長野の土産物屋で女主人と店員がこたつでおやきを食べる
三枝 優
長野県北部の土産物屋にて
シーズンオフの土産物屋は暇だ。特に今日は平日。客は少ない。
「お~い、ちょっと休憩にしよう!」
土産物屋の女主人が新入りの店員に声をかけた。
店の奥の住居スペース。二人でこたつに入る。
日本茶と、トースターで焼いたおやき。
「この中に入っているのは、なんでっしゃろ?」
「高菜だよ、うまいだろ」
食べながらTVを見る。
TVでは、佐賀県が独立したと大々的に報じている。
「なんかね~、宇宙人が侵略したって聞いたよ?」
「宇宙人?そんなものが来はりましたの?」
「ゾン・ヴィラン・ド・サ・ガ星人だってさ」
「この信州は大丈夫でありましょうか?」
長野県各地の状況はこうだ。
千曲川流域は、まだ洪水の復旧作業に忙しくそれどころではなかった。
長野県東部では、浅間山の噴火の警戒レベルが2に引き上げられてそれどころではなかった。
長野県南部の飯田市では人形劇の練習でそれどころではなかった。
リンゴ農家は剪定が終わり、花が咲いた時のための受粉と摘果の準備でそれどころではなかった。
ブドウ農家は、”急に暖かくなって誘引が間に合わない~~!”と悲鳴を上げていてそれどころではなかった。
長野県民の気質は、閉鎖的と言われている。
他県のことは、まったく気にしていなかったのだ。
土産物屋の女主人は、ずずずずっ と日本茶を飲みながらTVを見ている。
京都出身の店員はTVを見て心配そうに言った。
「信州にも、宇宙人は来るのでしょうか?」
「あぁ、昨日も何十匹か来てたから潰しておいたよ」
「あら・・・来てはりましたか・・」
土産物屋の女主人と店員。鬼無里の鬼女と茨木童子。
この二人の鬼女がいる限り、長野県は安泰である。
「それにしても、佐賀のあいつらは何やってんだか・・・」
「あいつら?」
「佐賀は鬼の国でね・・・たくさんいるはずなんだけどね」
佐賀の鬼たち・・・彼らが蜂起するのはまだか?
◇◇◇◇◇◇◇
『【爆笑】都道府県オープン参加小説2:宇宙人侵略その後、各都道府県はどうなっている。』
雨 杜和orアメたぬき 様
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