第7話出陣前日

昨夜は気合入れてネットで情勢を調べた。

何故かバッテリーが全く減らないので思いっきり調べた!!!


調べたけど貸して貰った地図と2021年の地図を見ても地理が一致しない!

沿岸部は徳川家康の時代から埋め立てしてるし、川の流れも変わってる。

家康め!!!!


そう思いながらも色々と調べながらも自身の事を考えたけど、平和な日本で育った自分が本当に合戦なんて出来るのか、いくら考えても夢じゃないと知ってしまった以上、鬼人とは言え生きてる人を殺す事が出来るのかと言う自問自答が繰り返した。


夜遅くまで考えた結果、ここは異世界で自分の居た日本ではない、そして元居た日本に戻れる可能性があるとしたら声の主に言われた通りに、異なる未来を切り開く道筋をつけ、褒美として願いを叶えてもらうしかない。

隠棲してひっそりと異世界で死ぬか、殺されるかもしれないけど元の世界に戻れる可能性を信じてこの世界の日本を統一するか、そう考えた結果、例え人を殺すことになっても統一を成し遂げて元の世界に戻る可能性に賭けることにした。


既に500人以上は殺してしまってるし、次同じ状況になった時に戦っても前みたいに人を殺せるか分からないけど、ここは自分の居た日本じゃないと自分に言い聞かせ腹を括る。


因みに泰経さんからは今回の江戸城攻略について相談されてたので、パソコンで、江戸城を検索し城の造りを調べたけど、これといった画像も無く役に立たなかった。

しかも泰経さん自体、江戸城に居る兵数は分かっていないらしく、攻め込んでも敵兵の数によっては城下に火を放つなどして引き上げる事になるだろうと言っていた。


因みに、こちらの兵数を聞いたら、直参の兵を始め、各一門衆が約100人程率いて来ている事に加え、その他重臣の兵、そして陣触れに応じた地侍を合わせて約2000人程との事、なんか少ないと思ったら、今の時期はそろそろ田植支度が始まる為、あまり農民を動員出来きないらしい。

自分が電車に乗ってたのは1月25日だったのに、転生したら4月とは…。

しかも旧暦で4月だから現代で使われているグレゴリオ暦だと5月だ。

なんだかな~、季節感が狂うから出来れば同日に召喚して欲しかったんだけど…。


それよりも昨晩ネットで色々と調べた結果、ネット上に豊嶋氏の石高は約5万7千石以上って情報があったからもっと動員できるかと思ったけど、やはり農兵が主流の時代だけに農繁期は兵を集めにくいようだ。

それとなく泰経さんに農兵分離を説明したけど、収支の関係で大掛かりに実施するのは難しいとの事だった。

まずは、この江戸城攻略戦が終わったら、農業改革と商業活性化で収入改革から始めないとな…。


「泰経さん、江戸城に攻込む為に兵を終結してるけど、この情報は江戸城にも知れ渡ってるんですよね? 野戦になるんじゃないですか?」

「確かに兵を集め攻め込もうとしているのは知られているでしょうが、恐らく籠城するかと思います、なんせ先の戦で500以上の死傷者を出した直後ですからな」


「まあそうなのかもしれませんが、道灌の支配地域に江戸港、品川湊があるから資金は潤沢じゃないですか、だったら5~600程の死者を出しても何とかなるんじゃない? 実際に専業の足軽を抱えてるって言われてますし…」

「うむ~、でしたら野戦になる事も考慮して進軍する必要がございますな」


「そうですね、先の合戦では、少数で挑発し地理的に都合の良い場所に誘導し挟撃しようとしたって話ですし、今回も先陣が会敵しても挑発に乗らず、計画的な戦をしないと…」

「では先陣の白子にはその旨をしかと申し伝えます」


「そうですね、お願いします。 あっ、あとネットで調べた情報ですけど、江戸城には上杉朝昌、三浦高救、吉良成高、大森実頼、千葉自胤が居るっぽいんで出来れば城を攻め落としても、逃がしたり自刃させずに生け捕りの方向で! 特に上杉朝昌、三浦高救の2人は扇谷上杉家当主である上杉定正の兄と弟らしいから交渉材料に使えるし」

「生け捕りですか…、しかし吉良、大森、千葉は何故ですか?」


「吉良は世田谷城、大森は小田原城、千葉は赤塚城の城主だからね、生け捕って傘下に加えられればそれも良し、従わなかったら人質として扱って3城攻略の際に敵の士気を削ぐ役目を担ってもらうんで」

「なんと! 江戸城だけでなく他の城まで攻略するおつもりとは恐れ入りました」


なんか恐れ入られた…。

でも実際問題として江戸城と赤塚城、そして世田谷城は豊嶋家の物にしとけば防衛網がそれなりに構築出来るんだよね。

江戸城は江戸港と品川湊が近くにあるから、勢力圏に取り込む事で経済基盤を強化する為には必要だし、赤塚城は拠点である石神井城の近くにあるから確保して攻め込まれても防波堤の役目を担って貰わないといけないし。

まあ世田谷城はオマケに近いけど、相模方面からの備えになるから手に入れておいて損はないはず。

小田原城は…、遠いから今はどうでもいいや…。


「しかし、やはり生け捕りとなるとなかなか難しい城攻めになりますな」

「それなんだけど、野戦で撃破しその後に攻城戦になるようにしましょう」


「しましょうと簡単に言われましても、道灌が出て来なければ野戦になりませんぞ」


そう言う泰経さんに、今回の作戦を説明したけどどうやら半信半疑のようで微妙な顔をしていた。

そうだよね…。 まだ合戦の前には言葉戦や一騎打ちをする時代だし。


でも泰経さん、既に道灌がその概念を覆して足軽を主力として戦ってて、つい最近それで負けそうになってたんだからね。


それよりも今朝から照姫さんを見かけないけど何処に行ったんだろう?


補足--------------------

※補足

当時の河川

・現在関東地方を流れている川の多くは江戸時代徳川家康の天下普請に伴い川の流れを大幅に変えられていて現在の地図とほぼ一致しません。

また水量も現在はアスファルトなどで舗装されて地中に水が染み込みにくい為多くの中小河川は水量が少ないですが、昔はもっと水量があったそうです。


兵数表記

・当時は兵の数を何人と言う風に記しておらず、郎党を連れた武者を1騎として数え、○○が100騎を率いて参陣と書物などに記載されていますが、本作では全て含めた兵数で表記しています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る