第9話わざわざお礼参りは必要ありません。

防具屋に向かって歩いていると、道の向こう側から昨日、獲物を横取りしようとしたガムズ達パーティーがやって来た。


とりあえず目を合わせないように通り過ぎようとしたところ、元から自分を見つけて因縁をつけるつもりだったらしく、自分を5人で囲み裏路地へ強引に引き込む。


「てめぇハンズ、お前のせいで俺達はランク降格、ギルドでも笑いものにされたんだ、これも全てお前のせいなんだ、わかってるだろうな、慰謝料を貰わないと俺達は納得できないんだよ!! ギルドで金を受け取って来たんだろ、それを全部渡せ、そうすれば許してやる」


そう言って自分を取り囲み裏路地に連れ来んがガムズ達パーティーは、因縁を付けて来る。

どうやら今日得たレッドホーングリズリーの買取代金を脅し取ろうと言う魂胆みたいだ。


「なんで慰謝料払わないといけないんですか? そもそもウソを付いて獲物を横取りしようとしたのが悪いんで自分は関係ないですよね? 降格に文句あるならギルドに異議でも申し立てたらどうですか?」

「てめぇ! ぶっ殺されてえのか!」


「おお~こわ、ここまで来ると冒険者と言うより盗賊の類ですね」

「そうかい、ハンズ、てめぇは痛い目見ないとわかんねえみたいだな」


そう言ってガムズは自分の胸をドン!と押した後、顔面に向けて拳を振るう。

神様から貰った力のおかげなのか、拳が目で追えるので、身体をずらし拳を避けると、ガムズはバランスを崩し、その場でよろけ、バランスを崩して尻餅をつく。


「てめぇ! 避けるんじゃねえよ!」

「いや、、そんな鈍い拳、避けないで当たるほうが難しいでしょ、自分は用事がありますんで」


そう言って大通りに向かって歩き出すと、ガムズ達は怒りが頂点に達したのか、剣を抜き斬りかかってきた。

大通りで剣を抜き斬りかかるガムズとその仲間に対し、武器を持たず素手でそれを避け続ける自分という何処から見ても暴漢に襲われている一般人を暫く装った後、ガムズの顔面に拳を叩きこむ。


見事な右ストレートが顎に入ったガムズはそのまま膝から崩れ落ちたけど、ガムズの仲間はそんな事はお構いなしに斬りかかって来くる。

しばらく避けていると、騒ぎを聞きつけた衛兵がやって来て、一旦ガムズ達と自分を拘束する。

そして衛兵は野次馬に聞き込みしたり、自分に事情を説明するように求めるので、トラブルの原因を説明すると、騒ぎを見ていた人たちの証言もあってか自分は即解放され、ガムズ達は縛られて連行されていった。


いやはや、予測はしてたけど、速攻でお礼参りとは、釈放後もお礼参り来ないといいんだけど。

いちいち相手してるの面倒なんだよね。


さて、とりあえず時間を無駄にしたけど、まずは防具屋に向かい皮鎧を購入し、武器屋で剣を購入しよう。

剣と皮鎧で金貨5枚か…。

高いのか安いのか分からないな。


「何で鑑定を使わないんだい?」

「そう言えば!! 鑑定すれば同じ値段でも質の良い物を選べるじゃん!!」


神様の声に鑑定を使えるようにして貰った事を思い出し、予備の剣という事でもう1本剣を買いに武器屋に戻て同じ値段の中で一番質の良いものを買って来た。

うん、ただ量産品はあまり品質に変わりなかったね…。


そんな事を思いながら家に戻り、装備を付けたまま剣の素振りをし身体に馴染ませる。


「そんな事しなくても今の君はそこそこ強くなってるから必要ないんじゃない?」

外で人目がある為か、光は放ってない状態で恐らく自分の周りをフヨフヨと漂っている神様がそう声をかけてくるけど、新品の皮鎧、手に馴染んでない剣をなじませるためだと言って剣を振り続ける。


そう言えば記憶の中では以前のハンズは100回も素振りをしたら息切れしてしまっていたのに、もう300回以上素振りをしたけど、少し疲れたって感じぐらいだな…。

これもレッドホーングリズリーを倒して魔力と生命力を吸収したからかな。


その後、買い溜めしてアイテムBOXに収納した食材で夕食を作り、夜になったら神様と魔法についての講座を受けてから眠りにつく。


やっぱり今の自分って最強だよな…。

神様が死なないように守ってくれるから約1年間はチート状態、魔物倒しまくれば超強くなれるはず。

それに顔も体格もそこそこにしてくれるって事だし髪の毛もフサフサになるらしいからハーレムも夢じゃない。

そう思うと顔がニヤケてしまう。

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