第52話 とくにデイトレード向けの戦術 備忘録

とくにデイトレード向けの戦術


 デイトレードは日計り取引とも呼ばれ、その日のうちに決済して大引け後には株式を保有していない取引を指します。


 しかし「デイトレード」で買ったものの、まだ上がりそうだからと翌日に繰り越して「スイングトレード」へ移行してしまう方も多いのです。

 「デイトレード」を身につけるためには、こういったスケベ心は排しましょう。



 その日のうちにトレードを終わらせるのにはメリットもあります。


 証券会社によって制度や基準額が異なるのですが、ある金額以上の「その日のうちに決済」する「一般信用取引」には金利と手数料をかけない制度があります。


 楽天証券では「一般信用取引」で「一回の出来高が50万円以上」なら金利と手数料はかかりません。


 このデイトレード促進制度を有効に活かした「デイトレード向けの戦術」があります。

 ちょっとした算数ができればすぐに気がつく類いのものですが。


 その戦術を忘れないうちに書き付けておきます。




デイトレード向けの戦術

 まず証券会社で信用口座を開設してください。話はそれからです。

 どんな戦術かを見たあとでのほうがよいかもしれませんね。


 現在の株価が1,200円の株式を500株「一般信用買建て」します。

 そうしたらすぐに1ティック下の株価で「逆指値返済」をセットしてください。

 (楽天証券では逆指値売りができないので、値動きを追いながらご自身で指値決済することになります)。


 これで、もし「株価が上がる」と想定して買建てしたのに株価が下がったとき、強制的に1ティック下の株価で決済されて損失を最小限にできます。

 1,200円の株式を500株で買ったのなら、普通は株価が1,199円になっており、それが500株なので、599,500円で決済されて500円の損失で済みます。

 つまり、信用取引という危ない橋を、500円という保険をかけて取引するわけです。

 だいたいですが、株価が3,000円以上だと1ティック5円刻み、5,000円以上だと1ティック10円刻みになります。

 だから株価6,000円を100株買建てしたら、1ティック損切りで1,000円の損失に抑えられます。

 これだと株価が安い銘柄で勝負したいですよね。

 中には株価5,000円以上の銘柄のみに狙いを定める強者もいます。

 どうせ1,000円で保険が効くので、より大きな利益を目指して、あえて1ティック10円の銘柄に挑むのです。


 なぜかといえば、1ティック上げれば10円上がるので、そこで決済しても株価6,010円となって1,000円の儲けになるからです。

 1ティック1円で株価1,201円が500株でも、儲けは500円にしかなりません。

 つまり1ティック10円なら、大きく動くのです。

 射幸心を煽ることになるので、あまりオススメできません。


 とくに株式取引とくに信用取引の初心者のうちは、1ティック1円の銘柄で勝負するようにしてください。



 とりあえず、最低の損失で損切りできるよう、買建てしたらすぐに信用返済の売りを1ティック下にセットしましょう。


 もしあなたの予想どおり、株価が上を目指していったら。

 すぐに「信用返済」を買値の1ティック上にセットし直すのです。

 このとき、もし成行売りができるのなら、成行売り設定にします。

 楽天証券では「いちにち信用」を利用すると成行売買ができなくなります。

 そこで、「株価が買値の1ティック上以下になったら、逆指値で買値をセットする」のです。

 株価が急落しないかぎり、逆指値で信用返済したとき、少なくとも買値で決済されて損得ゼロで手仕舞える計算になります。


 もし株価が暴落して、あなたの逆指値売りが未遂に終わったら、すぐに今売れる株価で売り切ってください。

 ほうっておくと、損失はどんどん大きくなります。

 急落して買値を割りそうなら、すぐに確実に損切りする。

 このクセをつけてください。



 この戦術の難しいところは、売りどきつまり「信用返済」です。


 最初から値幅を決めていたのなら、その株価で指値すればよいのです。

 ですが「できるかぎり儲けたい」と思っていると、売りどきと売り方に迷います。


 基本的には、もし株価が反落することなく、どんどん上昇していったら、「逆指値の信用返済」で売値をどんどん引き上げていくのです。

 以前お話した「トレーリングストップ」ですね。

 当日にそれまで何回1ティック損切りをしたかによって、最低での利幅が決まります。

 5回1ティック損切りをしていたら、5ティック上まで粘って「信用返済」すれば、損得ゼロになります。

 つまりそこを超えたら含み益がみるみるうちに積み上がっていきます。



 そして忘れてはならないのが日計り取引「いちにち信用」は、その日のうちに必ず返済しなければならないのです。

 だから後場で大引けとなる前に、すべての信用取引を手仕舞わなければなりません。


 利益をできるかぎり伸ばしたくても、14時30分以降は新規の買建てをせず、すでに手元にたまっている信用取引をすべて返済していく時間とするべきです。

 もし14時30分を過ぎてから建て玉すると、残り30分以内で決済しなければならず、どうしても取引に焦りが生じてしまいます。

 ここで起こす大ポカを防ぐためにも、14時30分を過ぎたら新規の建て玉はせず、信用返済にのみ注力することをオススメ致します。



 以上の戦術は、日計り取引「デイトレード」向けです。

 証券会社の「一般信用取引」のルールに従って、ある金額以上の取引には金利も手数料もとらない枠内で行ないましょう。


(1)一般信用取引で金利・手数料が無料になる条件を知る。

(2)株価5,000円以上(1ティック10円)はバクチが強すぎるので手を出さない。

(3)買建てで勝負するなら、日経平均株価がプラスの日に行なう。

(4)買建てしたら、すぐに買値の1ティック下に損切りをセットする。

(5)株価が上昇したら損切りを買値より上にセットし直す。

(6)大暴落しないかぎり、(5)でセットした株価で返済されて損得ゼロになる。

(7)順調に株価が上昇していったら、最初から決めていた株価で返済する。

(8)もし利益をできるだけ伸ばそうとするなら「トレーリングストップ」する。

 ですが株価が急落するとストップに引っかからないときもあります。

(9)14時30分以降は焦りが出やすいので新たに建て玉しない。


 以上の決め事を守れば、AIでのアルゴリズムトレードが主流のデイトレードでも利益を積めます。



 ただし、これは計算上のことであり、株価の急落にはほとんど無防備です。

 というより、デイトレードの最大の敵が「急落」なのです(信用買いで勝負するときは)。

 だから、デイトレーダーは「急落」に引っかかるかどうかというラインに対して「チキンレース」をしている人たち、ということになります。



 今回ご説明したのは、あくまでも私の経験則であり、他の皆様があまねく儲けられる話ではありません。


 「投資は自己責任」です。


 たとえ良い話を聞いても、それを疑いもせず実行して損をしても、ご自身で手法を納得していなければ不注意なあなたが悪いのです。

 仮に手法を理解して納得していれば、あなたの意志でのトレードですから、責任はご自身に帰すると理解できますよね。



 これを、私の小説のデイトレーダーの手法のひとつとして用いる予定です。


 元々、小説のキャラクターに「デイトレーダー」を出したくて始めた株式取引なので、とりあえず「必勝法」に近いこの戦術を小説で扱います。


 ですが必勝戦術が1つしかないのはどうかと思いますので、もう1つくらい見つけたいですね。



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