第90話 逃亡者、長老と約束する
エルフの里に入る。
エルフ達から視線を感じるけど、エルフの男性に案内されているからか攻撃してくることはないし、敵意も感じない。
珍しいから警戒しながら見ているだけだ
里の奥の方にある少し大きめな家に入る
「長老、失礼します。確認していただきたい事がありまして、人間のお客人をお連れしました。……エミルフル様をここまで連れてきて頂いたようです」
「何を言っている。エミルフル様は亡くなられたのだ。冗談ではすまないぞ」
「私にはその判断がつきませんでしたので、長老様に確認していただきたいのです。もし本当にエミルフル様であれば女王様にも報告をしなければいけません」
「……わかった。入ってもらえ」
聞こえてはいたけど、男性から言われてから僕達は中に入る
「はじめまして、冒険者をやっていますハイトです。盗賊が誘拐していたエルフの子供を送り届けにきました」
僕はエミルを長老に見せる
「ふむ、エミルフル様で間違いないな。しかしどうなっている?確かにエミルフル様はお亡くなりになったはずだ」
[鑑定を妨害しました。偽造ステータスを表示します]
犬塚さんから鑑定された後に色々と試していたら、妨害した時にどうするかを設定できる事がわかった。
あのスライムもふざけた文章が表示されるように設定していたのだろうな……
長老はエミルを鑑定した後、僕も鑑定しようとした。多分ミアもだろう。
『鑑定された?』
僕はミアに念話で確認する
『妨害したみたい』
ミアも妨害されたようだ。ミアにも妨害時の表示については説明したから長老は間違ったステータスを見ているだろう
「お客人、ハイトと申したな。どうやって結界の中に入った?疑ってすまないが、私のスキルでお主のステータスを見させてもらった。そちらの女性のステータスもな。結界の中に入れるようなスキルは持っていないだろう?結界が壊れているわけでもない」
長老が見た僕のスキルは収納のみである。
称号は無いし、レベルやステータス値もBランク冒険者くらいにしてある。
ミアも同じである。治癒魔法以外のスキルは見せていない
長老が鑑定したと正直に話した為、僕も誠意に応えることにする。
全てを話すことは出来ないけど。
「長老がみたというステータスは妨害したものです。僕は収納以外のスキルも持っていますので、そのスキルを使って結界の中に入りました。何をしたかは言えませんが、結界を壊したりはしていませんので安心してください」
「……私が妨害されたということか?」
「そうですね」
「信じられないが、何か見せれる範囲で証拠を見せてもらうことは出来ないか?」
僕は迷う。僕のスキルはあまり人に知られたくないものばかりだ。証拠と言われるとどうするのがいいのだろうか……
「僕のステータスをもう一回、長老のスキルで見てもらえますか?」
「わかった」
[鑑定を妨害しました。偽造ステータスを表示します]
「さっきとステータス値変わってますよね?妨害している証拠です」
僕は力を見せることは出来ないので、妨害した時に見せるステータスの方を変更した
「確かに変わってるな。お主達の言っている事を信じることにしよう。遅くなったが、エミルフル様を送り届けて頂きありがとうございます」
僕は長老に聞きたいことが2つあるので聞くことにする。
「盗賊が誘拐したと聞いていたんですが、なんで亡くなったことになってるんですか?」
誘拐に気づかなかったとしても、死んだことになっているのはおかしい
「それは私も知りたい。ただ、エミルフル様が生きている以上騙されていたのだろう。調べればすぐに分かるとおもうがな」
「そうですか……。それともう一つ、魔王城にいく方法を知っていますか?」
「それなら知っているよ」
さすが長老!知っているようだ
「教えて下さい。お願いします」
「魔王からあまり人に言わないように言われているからな。絶対ではないから言っても問題はないと思うが……」
長老は魔王とも面識があるらしい
「そこをなんとかお願いします」
僕は頼む
「お主の事をよく知らないから、今話すことは出来ないな。それに今はエミルフル様の事をやらなければいけない。…………そうだ、今回の件に協力してくれないか?そしたらお主の人となりも分かるだろうから、問題ないと判断すればお礼として教えることにしよう」
エルフの中のゴタゴタに巻き込まれるのも困るけど、エミルにも愛着が湧いたし、情報も欲しいから協力することにするか……
「わかりました。協力します。ミアもできる範囲で手伝ってもらっていいかな」
「うん、いいよ」
「そうか、助かるよ」
「それで何をすればいいんですか?」
「まずは女王様に会いにいくので、お主からも説明して欲しい。聞いているかもしれないが、エミルフル様は女王様の息子になる。女王様はエミルフル様がお亡くなりになったと聞いてから伏してしまっている」
聞いてはいなかったけど、エミルを鑑定したので知ってはいた。だからこそ当初から面倒なことになってるなぁと思っていた。
結界の所で会った男性とはここで別れて、長老と女王様がいるという家に向かう。
屋敷くらい大きい家だけど、城があるわけではないんだな……
家の中に入り、使用人と思われる女性に案内されて寝室に行く
寝室にはベッドにうずくまる女性がいた
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