言の葉の刃を握る

裕福な貴族

言の葉の刃

『なんで生きてんだよ』

『さっさと死ね』

『どうせ口だけだろ?www』

『消えろ』

『死ね』

『目ざわり』


「……一体私が何をしたっていうの」


『死ね』

『死ね』

『死ね』


「……匿名で何の責任も持たず、言葉で人を傷つける。あんたらは卑怯者よ」


『死ね』

『死ね』

『死ね』

『死ね』

『死ね』

『死ね』


「……私が本気で死ぬと思ってないんでしょ」


『死ね』

『死ね』

『死ね』

『死ね』

『死ね』

『死ね』

『死ね』

『死ね』

『死ね』


「この犯罪者どもッ! 後悔しろよッ!」




 2025年10月27日

  SNS上での炎上騒動にて。

 生配信上で女子高生が入水自殺を行った。

 それも、ある程度の知名度を持ったインフルエンサーの自殺。

 しかし、この騒動はテレビで大きく報道されなかった。

 一体何故なのか。

 普通であれば議題に挙げられ、自称評論家気取りも交えてSNSは活発になるはず。


 だが、今は違う。

 誹謗中傷は当たり前。自殺など既に、珍しい事でもないのだ。

 これが現代社会の新常識。

 この状況を、誰も疑問に思わない。

 

 現在の死因ランキング、第一位は『自殺』。

 しかし、本当にこれは自殺と言えるのだろうか?

 この現状の何処に、「自分を殺す」が含まれているのか。

 他者の言葉によって、死に導かれている。

 見えない無差別殺人。

 これが今の世界の在り方。

 人類、皆加害者。



 は、誰の手にも握られている。

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