イルちゃんはヤンデレ彼氏が欲しい!

野口マッハ剛(ごう)

第1話 ひょっとしたらヤンデレくん?

 私も彼氏が欲しい。クラスメートの男子高校生たちはイマイチ。あーあ、彼氏が欲しいなぁ。ヤンデレな彼氏が欲しい。

「あれー? イルちゃん? どうしたのかなぁ?」

 クラスメートで同じ一年生のアカネちゃんにそう聞かれた。

「ん? 彼氏が欲しいなぁ、って」

「へー? どんな子がいいの?」

「私は、束縛してくれたり、オレ様系がいいの。出来れば、ヤンデレな彼氏が欲しい」

「イルちゃん? 大丈夫?」

 アカネちゃんはそう言っているけど、私は絶対にヤンデレな彼氏が欲しい! だって、最高じゃん? 私だけを見てくれるのよ?

「イルちゃん? あれって、クラスメートのマコトくんじゃない? ほら、ヤンデレっぽいで有名な」

 んん? マコトくん? あー、クラスメートのウワサではヤンデレっぽいで有名なマコトくんかぁ。

「話しかけてみようっと」

「ちょっと、イルちゃん!」

「やっほー、マコトくん? 元気かな?」

 私はちょっと勇気を持って話しかけてみた。

「あー、イルちゃん? ボクなら元気かな?」

 ん? 別にヤンデレな感じがしないけど。

「私ね、彼氏が欲しいなぁ、なんつって♡」

「フフ、イルちゃんって面白いね」

 私はもう少しだけ勇気を持ってこう言った。

「私ね、マコトくんのことを好きかも、なんつって☆」

 すると、マコトくんがカッターナイフを取り出してこう言った。

「そうだねえ? イルちゃんがボクだけを見てくれるならばね? さっき、話していた男の子は誰かな?」

 きゅん♡ あれー、マコトくんって本当にヤンデレなのかなぁ?

 すると、アカネちゃんが私の手を引っ張って、体育館の裏に連れていく。

「え? どうしたの? アカネちゃん?」

「あんたね? やめといた方が絶対にいいよ?」

 え? でもなぁ? マコトくんって本当にヤンデレっぽいからなぁ♡ どうしようかなぁ?

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