聖女様から裏切られたけど、実は俺、英雄のスキルを持ってたことを黙ってました。

ちい。

🥴

聖女(以下 聖)「ごめんなさい……私、騎士様を愛してしまったの……だから……ユウ、私と別れて……」


ユウ(以下 ユ)「OK、OK!!分かったよっ!!」


聖「えっ?!」


ユ「ん?」


騎士(以下 騎)「ちょっ、ちょっ、ちょっ!!僕が言える立場じゃないけど……あっさり過ぎない?」


ユ「だって、俺と聖女って、聖女こいつに彼氏が出来るまでの繋ぎの関係だろ?」


聖「えっ?!」


ユ「ん?」


聖「いやいやいや……ちゃんとした恋人だったはずよ?」


ユ「違うよ?恋人は無理だよ?だって俺には嫁と子供がいるし」


聖「えっ?!」


ユ「パーティ組んで初めに言ったじゃん?俺には故郷に残してきた家族がいるって」


聖「それって……ご両親とかかと……」


ユ「両親は早くに死んでるし」


騎「……なら、君は奥さんに会えない寂しさから、聖女に手を出したのか?」


ユ「違う違う、最初に誘ったのは聖女の方からだし、俺、以前から今でも週二は家に帰ってるし」


聖「えっ?!」


騎「帰るって……君の故郷は近くなのかい?」


ユ「んにゃ、ここから馬車でもひと月以上かかるよ」


騎「なら、週二も帰ってるなんて嘘をつくんだ?」


ユ「だって俺、転移術使えるし」


騎「えっ?!」


聖「転移術って、勇者か英雄のスキルがないと使えないんじゃ……」


騎「そうだよ……出鱈目は駄目だよ」


ユ「出鱈目じゃないし。俺、英雄のスキル持ちだし」


聖「えっ?!」


ユ「ん?話してたよね?」


聖「いやいやいや……聞いてないし。あなた、ただの剣士って言ってたじゃん?」


ユ「そうだっけ?」


騎「……」


聖「そうよ……だから私はあなたと勇者か英雄スキルを持つ人を探して旅してたんじゃない?」


ユ「えっ?!そうだったの?」


聖「……そうよ。逆に聞くわ。そうじゃなければ、私と貴方が旅をする理由なんてないじゃない?」


ユ「不倫旅行?」


聖「はぁ?貴方が既婚者だったなんて知ったのは今よ?それに、旅行って……せめて、不倫冒険にして欲しいわ」


ユ「めんごめんご」


聖「いや、軽いし」


騎「てか、英雄見つかったね」


聖「……まさかのユウだったなんて」


ユ「よし、これで旅も終わりだなっ!!それじゃ、二人ともお幸せにっ!!」


聖「えっ?!」


騎「えっ?!」


ユ「ん?」


聖「ちょい待ち、ちょい待ち……」


ユ「なんだよ?俺はこれから故郷に帰って田植えの準備しなくちゃいけないんだぞ?」


聖「違うだろ?貴方、英雄スキル持ってんなら、魔王を倒しに行かなくちゃだろ?」


ユ「なんば言いよっと?魔王退治よりも田植えの方が大切やろうもん?」


聖「いやそこは魔王退治やろ、このばかちん」


騎「聖女……どんどん口が悪くなってきてるよ?」


聖「あんたはしぇからしかけん、黙っとかんね?」


騎「……はい」


ユ「……騎士さん、これが聖女の素だ」


騎「……」


聖「なんの為にあんたと二年も旅ばしとったと思っとるん?私の二年を返せ」


ユ「無理」


聖「なら魔王ば退治に行かなんたい」


ユ「……せめて、田植えが終わってから」


聖「……いつ終わるん?」


ユ「来月頭くらいかな?」


聖「分かった、それまで待っとくけん、終わったら魔王退治に行かなんよ?」


ユ「……めんどくさい」


聖「……あん」


ユ「分かった、分かった」


聖「逃げんなよ?」


ユ「逃げんし」


騎「……」


聖「よし、なら来月の十日に王都の噴水前に集合な」


ユ「へいへい」


聖「おい、騎士。お前もやぞ?」


騎「えっ?!」


聖「えっ?!じゃないし。私と付き合う言うたやろ?私との交際には魔王退治も込みや」


騎「……」


ユ「ご愁傷さま」


聖「……あぁん?」


ユ「いや……それじゃ来月の十日な?」


聖「おう」


騎「……」


 それから後、英雄スキルのユウと聖女、そして騎士の三人は無事に魔王を退治しましたとさ。








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聖女様から裏切られたけど、実は俺、英雄のスキルを持ってたことを黙ってました。 ちい。 @koyomi-8574

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