クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業［逃亡者］が無能だと処刑される

第35話 逃亡者、叩かれる

ミアとフィルが風呂から戻ってくる

「お兄ちゃん、なんか疲れた顔してるよ。大丈夫？」

「大丈夫だよ」

顔に疲れが出てたか…

「お兄ちゃんもお風呂入ってきたら？」

「うん、そうするよ」

僕は客間を出て風呂場へ向かう

脱衣所に入ると何故か中にメイドさんがいた

「湯浴みの手伝いをさせて頂きます」

僕はドキっ！とするが冷静に断る

「大丈夫です。一人でゆっくり入らせて下さい」

……勿体ない事をした気がする

僕はモヤモヤしながら風呂に入ることになった

風呂から出て客間に戻り夕食を頂く。

豪華だけど、食材は最低限って感じだ。王城とは違うな。

フィルは目を輝かせながら食べる

「私こんな美味しいもの食べた事ないよ」

「これからは我慢しなくていいからね。お腹が減ったらちゃんと僕に言うんだよ」

「ありがとう、早くフェンにも食べさせてあげたいな」

「そうだね、起きたら食べようか。今度は僕が用意するよ」

「ホント？ありがとう。フェンもきっと喜ぶよ」

「うん、約束する」

楽しく食事をした後、僕達は寝る事にする

「ベッドがフカフカだ……私、こんなに幸せでいいのかな」

さっきまであんなに騒いでたのに急にしおらしくなる

「いいんだよ。今までがおかしかったんだよ」

「うん。起きたら全部夢だったとかないよね？」

僕はフィルの頬をつねる

「いたわい、なにするの？」

この方法はこの世界では知られてないらしい

「痛いってことは夢じゃないって事だね」

「そうなの？」

「そうだよ」

「良かった。でも、痛かったからもうやめてね」

「僕が育ったところでは夢か確かめる一般的な方法だったんだよ。ゴメンね」

「うん、許してあげる」

大分心を許してくれて良かった

「じゃあそろそろ寝ようか」

「うん、おやすみなさい」

フェン視点

なんか身体が重たい。うまく身体が動かない

無理に動かそうとしてベットから落ちる

「痛っ！あれ、ここどこ？」

僕はキョロキョロと周りを見渡す

「あれ…確か病気になって家で休んでて…」

よく思い出せない、不安な気持ちに押しつぶされそうになる

「お姉ちゃん……どこ？」

僕はお姉ちゃんを探す

隣のベットを覗くと知らない男の人が寝てる

「誰？この人の家かな…」

反対側のベットを覗く

「お姉ち……お姉ちゃんじゃない……似てたから間違えちゃった」

もう一個のベットを覗く

「知らないお姉さんだ」

どうしよう。

「お姉ちゃん…お姉ちゃんどこにいるの？」

僕は縮こまって泣いてしまう

「…ミア……あと5分……むにゃむにゃ」

男の人が目を覚ましたみたい。寝ぼけてるけど

僕は口を手で覆って必死に声を抑える

「フェン君？目が覚めたんだね」

急に呼ばれて僕は顔を上げると知らない女の人が立っていた。

「ひっ！だ、誰？」

「落ち着いて。…フィル、フェンが起きたよ」

僕はお姉ちゃんの名前に咄嗟に反応する

「お姉ちゃん…お姉ちゃんどこにいるの？」

「大丈夫だから、落ち着いて、ね。フィル、ねえフィルってば起きて」

「うーん、…あと10分……むにゃむにゃ」

「お兄ちゃんみたいなこと言わないでよ」

この女の人はもう1人の女の人を起こそうとしてる。なんだ、同じ名前だっただけか…

「お兄ちゃん、起きて、フェンが目を覚ましたよ」

「…ミア、まだ夜だよ……むにゃ」

「いいから起きて！」

女の人が男の人の肩を揺さぶる

「ん〜〜、ミア…トイレ？ついてった方がいい？」

「いつまで寝ぼけてるの！それにトイレくらい1人で行けるから」

女の人が男の人の頭を叩く、ペシ！ペシ！ペシ！

「痛い…。ミア、起きたからやめて。それでなんだって？」

「やっと起きた。フェンが目を覚ましたって言ったの」

「え、本当だ。…ミアが泣かせたの？」

「泣かせてないよ。起きたら知らないところにいるんだよ。不安で泣いちゃったんだよ。」

「わかってるからそんなに怒らないで。フィルは起こさないの？」

「起こしたんだけどね。起きないの」

「うーんしょうがないな」

「フェン君だね？不安だと思うけど僕達は敵じゃないからね。安心してほしい」

男の人が僕に話しかけてくる

「お姉ちゃんが起きてくれると良いんだけどね。お姉ちゃんは今日色々あって疲れてるみたいだよ」

男の人が寝てる女の人を見ながらお姉ちゃんだと言う

「お姉ちゃん？あの女の人、お姉ちゃんに似てるけどお姉ちゃんはあんなに大きくないよ」

僕は困惑する

「フェンは2年近く寝てたんだよ。だからお姉ちゃんも大きくなってるんだよ」

「え？2年…？お姉ちゃん？」

僕は頭が追いつかないままお姉ちゃんらしい人をもう一度ちゃんと見る

「お姉ちゃんだ」

僕はお姉ちゃんに抱きつく

「うーん、くるしい…。もう食べられないよ……むにゃむにゃむにゃ」

幸せそうな顔をして寝てる

「とりあえず朝まで寝かせてあげようか。朝になったら元気な顔を見せてあげよう」

男の人がそんな事を言う。

「おじさんは誰？」

「お兄さんね」

……？

「おじさん？」

「お兄さん」

……！

「お兄さんは誰？」

「うん、僕はハイトだよ。まだ15歳だからね」

ハイトさん？は満足そうに頷いてから年を強調する

「私はミアよ。よろしくね」

「とりあえず朝まで寝ようか。僕まだ眠い」

ハイトさん？の言う通りに僕はベットに横になる

「ミア、よろしく」

ミアさん？が僕に近づいて何か唱えたかと思ったら僕の意識はそこで途絶えた。