第9話逃亡者、資金繰りする

僕は財布の中身を確認する。

「3000円くらいか…」


1泊するのも厳しいな。


女神様に見つからないようにしないといけないから、バイトするわけにもいかないし…そもそもいきなり雇ってはくれないか。


どうしようか考えながらアテもなく歩いていると道端に封筒が落ちていたので気になって拾う。


中を確認すると大金が入っていた。

「100万くらいあるな…」


多分LUKの数値が影響している。

お金が欲しいと思ったらお金を拾うって流石におかしい


多分落とした人は相当困っているだろう。

確かに困っているだろうが果たして今の僕よりも大変なのか?

[お金を落とした]と[異世界か死か選択を迫られる]

どっちが本当に困っている人かは比べるまでもないだろう。


それにLUKの影響で拾ったなら届けなかった所で何も問題は起きないのでは…?


そんな事をつい考えてしまうが、流石に届けるか…ときた道を戻る。

それに届けたら拾った内の1割は貰えるって聞いたことあるし、1割でも10万くらいだし充分だろう。


警察署に着いた僕は、中にいた職員さんに落とし物を届ける。

職員さんは落とした場所や金額を書類に記入している。

僕の事も聞かれたので連絡先を伝える。


「届けてくれてありがとうございました。このまま持ち主が判明しなければ所有権が君になるので追って連絡します」


「わかりました…」


あれ、1割貰えるんじゃ無いの?と思いながら答える。


「持ち主が判明した場合、ご連絡は必要ですか?」


「あぁ、はい。じゃあお願いします」


「では、書類は以上になります。ご協力ありがとうございました。」


あれ、終わってしまった。まだお金もらってないよ…


「あの、……落とし物拾ったら1割貰えるって聞いた事あるんだけど貰えないんですか?」


恥ずかしながらもお金が必要な僕は聞く


「……貰う権利はあるよ。ただ貰えるのは持ち主が見つかってからだよ。それに私達の方で君に渡す分を引いたお金を落とし主の方に返すわけじゃないんだ。あくまで君が持ち主の方に請求する権利があるだけなんだよ」


職員さんは苦笑いをしながら説明してくれた。

恥ずかしい。


「……そうだったんですね。」


「勘違いしてる人もいっぱいいるから気にしないでね。持ち主の方が判明したらその方には伝えておくから」


「よろしくお願いします」


そう言って僕は外に出る。


届けなかったら結局罪悪感で後悔してただろうけど、結局お金は増えてない。


残念だけど、今回のことでわかったことがある。


…僕の運ヤバいな。でも必ずしも良い結果になるとは限らないと……。幸運を得られるきっかけが起きやすいってことかな。


すぐ思いつくのはギャンブルかな。でも競馬とかって高校生でも買えるのかな?多分買えないよね。


宝くじ買ってみるか。スクラッチならその場でお金もらえるし。


「スクラッチ1枚下さい」


僕は近くのスーパーの中に入ってた宝くじ売り場でスクラッチを1枚買う。

3×3の9マス削って王冠が5つ以上出たら当たりだ。出た数によって貰える金額が上がっていき全部王冠なら1等の200万。僕が狙うのは3等の1万円だ。

さっき警察署で恥をかいたから僕は先に携帯で調べてある。1万円を超えるとその場で換金してくれないことを。


クジを削っていくと順調に王冠が出てくる。5マス削って王冠が5個。これで200円の当たりだ。6マス目も王冠が出てこれで2000円。7マス目も王冠がでてこれで1万円。

やっぱりすごいな。願ったらこんなに簡単に1万円が手に入ってしまった。

僕は興奮しながら残りのマスも削っちゃう。

そして手が止まる。これ、1等じゃん。


手が震える…。200万はヤバい。それにここで換金出来ない。

しょうがない、これは一度忘れよう。


「スクラッチもう1枚下さい」


「はい、次は当たるといいね」


お店のおばちゃんに言われるが……ごめんなさい、当たったんです、1等が。欲しいのは3等なんです。


僕はマスを削っていく、7マス削ってた所で王冠が7個。嫌な予感しかしない。緊張しながらもう1マス削る。当然のように王冠が現れる。「こいつやりやがった」……9マス目も王冠でまたもや1等が当たってしまった。


手元には1等の宝くじが2枚。400万か…。

流石に2枚もあったら不審だし1枚だけ銀行で換金してもらうか。

あまり目立つことしたくないんだけどな。ズルしてるみたいだし。


僕は隣町にある宝くじが換金できる銀行に電車で行き、銀行員さんに宝くじが当たったことを告げる。


「宝くじが当たったので換金して欲しいのですが…」


「おめでとうございます。」


「はい」


「では、こちらにご移動お願いします」


僕は奥の個室について行く。


「高額当選でしょうか?」


「はい…このスクラッチの1等が当たりました。」


僕は宝くじを見せながら答える。


「失礼かもしれませんが年齢を確認させてもらってもよろしいでしょうか?お若く見えますので…」


僕は嫌な予感がする


「…16歳です」


「申し訳ありませんが、100万円を超える当選の場合身分証明書と印鑑が必要でして…トラブルを防ぐ意味でも未成年者の方のみでの換金はお断りしています。保護者の方と一緒に来店していただけますでしょうか?」


嫌な予感が当たってしまった。


「……わかりました。また後日親と来ます」


「お待ちしております」


僕は銀行を出る。


…………電車代が減っただけやったな。


LUK高すぎても使い勝手悪いな。


そうこうしているうちにお腹が減ってきたので僕は近くのファミレスに入る


僕がハンバーグを食べていると


「相席いいかしら?」


声に顔をあげると女神様が貼り付けたような笑顔で立っていた

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