第24話悪ノリしたら喜ばれた
書状が届いた…。
泰経さんにお願いして接触を図って貰ってたけど、返事が来るまで意外と時間がかかった。
確か梅雨入り前に書状を持った使者が出発したのに、返事を持って帰ってきたのが秋口とは…。
鎌倉時代に枝分かれしたとはいえ元は同族だからもっと話が早く進むかと思ったのに凄く反応が遅い!
泰経さんに頼んで書状を出したのは豊嶋氏の支流で陸奥葛西氏第14代当主葛西晴重さん。
内容は現在の地理的に合戦などの加勢は出来ないけれど同族という事で交易や促進や勢力が東北まで広がった際に友好関係をと言うだけだったのに返事に何か月もかかるなんて…。
まあ返事の内容は当たり障りなく交易を歓迎する事と、今後も友好関係を築きたいとの事だけで葛西家からは使者は来なかった。
豊嶋家の一族だけど葛西家は駄目かな…。
流石に鎌倉時代に東北に移り住んだだけあって、元を辿れば同じ秩父氏であっても時間が経つにつれ一族と言う意識も薄れてくんだろうな…。
書状を読み終わり、石神井城に新築された自分の館の部屋で寝転ぶ。
うん、視線が…。
「膝枕を…」
そう言いながら照姫さん、椿姫さん、桔梗姫さんが誰にします? と言う顔をしながら迫って来る。
「いや、寝ないから大丈夫、ただ何となく寝転がっただけですぐに起き上がるから…」
慌てて起き上がり、3人を見ると、出会った頃より現代人ぽくなってる。
まあ犯人は自分だったりなんかする。
以前ネットでセクシーコスの画像とかを閲覧してたら知らぬ間に部屋に入ってきた3人に目撃されてしまったんだよね。
モロ出し画像とかキワドイ画像とかあったから、絶対にキモイとか変態とか言われると思ってたら自分の居た世界の衣服が奇抜で着てみたいとか言い出したので自分の趣味全開で画像をピックアップしそれを絵に書いて制作してもらったんだけど。
まさかこんなにも受け入れられるとは…。
まあ変態とかキモイとか言われて冷たい目で見られるよりはましだけど、まさか興味を持たれるとはね。
どうやらこの時代は、結構開放的で異性に裸を見られたりする事に対してあまり羞恥心を覚えないらしい。
江戸時代のお風呂は混浴が普通だったみたいだし、更にそれより昔なんだから当然と言えば当然かな…。
ただその結果、目の前に居る3人は、ワンピースや、スカートにTシャツ、セーラー服など、柄や色にバリエーションは無いものの絶対に室町時代の人に見えない感じになっている。
照姫さんは膝丈ぐらいのスカートぽい物に白地のTシャツがお気に入りのようだけど、意外と胸が大きいからピッタリとしたTシャツもどきを着ていると胸のポッチが強調されている。
本人はポッチが強調されているのを全く気にしてないのか胸を張ると白地の布という事もあり結構きわどいんだよね。
椿姫さんは慎ましいスタイルの分、ワンピースがお気に入りで腰の少し上あたりで腰ひもを結び腰から上のスタイルが分かりにくく出来るのが良いみたいだ。
ただワンピースの丈があまり長くないから裾が膝上10センチぐらいになってる時があり、足を崩したり立ち上がろうとした時に見えちゃいけない場所がチラリと見える事がある。
桔梗姫さんは特に珍しい物好きなようで、自分が遊び半分で作って貰った巫女服やメイド服ぽい物、左右に深いスリットの入ったチャイナ服もどき等。結構きわどい服でも初めて見る服は真っ先に試着し、今日は再現度がお世辞にも高いとは言えないセーラー服を着ている。
これは三者三様に誘っているのか?
ブラジャーとかショーツとかは無いからたまに見えちゃいけないものが見えたり、胸のポッチが出来てたり、綺麗な太ももが露わになっていたり目のやり場に困る時があるんだよね。
ただ目の保養にはなるから今度キャミソールやビキニ的なのを依頼して制作して貰おう。
幸いネットが使えるからコスプレ衣装には困らないし。
ただ可愛い服やセクシーな衣装はよくよく考えると自分の首を絞める。
だって3人ともまだ14~15歳なんだもん!!
手を握ったり繋いだりするのはまだ良いとして、太ももとか触った時点でアウトな気がする。
尚、実は鎧櫃には中を空にしておくと翌日には補充されているという特典?のような効果があるので、毎日空にしてたらキャリーバッグやビジネスバッグ、そして衣類に饅頭、最中が大変な事になっていた。
衣類に関しても、ズボンは裾上げが必要ではあるものの概ね好評で豊嶋家一門から順に配ってる状態で部屋が同じ衣類で溢れるという事態は回避できているから良いんだけど、饅頭や最中はとても大人気で最近では褒美として欲しいとの声も上がっている。
うん、小さく切って試食をさせたらこうなってしまったんだよね…。
あとは、全く役に立たないと思っていたキャリーバッグ。
これは予想外の反応で防水機能もあり長持より小さいものの軽いという事もあって一門衆の人が使っているのを見て是非手柄を立てた際の恩賞はキャリーバッグをと言っている人も居るらしく不良在庫にならずに済みそうな感じだ。
そして食事に関してもこの世界に召喚された時に比べるとそこそこ豊かになってると思う。
とは言えまだ醤油は製作途中だけど、蕎麦や小麦など今までは団子状にして茹でて食べたりしていたのを現代風に捏ねた後、伸ばして細く切って茹で、昆布や煮干しで出汁を取った汁をかけて食べる方法を教えたらブームが起きたり、ウナギもぶつ切りにして焼くだけだったのを、目釘を打って背開きにし串を打って塩焼きし食べさせると何故か感動された。
他にも少量の水を加えて柔らかくした味噌をお握りに塗って焼きおにぎりにしたり、炊き込みご飯を作ったり現代では普通に食べてた物を作ると大体驚かれる。
ただ新しい料理を作ると、明日もこれを食べようと言い出され数日はその料理が続くと言う弊害があるのが難点だ…。
品川湊の顔役である宇田川清家さんにはこれから需要が増えるので昆布や鰹節のような物を多めに仕入れて欲しいとお願いしてるので品不足にはならないはずだ。
残念な事に、鰹節は現代の物とは結構違っていた。
とはいえ削って出汁を取ったら臭みは若干あるものの意外と鰹出汁に近いので醤油が出来たらかなり料理のレパートリーが広がるはずだ。
香辛料も欲しいけどネット情報では唐辛子すら伝来してなさそうだから、堺でも香辛料などは取引されてないんだろうな…、生姜、ニンニク、山椒で我慢しよう。
それにしても昔は香辛料的な物って少なかったんだな…。
現代のスーパーとかで沢山の香辛料が売られているから気にした事なかったけど実際手に入らないと不便だ。
カレーに使う香辛料とかが欲しいとまでは言わないけど、胡椒だけは早めに欲しいな…。
補足----------------------------------------
現在では様々な香辛料が流通していますが当は、生姜やニンニク、山椒、ワサビなどが主だったそうです。
胡椒も輸入されていたようですが、主に生薬として用いられていたそうで香辛料としては使われていなかったそうです。
昔は獣の肉を食べる習慣があまりないことも胡椒が広まらなかった原因かもしれません。
因みに唐辛子も当初は食用にもちいられず観賞したり、霜焼け止めとして扱われていたとも言われています。
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