第45話 逃亡者、錬金術師から依頼を受ける
教えてもらった店に行くと中にはローブを着た青年が怪しげな液体の入ったフラスコをかき混ぜていた
声を掛けて良いものか僕は迷う
青年がフラスコに違う液体を慎重に入れようとした時にフェンが声を出す
「なにしてるの?」
青年は急に声を掛けられビクッとして一気に入れてしまう
フラスコの中が急にボコボコし始める。
ヤバいと思って僕は3人を庇いながら目を閉じて歯を食いしばる
………………あれ?何も起きない
フラスコを見ると液体はほとんど無くなっていた
「え?どうなったの?」
「驚かせてゴメンね。危ないことはないから気にしないでね」
……よく考えたら失敗したら爆発するような事を店頭でやってるはずはないか
「こちらこそ、急に驚かせてすいませんでした」
僕はフェンの頭に手を置きながら謝る
「ごめんなさい」
フェンも悪い事をしたのはわかったみたいで謝る
「いいよ。ポーションを作ってただけだから」
ポーションがあるのか。欲しいな
「何をお探しで?」
「属性付きの魔石が欲しいんだけどあるかな?」
「どんなのがいい?簡単のならすぐにでも作れるよ」
「この杖に嵌めたいんだ。支援魔法と治癒魔法を使うから属性は光がいいかな。出来れば聖属性がいいけど…」
僕は杖を見せながら聞く
「この杖はスゴイね。無限の可能性を感じるよ」
この杖のスゴさがわかるのか?作った本人もよくわかってなかったみたいなのに…
「それで、作れそうかな?」
「時間をもらえれば聖属性でも作れるよ。取り外し出来るみたいだし今日は光属性の魔石を作って、聖属性の魔石は後日でどうかな?自分が使うなら取り外し出来るし全属性欲しいけどね」
確かに、必要に応じて付け替えればいいから種類は多いほどいいな。
「…そうだね。種類が多い方が良さそう。作れるだけ頼めるかな?」
「僕が作れるのは火、水、土、風、光、闇、聖、氷、雷、毒の10個だよ。火、水、土、風以外は作るのに時間が掛かるから、今日は少し時間をもらって光属性で作って後はでき次第まとめてでどうかな?」
「そんなに作れるのか…」
「属性付与は錬金術の基本だからね。だけどここまで出来るのは、自慢じゃないけど一握りだけだよ。ラッキーだったね」
ギルドで聞いた通り腕は確かなようだ。自信家でもあるな
「いくらかかる?」
「そうだね、全部でサービスして金貨2枚でどうかな?」
相変わらず高いのか安いのか分からないな。
ミアを見るけどミアも専門外みたいだ
「悪いけど今の手持ちだと銀貨20枚くらいまでしか持ってないんだけど、ポーション作るなら薬草とか買い取ってくれないか?」
「……光属性だけなら銀貨20枚でいいよ。薬草は品質と種類によるかな。欲しいものなら買い取るよ」
僕はバレないように収納から高そうな薬草を3枚取り出す。数はないけど他はいっぱいあったから高く無いだろう
特薬草
特毒消し草
月見草
「どうかな?」
「特薬草に特毒消し草に、これは…!月見草だね。しかもつぼみの状態じゃないか!」
「高く買ってくれるかな?」
反応を見て僕は期待する
「月見草のつぼみは珍しいからテンションが上がっちゃったけど、高くは買い取れないかな。僕より貴族とかのコレクターに売った方がいいかもね。欲しい素材だから買取はするけど3枚で銀貨30枚ってところかな」
散歩しながらたまたま見つけたやつだから買い取ってもらえるだけで十分だけど足りないな
僕が悩んでいると
「見つけたのは君なの?」
「そうだけど…?」
「欲しい素材があるんだけどそれと交換でどうかな?探してくれてる間に自分も魔石の準備をしておくよ」
「その素材って?」
「[スライムの涙]が欲しいんだ」
「スライムが泣くのか?」
「違うよ。聞いた話だと、ダンジョンの中にスライムだらけのモンスターハウスが発生する事があるんだけど、そこにボススライムが混じっているんだ。そのボス以外を先に全部倒すとボススライムが自滅してそこに雫型の水晶を落とすらしいんだけどボススライムがどれか見分けがつかないんだ。ちなみにボスを倒すと残りのスライムも全部一緒に消えるよ」
「それを見つけたら金貨2枚で買い取ってくれるの?」
僕は確認する
「金貨2枚どころじゃないよ。…金貨20枚で買い取らせてほしい。僕が出せる最大だよ」
「……そんなに貴重なの?」
「普通は手に入れられないからね。それにスライムの涙は解呪薬の素材と言われてるんだ。だから価値は高いよ。……金貨20枚でも安い。正直競売に出せば金貨100枚超えるかもしれない。だから引き受けてくれるなら君が当初欲しがってた光と聖属性の魔石は前払いとしてプレゼントするよ。もちろんスライムの涙が手に入れれなくても返さなくていい。手に入る方が方が奇跡に近いからね」
「僕が探しもせずに持ち逃げするかもしれないよ?」
「それなら僕の見る目がなかっただけだよ。それに持ち逃げするつもりならそんなことは聞かないよ」
それもそうか。実際持ち逃げする気はないしね
「わかった、やってみるよ。見つからなくても金貨2枚は集めるから光と聖属性以外の魔石も順に作っていってもらっていいかな?」
「ほんと?助かるよ。光と聖属性はプレゼントだからサービスして金貨1枚で良いよ」
「交渉成立だね。ダンジョンにはこれからちょくちょく潜るつもりだからスライムのモンスターハウスが有ったらいろいろ試してみるよ」
僕達は近くの店で昼食を食べたり、お茶をしたりして時間を潰す。
しばらくしてから店に戻ると光属性の魔石が完成していた。
パチリと杖にハマる
「完璧だね。ありがとう」
僕はお礼をして、青年に住んでる場所を教えてから屋敷に帰ることにする。
ちなみにミアの杖を借りて魔法を使ったら僕でもわずかだけど光魔法が発動した。
……これは便利だ。親方に僕の分も作ってもらおうかな
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