付加価値食堂〈カフェイヨ〉

凪常サツキ

給仕人の案内


 料理を一皿作るのに、様々な無駄や莫大な人件費をかけることで超高額な付加価値を請求する付加価値食堂〈カフェイヨ〉。木々に囲まれた山奥にひっそりと位置するここでは、一日にして億を超える大金が動くことも多々あります。これは、そんな付加価値食堂のとある一日に焦点を当てた物語です。


 そして申し遅れましたが、わたくしはこの食堂の給仕人兼案内を担当しております、宮仕みやじ・アントワーヌ・忠直ただのぶと申します。いずれの名前でも、お申し付けを頂ければすぐさま参ります故、お好きな名前でお呼びくださいませ。


 それではそろそろ、金時計が正午を指すころですね。カフェイヨは深夜零時に開店いたしますが、この純金製の時計は現世と十二時間の差異がございます。つまり正午は零時。お客様のご来店と同時に、わたくしの出番も始まる時間にございます。

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