第10話 近親相姦

 その前に一つ教えてくれ!


「しゅう兄さま……しゅう兄さま……」


 俺は妹に押し倒されていた。


 そして縦筋の入った股を、俺の股間に擦り付けられる。


 例え交わる寸前、気が狂う寸前のさなかでも、これだけは聞かなくてはならない。


 タタリちゃんは、どうなったんだ!


「……祟り神さまは、無事でしょう」


 本当か?


「ただの人間が、祟り神さまに勝てるわけありません。……しゅう兄さま」


 どうした? なぜ悲しそうなんだ?


「祟り神さまはね、わたしの願いを叶えてくださいました」


 願い……?


「わたしが最後に死ぬ直前、『しゅう兄さまに会いたい』と願いました。そして今、わたしの願いが叶いました。

 ……けど、こうして死んだ後、祟り神さまの記憶を知りました。

 なぜ今の祟り神になってしまったのか——そもそも穢れとは何か——……それを理解した時、わたしの願いなんて叶わない方が、祟り神さまにとって良いことだったんだと、知りました」


 美津子……


「今だけはわたしを見てください。そしてしゅう兄さまのモノで、わたしを犯してください……わたしと……一つに……」


 接吻。


 その瞬間、タタリちゃんとの初めての接吻を思い出す。


 不貞の相手が妹だなんて、きっと怒られるだろう。


 いけないことだとわかってる。


 しかし、それでも興奮が抑えられない。


「ぷは……逃げられません。わたしもしゅう兄さまも……。この地の穢れのせいで、理性が鈍り、本能を抑えられなくなるのです。……さあしゅう兄さま」


 美津子、美津子、美津子は俺の妹……!


「血のつながりなんて、関係ありません……しゅう兄さま、わたしを愛して、抱きしめて……!」


 穴に、棒が埋まる。


 みだらな声が響く。


 妹とつながっていた。


 激しく、激しく


 優しく、温かく


 溶けて、一つになる


「しゅう兄さまぁあ! ああああ、しゅう兄さまぁあああああ!!」


***


 この瞬間、俺は美津子の穢れを……正確にはこの地の穢れの一端を取り込んだ。


 そして頭に、俺の人生には存在しない記憶……神様の記憶が流れ込んできた。


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