第2話 昼休み残り5分
サーシャを家に取り残して(捨てて)学校の門を無事くぐった俺は校庭へ続く階段を駆け上ると腕時計を見て遅刻じゃないことを確認して顔を上げようとすると―――
「淵が来たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「グホッッ!!」
小さな人間弾丸がいつものように突っ込んできた。……そしていつものようにちょっと痛い、いやかなり痛いけど顔には出さないでおこう。うん、だってこいつ悪意ゼロだもん。
今日死にかけた(大袈裟)回数がもう二回目に達していた。遠い目をしながら目の前にいるチb……ちょっと15歳には小さく見える子に用件を聞く。
「そんで今日は何の用だ?」
「えっ?ただ淵の姿が見えたから全力で走っただけだけど?」
「またかよ?!これで何回目だ、お前が俺に理由なしに突っ込むのは?」
俺が問いかけたところで答えてくれたのは、弾丸少年のの横にいて笑っている美丈夫だった。
「今日で1152回目だね、まともや記録更新だね」
「えっそんなにいってたっけ?っていうか記録更新するんじゃなくてちゃんと走りこむ前に止めろよ、お前らいつも一緒だろ?」
「あはは。ほら僕って運動神経皆無だから二コラは止められないんだよ」
「スポーツデマンテントッテルヤツノセットクリョクスゲー」
「あはは。淵棒読みー」
俺と一緒に茶番を繰り出していた二人はサーシャと同じ幼馴染である。最初に突っ込んで来た弾丸初年は二コラで横にいる美丈夫はヴァランタン、通称ヴァル。二コラは茶髪で赤い目の小柄な子である、要は可愛い系キャラ(行動は全然かわいくないけどな)。ヴァルは知的でクールな印象をもたらすプラチナブロンドのイケメンだけど、友達と一緒にいるときはよく二コラの起こす騒動に爆笑している。この二人はよくサーシャと一緒に女子の話題の中心人物であることが多いのでこの高校で彼らのことを知らない人はおそらくいないであろう。まあ、三人とも彼女持ちだから恋愛感情を抱く女性はあまりいないだろう…というか、こいつらの彼女が牽制しそう……
「ところでツッコミ担当、もう一人の僕らのとても大切な(w)幼馴染は一体何処にいるのかな?」
ヴァルがニヤニヤしながらあのバカの行方を聞いてきた。
「誰がツッコミ担当だ!…あの馬鹿なら俺との恋バナ(?)に夢中になったせいで自分の昼飯を食べていなかったから今頃学校めがけて走っているんじゃない?」
「あははサーシャも馬鹿だねー」
「二コラ……お前いつから人様に馬鹿って言える位頭がよくなったんだ?」
サーシャを馬鹿にしていた二コラにヴァルの正確なツッコミが刺さっていった。割と真顔で…悪い……二コラ…俺も知能的には平均だから上位にいるヴァルに反論できないからフォローするすべがない……せめてその矛先が俺に向かないように空気になるしか―――
「それなら平均点を取っている淵もサーシャのことを馬鹿にできないね!」
おいこらバカこっちに矛先を向けるな。せっかく空気になっていたのに最悪じゃねーか!内心そう思いながら二コラを睨むと、音が出ない口笛をしながら明後日の方向を向いていた。あの野郎!!
「はははは。いやー君らの責任の擦り付け合いを見ていると飽きないよ、あー腹いてー」
「腹を抱えながら爆笑するな!っていうかツボ浅ッ!後もう終わったから二コラも音が出ない口笛をするの止めろ!」
こいつらの相手をすると本当に疲れる……これでまだ全員じゃないというし……いつから俺こんなに疲れる役回りをしていたんだ?…考えるのをやめよう……
「まー運が良ければ門で待機しているボワセ先生に怒られないだろうからもうじき来るだろう」
「じゃあサーシャがボワセ先生に殺られるか殺られないか、たまり場(お菓子とジュース専用の購買とくつろげる場所が合わさった場所)のお菓子で賭けない?」
「未成年でギャンブルを始めるとか二コラもなかなかの悪だねー」
「そういうなら止めろよ。っていうかお菓子を賭けるところのどこが悪いんだよ…」
「んじゃレッツゴー!!」
そして俺たちがお菓子を買い終わってたまり場から出た後、
「そんじゃ賭けましょうか。誰からいく?」
「じゃあ僕から、このクラス二位の頭脳を駆使して正解を導いて見せる!」
「………(たかがお菓子のためにガチ過ぎないか?)」
「というわけで僕は幼馴染の間にある友情を信じてサーシャがボワセ先生に殺られることに賭ける!」
「おい信頼関係!失敗することを信じてどうする幼馴染!」
「じゃあ俺っちも~」
「お前もかよ?!……じゃあ必然的に賭けが成り立つために俺は殺られない方に賭けるよ」
「オッケーじゃあ決まりな。さーなるべく遅く来てくれ僕らの勝利のために」
「お前ら……それでも十年来の幼馴染か?」
「「Of course!!!」」
「返事だけはいいな!」
悪いなサーシャ……俺だけは内心で謝っとくよ……ごめんなs……違うなこっちだった…ご愁傷様……
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