第40話 野球小僧-40

「おい、大丈夫か?」東

「…ん、ちょっと」江川

「どこ?」東

江川は親指のつけ根を押さえながら差し出した。

「無理するな、降りろ」野村

「そうそう、あとはオレにまかせな」イチロー

「おい、なんだイチロー、外野から来たのか」東

「いやぁ、心配だから」イチロー

「うそつけ。とにかく、江川は交代だ。監督に言って、次のピッチャーを」東

「オレオレ」イチロー


『どうやら交代のようですね』

『大事にいたらなければいいんですけど』

『さて、誰が投げるんでしょう。野球部には、三沢君とイチロー君が一応レギュラーのピッチャーですけど』

『三沢君はいまようやくキャッチボールを始めましたから、まだ無理でしょう』

『そうすると、イチロー君ですね』

『試合に出てますから、アップはできてると思いますし、たぶんそうでしょう』

『そうすると、愛球会にもチャンスが回ってきますね』

『イチロー君に失礼じゃないの?』

『失礼いたしました。あ、やっぱり、イチロー君がマウンドに上がりました。外野には南野君3年生が入りました』


「さぁ、チャンスだ!打ってやれ!」高松

「これで、俺にもチャンスが回ってきた」山本

「あんまり、喜ぶなよ。相手はケガしたんだから」小林

「ほーい」山本


『打席に池田君が入りました。ピッチャーイチロー君、ふりかぶって投げた、ボール!高に浮いてしまいました。まだ、アップができてないようです』

『いまがチャンスですね。イチロー君はコントロールが悪いので、ボールを選んでいくと自滅するかもしれません』

『第2球、投げた、ボール。本当ですね。ボールは速いようですけど、コントロールがいまひとつというところですね』

『かなりトレーニングはしたようですけど、まだ調子が出ていませんね』

『第3球、ボール!ノースリー、このまま自滅してしまうのでしょうか』

『三沢君が急ピッチで仕上げていますから、それまでのつなぎでしょう。つなげれるかどうか、ちょっと不安ですね、これを見ているかぎり』

『第4球、ボール!高めへボール!フォアボールで出してしまいました。次はキャプテンの高松君です』


「おい、イチロー、力むな」東

「いいよいいよ、キャプテン来なくても。だぁいじょうぶ。心配しなくても。ウォーミングアップ終わり。これからこれから」イチロー

「本当に大丈夫だろうな」東


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