第2話 超能力?

「ここは……」


 見覚えのある町並み……。


「どこ?」


「日本だ!」


「日本?」


「僕が元いた世界だよ」


 確かこんな感じだった気がする。

 建物もゲームの世界とはガラッと違う。

 向こうにはビルが立ち並んでいる。


「ふ〜ん」

「あ、あのお店! 行ってみよう!」


 僕の言葉を適当に聞き流し、シャロールはファミレスみたいなところに走っていった。


「わー! おいしそう!」


 店の前のショーウィンドウにはメニューの食品サンプルが置いてある。


「そうだな、入ってみるか」


「うん!」


 シャロールがウキウキで自動ドアを潜……。


「ビーーーーーー!!!!」


 突如として、けたたましいアラームが鳴り響く。


「なんだ!?」


 すぐにお店の店員らしき人がやってきた。


「すみません、お客様は超能力者ですか?」


 超能力者?


「申し訳ございません、当店は超能力者の入店をお断りしていますので、お引取願います」


「えー!」


 う〜ん。


「シャロール、一旦諦めよう」


 どうやらとんでもない世界に来たようだな。


――――――――――――――――――――


「む〜、つまんない!」


 あれからいろいろ回ったが、どこに行っても門前払いされてしまう。

 なにがいけないんだ?

 僕達は超能力なんて持っていないのに。

 てか、超能力ってなんだ?


「あそこ……行ってみる?」


 最後の望みをかけて、目の前のレストランを見る。お腹も減ったので、今度こそ入れてもらいたいが……。


――――――――――――――――――――


「おうおう、てめぇら!」


 まずいな……。


「超能力者のくせによくもうちの店に入ろうとしやがったな!」


 こんないかついおじさんが出てくるとは思わなかった。


「私、超能力者じゃないもん!」


 シャロールも我慢の限界だったのか、言い返す。


「んなわけあるかい!」

「センサーが反応しとるんじゃい!」


 このおじさん、僕達が認めるまで帰してくれそうにない。


「むむむ!」


「はよカード見せんかい!」


「カード?」


 なんだそれ?


「とぼけても無駄や!」

「超能力者なら持っとるやろがい!」


「なんのこと?」


「まさかお前ら、超能力者なのに持っとらんのか!?」


 その……カードを?


「へっ、いい機会だ」

「お前ら警察に突き出してやるよ!」


 そう言って、おじさんは電話し始めた。


「佐藤、けーさつって?」


「かなりヤバいことになったぞ、シャロール」


 遠くからサイレンの音が聞こえる。

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