し、深奈君、もしかして小南ちゃんに何かした?」
「話すらしてないですね」
昨日の今日で女の子が好きか、なんて初対面の人に聞く人、そうそういないぞ。
「……………あ」
「どうしたの?」
「美坂さんってああいうこと言わない人なんですよね」
「そうだね」
「……では、誰かに言わされたとかは?」
そう。例えば椿さんとか。
「………それしかないね」
「君にしては素晴らしい推理だね」
でも何の目的で?
「あと神田君。さっき小南が質問し返した時少し間があったけど、あれは何?」
「…………なんでもないです」
「…………………………ロリコン」
「ひぃ…………!」
そのあとは学校の説明を聞いて午前中は終わった。昼ご飯の時、美坂さんもいたが特に何も喋ることなく、食べ終わったらすぐに自分の部屋に戻って行った。
朝のは何だったんだ………。
午後は特に用事もなく、自分の部屋でゴロゴロしていた。気がついたら寝ていて、起きたら6時ごろだった。
(やばっ!晩ご飯作らないと)
俺は急いでリビングへ向かいドアを開けると………。
「「「……あ…………」」」
「え?」
そこにはみんないた。でも少し様子がおかしい。全員こっちを見て『やらかした…』みたいな顔をしている。ほんのり頬が赤い。
「ええっと、すいません。今まで寝てしまっていて。今から晩御飯つくりますから」
「ああ!そうね。おお、お腹すいちゃったなぁ」
「う、うん」
「っ!っ!」
「ね、寝てたなら仕方ないわね!寝てたなら。つ、次からは気を付けなさいよ!」
「……ふふっ」
「…………………………」
やはりおかしい。なんか皆焦っている気がする。俺、なんかやらかしたか?
「あのー、俺何かしました? なんか皆さん様子がおかしいような気が……………」
「な、何でもないです!」
「そ、そう!何でもないのよ!本当に!」
「っ!っ!」
「な、なら良いんですけど………」
嘘下手すぎないか? マジで何があった?
あと美坂さん、さっきから必死に首振ってるだけなんだが?
それからも皆の様子はおかしくて、俺がみんなの方を見たら皆視線を逸らす。
俺、この寮に来てから一回しか夜を越してないんだが…………何でこんなに嫌われてるんだ?
ご飯を食べている時も、昨日とは違い静かだった。
「お、美味しくなかったですか?」
「え?いや!美味しいよ!凄く!ね!皆」
「美味しいですよ!今日も幸せです!」
「何でそんなに声が大きいんですか?」
「え?そ、そんなことないですよ?私はいつも元気ですよ! ねえ、春ちゃん?」
「え、え、え?ご、ごめん聞いてなかった」
「わ、私声大きくなかったですよね?」
「大きかったよね。………え?あ、小さかった?」
七瀬さん、八坂さんが涙目になってますよ。カバーしきれてませんよ。
「はぁ………。なにがあったんですか?自分が寝てる間、誰かにへんなこと言われたとかですか?」
「その通り」
「……………へ?」
声を発したのは、今までこのやりとりをずっとニヤニヤしながら見てた椿さんだ。
「私が皆をこんな感じにしたのよ」
「……………まあ大体わかってましたけどね」
「え?」
そりゃそうだ。この人だけこの状況で笑っていたんだ。嫌でも分かる。さっき寝たから頭は回る。
「では、その内容を教えてくれませんか?」
「無理♡」
「……………………」
さぁて、どう尋問してやろうか。
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