株式取引の備忘録(投資は自己責任で)

カイ.智水

第1話 株式取引は短期間で億を稼げない

 今日から不定期で「株式取引」について綴っていきます。

 主に私の経験と計算に基づきます。

 「投資は自己責任で」が株式投資の世界では合言葉です。

 皆様もこの備忘録を読んで、そのとおりに運用して損失を出しても、当方はいっさいの責任を負いませんのであしからず。


 なぜ「株式取引」を始めたのか。

 小説にデイトレーダーを出したかったからです。

 私は自分で経験したものを書くのは得意なのですが、想像で書くのは苦手です。

 だからデイトレーダーを誤らずしっかり書くために、2年前から「株式取引」を始めました。

 これは私なりのアプローチなので、他の方にはオススメしません。

 「経験しなければ書けない」不器用さをカバーするために、わざわざ資産を危険にさらして知見を得ているのです。


 そうして手にした「株式取引」の実際を、皆様と共有したくて本備忘録を執筆しています。

 これを読めば、実際に「株式取引」をしなくても投資家の心理がわかるかもしれません。

 少なくとも「こういう考え方で取り組んでいるんだな」がわかるように不定期連載していく所存です。



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株式取引は短期間で億は稼げない


 新型コロナウイルス感染症によりテレワークが進みましたね。さらに給付金10万円も日本国民に振り込まれました。

 これにより書店では「株式投資」の書籍がおおいに売れ、手軽にできる副業として「株式取引」がもてはやされたのです。


 「10万円を2億円にする」

 「1億稼ぐテクニック」


 こんな書籍が大量に売れています。

 これらの書籍を読めば、誰でもたやすく1億円が稼げるような錯覚を起こしてしまいます。


 そう、「錯覚」なのです。


 そもそも「10万円で買える株価の安い銘柄を2億円にする」なんて芸当は、ほとんど「ありえません」。

 そんな銘柄が書籍に書いてあったり、ホイホイ出てくるようなら、多くの投資家が左うちわの生活をしているはず。

 ですが、実際に「10万円を2億円にする」なんてまずできないのです。


 数十年かければ、手軽に達成可能かもしれません。

 ですが「10万円を2億円にする」銘柄を見分けられる人はまずいない。

 いたら誰にも教えずその銘柄を買い増していますよ。

 「株式取引」をするのは「自分が儲かればほかはどうなってもよい」と思っている方々なのですから。

 ちなみに「10万円を2億円にする」には資産が2000倍にならなければなりません。



 「株式取引」とは、株価が上がるか下がるかの二択に賭けているようなもの。


 もし資産を全額突っ込んで、ある銘柄を買ったとしたら。

 上がり続けたときは大きな利益を得られます。

 しかし下がり続けたときは「株式取引」を継続できなくなる状態まで追い込まれるのです。

 場合によっては最初の1銘柄だけで退場してしまう方もいます。

 とくに本業をこなしながら、副業で「株式取引」を始めた方は、証券会社オススメの銘柄を買って大きく資産を減らしたようです。



 ちなみに株式は日々±5%も動けば「よく動く」と言われます。

 つまり毎日、手持ち資金全額を+5%で運用し続けられたら、15日の取引でようやく資産が2倍になります。

 これは複利の効果です。

 複利とは、利息を資産に組み入れてその全体に新たな利息が計算される仕組みのこと。つまり儲けるときは加速度的に儲けられます。


 上がるか下がるかの二択で15連勝して初めて資産が2倍になるのです。

 これがどれほどすごいのか。


 上がるか下がるかの二択が仮に50:50の確率なら15連勝するのは0.003%の確率です。つまり3662万人に1人ほどしかいないのです。

 日本の人口は1億2000万人ほどですから、日本には3、4人しか存在しません。

 これがなにを意味するのか。


 日々の取引をして15日で10万円を20万円にできるのは3662万人に1人だけなのです。

 とてもではありませんが、書籍のような「10万円を2億円にする」などできはしません。

 日々の取引で+5%を15連続しても2倍にしかならない。それの1000倍ですよ。

 複利の効果により、15連続で2倍にするを10回繰り返せば2,048倍になります。これが実現可能な数字だと思いますか?


 企業価値より不当に安い銘柄を10万円ぶん買って、そのまま放置する。

 そうすれば資産が10倍になった銘柄も過去にはありました。

 俗に「テンバガー」と呼ばれる銘柄です。

 しかしそんな銘柄は10倍になるまでほとんどの人には気づかれません。


 「テンバガー」が難しくても1年で株価が4倍になった銘柄が、実は身近なところに存在するのです。


 本小説投稿サイト『カクヨム』を共同運営している、出版社のKADOKAWAの株式です。

 つまり去年の1月にKADOKAWAの株式を100万円ぶん買っていたら、今年の1月には400万円になっています。


 どうですか。

 「10万円を2億円にする」よりも夢はありませんが、それでも1年で資産が4倍になったらたいしたものだと思いませんか。



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 株式取引についてお伝えする初回で、まず「株式取引の幻想」を打ち砕く必要がありました。


 「10万円を2億円にする」

 「1億円稼ぐテクニック」


 そんなものは机上の空論であり、投資初心者にできるはずもないのです。

 「株式取引」は、書籍のように簡単には資産を増やせません。

 多くの方は実際に「株式取引」をして負けてから「書籍と現実とはまったく違うじゃないか」と気づきます。

 皆様は、始めなくても「現実は違う」とわかりましたよね。


 「現実は厳しい」と知ってから「株式取引」をスタートするべきなのです。

 まぁ知っていたら「株式取引」なんて手をつけませんけどね。



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