イージス艦

個人的に日本で最も勘違い・間違えられがちなのがイージス艦。


解説に入る前に、イージス艦の一覧をのせておきます。(2021/4/17日現在就役済みのみ)

☆アメリカ海軍

●タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦

●アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦

☆日本国海上自衛隊

●こんごう型ミサイル護衛艦

●あたご型ミサイル護衛艦

●まや型ミサイル護衛艦

☆スペイン海軍

●アルバロ・デ・バサン級フリゲート

ノルウェー海軍

●フリチョフ・ナンセン級フリゲート

☆韓国海軍

●世宗大王級ミサイル駆逐艦

☆オーストラリア海軍

●ホバート級駆逐艦


◇そもそもイージス艦の定義って?◇


さて、まずよく見られるの勘違い・間違いが、

●VLS(垂直発射システム)を搭載した艦の事

●固定式のレーダーを搭載した艦の事

という定義です。


で、実際イージス艦の定義はなんなのかと言うと、アメリカが開発したイージス・システムを搭載した艦の事を言います。


なので、VLSを搭載してようが、固定式のレーダーを搭載してようが、イージス・システムを搭載していなければそれはイージス艦ではありません。


◇イージス艦の歴史◇


イージス艦の歴史は第二次世界大戦末期まで遡ります。

当時、次世代の全く新しい防空システムとして艦対空ミサイルを開発していたアメリカ海軍ですが、この防空ミサイルは戦中の日本海軍の特攻、戦後のジェット機の発達に呼応するように加速、1956~62年の間に、タロス・テリア・ターターの3種類のミサイル(3Tファミリー)を就役させました。


しかし、3Tファミリーは比較的早い段階で陳腐化する事が予想されており、当時大量の対艦ミサイルを配備していっていたソ連海軍に対し十分に対抗できなくなると予想されていました。


そこで、自動化やシステム統合など、高い能力を持つシステムとして、タイフォン・システムの開発が始まりました。


しかし、タイフォン・システムは、その要求性能の高さと経験不足から開発は失敗。


その後、タイフォン・システム開発の反省を反映したASMS計画としてイージス・システムの開発が始まりました。


そして、スプルーアンス級駆逐艦の設計を元に発展させたタイコンデロガ級巡洋艦において、最初のバージョンであるベースライン0が搭載、その一番艦が1983年に就役しました。


こうして世にでたイージス艦ですが、現在も改良は続けられており、2021/4/12現在イージス・システムの最新版はベースライン9シリーズ、弾道ミサイル防衛システムとして派生したイージスBMDに関しては5.0シリーズとなっています。


ミサイルもSM-2シリーズに加えSM-3シリーズとSM-6シリーズが加わり、またベースライン6からはESSMにも対応しています。


◇よくイージス艦と勘違いされる艦◇


☆日本国海上自衛隊

●むらさめ型汎用護衛艦

紹介された際、「ミニ・イージス艦」という言葉が多用された事と、VLSを搭載しているため。

●あきずき型/あさひ型汎用護衛艦

VLSを搭載し、艦橋上部のレーダー(あきずき型はFCS-3A、あさひ型はOPY-1)がアーレイ・バーク級などと配置と見た目が似ている事、高い防空能力を持つため。

☆ドイツ海軍

●ザクセン級フリゲート

マスト上部のAPARレーダーの配置が4面配置でアーレイバーク級と似ている事と、高い防空能力を持つため。

☆オランダ海軍

●デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲート

ザクセン級と同様

☆イギリス海軍

●45型駆逐艦

VLSと高い防空能力を持つため。

☆フランス/イタリア海軍

●フォルバン級/アンドレア・ドーリア級ミサイル駆逐艦

45型と同様。

☆中国海軍

●052C/D/DL型ミサイル駆逐艦

艦形がアーレイ・バーク級などと似ている事と、VLSを搭載している事と、高い防空能力を持つため。

●055型ミサイル駆逐艦。

052C/D/DL型と同様




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