第43話 逃亡者、怠ける
翌日
思えばここ最近、ずっと忙しなかった。
僕はベットの上でゴロゴロしていた
「暇なことがこんなに幸せとは思ってなかったな〜」
色々と問題は山積みになってるけど僕は一時忘れる事にした。
ドアがノックされる
「入っていいよー」
ドアが開いてサラさんが姿をみせる
「ハイト様、昼食の準備が整いました」
「先に食べてていいよ。後からいくから」
「かしこまりました」
少しして部屋にミアが入ってくる
「お兄ちゃん、お昼だよ。みんな待ってるよ」
「先に食べてていいよ〜」
僕は片手をヒラヒラしながら答える
「何言ってるの?早く行くよ」
ミアが僕の腕を引っ張る
振り払うことも出来ずに僕はベットから引き落とされる
「……痛い」
「動かないお兄ちゃんが悪いんだよ」
「わかったよ。行くよ」
僕はミアに連れられてダイニングに行く
ダイニングでは先に食事が始まっていた
「……待ってないじゃん」
僕はミアを見る
「そう言わないとお兄ちゃん来ないでしょ!」
…確かに行かなかったと思う
「そうかもね…」
サラさんが僕のスープを温め直す為にキッチンに行こうとするので僕は止める
「サラさんはそのまま食べてて。自分でやるから」
僕はキッチンに行こうと思ったけど横着する事にした
スープに火魔法(微)を使用して温める
サラさんから冷たい目で見られる
「……すいません」
僕はボソッと謝る
「いただきます」
僕は昼食を食べる
「ハイト様、この後のご予定はありますか?」
サラさんに聞かれる
なんか、無いとは言いたくないな。
「部屋に篭ってやることがあるよ」
ものは言いようである。篭ってゴロゴロするだけだ。
…言ってから思い出した。さっきゴロゴロしてるのを見られていることを
「かしこまりました」
サラさんは何も言わずに返事をする
「お兄ちゃん、どうせやることなくて寝てるだけでしょ?」
相手はこっちだった。
サラさんはため息をついている。
「……。」
僕はグーの音もでない。その通りだからしょうがない。
「色々あって疲れてるのはわかってるけど、夕食にはちゃんと来てね」
ぐーたらする許しがなぜかでた。
僕は昼食を食べた後、部屋に戻りベットに寝転ぶ。
ゴロゴロ、ゴロゴロ怠けていると急に無気力になる
「あ〜暇だなぁ」
娯楽の少ない部屋の中で1日ゴロゴロし続けるのは流石に無理があったようだ。
これ以上は楽しくない。いや、元々楽しくはなかったけど。
さっきまではゴロゴロしたくてゴロゴロしてた。今はなんだかゴロゴロしないといけない気がしてゴロゴロしてる。
僕は何をいってるんだろう
「よし、起きるか」
僕はベットから起き上がる
軽くストレッチして伸びをしてから部屋を出てフィルとフェンの部屋に行く。
ノックして部屋に入ると、部屋にはミアも居て3人で遊んでいた
「何をしてるの?」
僕は3人に問いかける
「お兄ちゃん、どうしたの?もういいの?」
言葉では濁してくれているけど、顔には「怠けなくていいの?」と書いてある。
僕はショックを受ける
「…うん、もういいよ。暇になったから見に来たんだ」
「そうなんだ。今はフィルとフェンに勉強を教えてたの。簡単な計算くらいは出来ないと悪い人に騙されるかもしれないから」
……遊んでなかった。ごめんなさい
「そうなんだ。ありがとう。僕も教えるよ」
「お兄ちゃん、計算出来るの?」
ミアの中の僕はポンコツなのだろうか?
「ミアは僕のことなんだと思ってるの?普通に出来るよ」
「服買った時とかおかしな事言ってたから…」
「あれはこっちの物価がよくわかってないから金銭感覚が狂ってるだけだよ」
一緒にしないでほしい
「…じゃあ1キロ銀貨13枚のお肉を12キロ買うにはいくら掛かる?」
「……えーと、紙とペンある?」
そのくらいの計算は出来る
「えっ?」
ミアがなぜか驚く
「えっ?何かおかしいこと言った?」
心当たりがないんだけど…
「お兄ちゃん、買い物するのに紙とペン持ち歩くの?」
日本だとスマホの電卓使う……いやそもそも適当にカゴに入れてたな。
「…ミアはすぐにわかるの?」
「わかるよ。金貨1枚と銀貨56枚だよ。実際はここから値引き交渉をするよ」
合ってるのかわからない。
「…18キロだったら?」
僕は聞いてみる
「…金貨2枚と銀貨34枚だね」
え?なんでわかるの?ていうか合ってるの?僕がおかしいの?暗算なんて9×9までしか出来ないよ。
「すごいねミアは。フィルとフェンも出来るの?」
僕は見栄を張る為に答えを計算せずに合ってる事にした。
「これくらい出来て当然だよ。お兄ちゃんさっきから何言ってるの?怠け過ぎておかしくなっちゃったの?フィルとフェンは今まで勉強出来る環境じゃなかったから今教えてるってさっき言ったよね?」
ひどい言われようだ。
「そうだったね…。僕は見てるからミアが教えてあげて。」
…僕の出る幕はないようだ
その後、サラさんにも確認したところ
「出来ますよ。領主様の所で働かせていただいていますのでこれくらいは出来て当然です。」
と言われた。
僕はポンコツだったようだ…
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