最高の贈り物
勝利だギューちゃん
第1話
私は今、入院している。
もう、長くないらしい。
私は、まだ高校生。
本来なら、友達と遊んだり、彼氏とデートしたりしている。
(彼氏はいないけど・・・)
人間、どれだけ生きたかではなく、どう生きたかが大切・・・
でも、いざ死が現実味を帯びると、怖くなる。
そうなると、強がってはみても、泣きたくなるのが現実。
私はそんなに、強くない・・・
生きたい・・・
その気持ちが、強くなる。
そういや、彼は元気かな・・・
彼と言っても文字通りの意味で、恋人の事ではない。
クラスの男の子。
シャイなのか、ウブなのか、あまり人とは話さない。
私が声をかけたときは、嬉しそうに答えてくれる。
それが特別な気がして、嬉しかった。
絵がとても上手だった・・・
ただ、その子は肝臓が悪いらしい。
同じ病院に入院しているはずだ。
私が生きられないのならせめて・・・
僕はイラストレーター。
といっても、肩書だけで、まだそれで飯を食っていない。
僕は、高校の頃肝臓の病気で入院していた。
医者からは、肝臓を移植しないと助からないと言われた。
でも、ドナーが一致する人はそうはいない。
仮にいたとして、提供する物好きもいないだろう・・・
でも、今僕はこうして生きている。
肝臓を提供してくれた方がいるのだ。
「私からの、プレゼント気に入ってくれた」
「うん。でも、恩返しは出来ないけどね」
「君が、一生懸命に生きてくれるのが、一番の恩返しだよ」
「もし、自殺したら?」
「恨む」
夢の中の彼女は真顔だった。
「君は、ひとりじゃないんだからね。いつまでも、私と一緒だよ」
僕に肝臓を提供してくれたのは、高校時代のクラスメイトの女の子だった。
内気な僕に、唯一声をかけてくれた女の子だった。
彼女に僕は救われた。
これまでも、これからも・・・
最高の贈り物 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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