第63話 side 高村/???
「委員長達が死んだらしいぞ」
川霧が話し出す
「そうらしいな」
「どうしたんだ?元とはいえ、クラスメイトが死んで喜ぶべきではないけど、これで邪魔物はいなくなっただろ」
「いや、本当に委員長達が死んだと思うか?」
「死体は国の騎士が確認したらしいが…」
国が俺に嘘を吐くメリットは無いと思うが…
「死んだのは35階層だろ。なんでそんな深くに潜ったんだ?無理ではないが、危険をおかし過ぎと思わないか?」
「俺達にクラスメイトのほとんどをとられて、焦ったんじゃ無いのか?」
「そうか……?。それと、委員長達が全員死んでてなんで騎士は2人とも助かってるんだ?俺達に付いてくる騎士もそうだが、委員長達より強いとは思えないけどな」
焦ってたのは事実だと思う。
クラスメイトの争奪戦はこっちが完全に勝利した。
男共には国の役に立てば、国王が女を用意してくれるってそそのかしたし、女共には仮初の自由を与えてやった。ここから逃げたところで野垂れ死ぬだけだとも。
あっち側に付いた3人も元々委員長の友人だ。それも特に仲が良かったから、はなから勝ち目はなかった。
だが、それで委員長が死ぬ程のリスクを負うとは思えないんだよな
「話では戦闘が始まってすぐに騎士は倒れてしまい、目を覚ましたら弱った魔物1匹になってたみたい。周りには魔物の死体が多数転がってたって。委員長達の死体は魔物に食い散らかされてたってさ」
「あるとすれば、騎士を守ろうとしてやられたってところか。あの委員長ならありえそうではあるな、敵と認識してても変な所で優しさが出そうだ」
本当は死体を確認したいけど、今から行ったところで魔物に喰われてて残ってても骨くらいか
「それから、侵略の話はもう聞いたか?」
川霧がべつの話題を出す。これは初耳だ
「いや、聞いてないな。詳しく教えてくれ」
「隣の帝国の領土を奪いに行くらしい。まずは村を襲いつつ近くの街を占領するみたいだ」
「別にいいんじゃないか」
「多分この後話が来ると思うけど、俺らからも何人か行かされるみたいだ。タダ飯ばかり食ってないで国の為に働けって事だね」
「国王に恩を売るって考えれば良い話だな。お前も行ってもらっていいか?後の人選は俺の方でやっとくよ。こうゆうのが好きそうな奴と、訓練に参加してない奴をな。」
反抗してると前線に行かされるって分かれば他の奴等も従順になるだろう。
楽しくなってきたなぁ
翌日、川霧から聞いていた通りの話を宰相からされた。
俺は即答で受け、対価を要求する。金では無い、地位だ。
落とした街の領主の椅子を貰うことを約束させた。
城から離れるのは困るとのことで形だけだが、土地持ちの男爵になる。
考えるだけで笑けてくる。
この世界の元の住民に対して俺達の成長率はおかしいからな。負ける要素がない。
国王もそれをわかってるからこそ、俺達を行かせたいんだろう。
進軍は5日後とのことなので、俺はクラスメイト3人に声を掛けに行く
岡野と斉藤は嫌がる素振りをするが、実際は嫌がってはいない。暴れたいって顔に書いてある
姫野は本気で嫌がったが、国王命令だと伝え、「影宮がどうなったのか覚えているか」と聞いてやったら行くことを決めた
川霧を含めたこの4人と国の兵士500人で街を落としにいく
姫野には侵略中に誰が何をしていたかは、ちゃんと国王に報告すると言っておいたからな。少なくても邪魔はしないだろう。
実際は訓練もしてない姫野が行かされたってことが重要だ。
人柱になってくれる姫野には感謝しないとな。
「ふははははは」
「何1人で笑ってるんだよ?」
「川霧、お前と一緒に行くメンバーが決まったぞ」
「誰だ?」
「岡野と斉藤、それに姫野だ。」
「お前、本当に酷いやつだな」
そう言いつつも川霧の顔は笑顔だ
「不満か?」
「いや、楽しみだよ」
「お前も大概だな。負けるとは思ってないけど、失敗するなよ。姫野に逃げられるとかな」
「ダンジョンに碌に潜ってない奴に逃げられるほど俺は弱くねぇよ」
まぁ、逃げられないし、姫野に逃げる度胸もないわな
ほんと、笑いが止まんねぇぜ
――――――――――――
???視点
私が畑仕事のお手伝いをしていると村が慌ただしくなった
村の大人達は広場に集められた
私も気になって付いていく
隣の村から逃げてきた男性が王国が攻めてきたと説明する
今は隣村で食料などの物資を無理矢理補給しているらしい。
村は蹂躙されて男性は命からがら逃げてきたと
王国兵はこの村の方向を目指しているらしく、もう近くまで来ている可能性もあると言う
逃げるなら街まで逃げるしかないけど、逃げる準備をする時間が足りないかも知れない。
どうしたらいいの?
せっかく盗賊からも逃げて、なんとか村まで戻って来れたのに……
あの時はミアちゃんとハイトさんが助けてくれたけど今はもういないよ。
ミアちゃん、ハイトさん私達どうしたらいいの?
「助けて…」
私は首に掛けた宝物を握りながら来るはずのない助けを求めるしか出来なかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます