第5話自分の名前忘れました

「糸が繋がった…。 確か江古田原沼袋で豊嶋氏と太田道灌が戦って、豊嶋氏が敗れて弟さんや一門衆を討たれ、最終的に滅ぼされるのを自分が介入した事で変えたんだ…」

「なんと!! 弟が討たれ、道灌に我らが滅ぼされる? そんな馬鹿なことが!!」


「う~んとね、自分の居た世界の歴史ではそうなってるんだよね…鬼人ではなく人間と言う種族が居る世界でだけど…。 ただ豊嶋氏って各地に根を張っているから豊嶋氏自体が無くなる訳ではないけど、それでも各地の豊嶋氏って衰退してた気がする」

「なんと…、しかし夢のお告げにより此度の戦に勝利をしたという事は、滅ぶのは我らでは無く道灌という事になるのですな?」


「それは分からないですよ。 実際のところ太田道灌ってどんな人かあまり知らないし、そもそもこの時代の資料って少ないからあまり詳しく分かってないから…」

「左様でございますが、しかしお告げでは日ノ本を統べるお方と言っておりました、でしたら是非我ら豊嶋家を家臣の末席にお加えくだされ!!」


「いや、家臣って…、 実際日ノ本を統べるって言われても何をすればいいのか想像つかないし、それにどこの骨とも知らない自分に従うって抵抗は無いの?」

「ございません!! 貴方様に従わせて頂きます。 して恐れながらお名をお伺いしても…」


「名前? そう言えば名乗って無かった、これって滅茶苦茶失礼な事だよね…。 スイマセン、えっと自分は…、あれ? 名前…、思い出せない…、何故? 自分の名前を口にしようとすると、頭に霞がかかったような感じで名前が出てこない…」

「な、なんと! 恐らく異なる先の世から来て日ノ本を統べる方ゆえ、過去の名前は不要という事でしょう。 いっそこの場で名をお決めになられては?」


「そんな感じで名前って考えてよいの?」

「そうですな、手柄を上げた者などに名を与える時はその時の思い付きで与えるので問題は無いかと…」


そうなんだ…、確かにテレビで殿様が与えた名前とか言って珍しい名前が紹介とかされてたし、結構家名の名付けって適当なんだろうな…。

ていうかそもそも、豊嶋氏って確か桓武平氏が祖である秩父氏の一族で豊嶋郡を本拠にしたから豊嶋って家名を名乗ってるっぽいし。

じゃあ江古田原沼袋に現れたから江古田? 沼袋? いやなんか普通にしっくりくるけど駅名みたいでいやだな。


そう考えていると、泰経さんが「鳳凰、または朱雀」などどうでしょう? と提案をして来た。

どうやら黒塗りの箱、あれは鎧櫃らしく、それに描かれている鳳凰の絵を見て提案をしてくれたらしい。


「鳳凰…、朱雀…、なんかびみょ~な…」

「左様でしょうか? では院をお付けして鳳凰院、や朱雀院では如何でしょうか? 院は高貴な方を表す呼び方、天より日ノ本を統べるべく遣わされたのですから決しておかしくは無いと思われますが」


「鳳凰院…、朱雀院…。 なんか平等院鳳凰堂が連想されるけど、鳳凰院ならまだましかな…」

「なんと、平等院鳳凰堂をご存じで? 某は話に聞くのみで目にした事はございませんが素晴らしき場所と聞き及んでおります。 そのような場所を連想させる家名とは素晴らしゅうございます」


いや、まあ日本人なら全員知ってると思うんだよね、10円玉の意匠に使われてるし…。 

って言ってもこの世界の人には分からないか…。

家名は鳳凰院で良いとして実名はどうしよう、良いのが思い浮けばないから歴史上の人物名を頂こうかと思ったけど、秀吉、謙信、家康、義元、信玄、政宗、信長、光秀、宗麟、元就、元親、小太郎、村雨、王凱、白…、個人的に俺の嫁的なヨシモトでも有りだけど…、いやそもそも、パチンコのキャラから名前付けようってどうなんだろう。


武器は刃渡り2メートル以上、幅も10センチ以上、柄も50センチ近くあるある大太刀だから武器とキャラを近づけるなら王凱か信長なんだろうけど、王凱、信長は無な…。

嫁である義元にしようかと思ったけど、弓持ってないし、縁起悪い気がするから時点の嫁でる宗麟にしよう。


「う~ん、とりあえずは鳳凰院 宗麟、にしますね」

「鳳凰院が家名で宗麟が実名でございますか? 仮名や輩行名はいこうな、氏や名もなども必要かと」


「う~ん、無しで! 鳳凰院 宗麟、これだけにします。 実際自分の居た世界では氏名だけでしたし」

「左様でございますか、かしこまりました、では宗麟様、一門衆が広間に集まっておりますので、是非ご尊顔を…」


そう言い泰経さんが平伏した後立ち上がると、自分を先導してくれるので大人しくついて行く。

大丈夫かな…。

この時代の作法とか全く知らないんだけど。


補足------------

※補足

候補に挙げた名前はパチンコ機種のキャラ(数字順)になっており完全に趣味です。

尚、ここ数年はパチンコに行っていない為、初代機種から3代目までしか打て居ません。

今はもっとキャラが増えているようです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る