10話 薔薇に散りけり都の祈り

作者名 REN’sJackson



千刃花センジンカ帝国特務戦闘部隊テイコクトクムセントウブタイ〜ー

海底都市 ポセドニア

Part Ⅳ 薔薇に散りけり都の祈り




一方、海底都市 ポセドニアの

東に位置する神殿前に

レンゲイ達はいた。


レンゲイ

「進んでも進んでも

同じところを回って

挙げ句の果てに急にこんな所に、、

結局、あの女性の声は何だったんでしょうか。」


ガーベラ

「分からないっす。

アチシ、、もう疲れたっす。

先輩、、先に帰ってますね、、」


レンゲイ

「帰らないで下さい。

というより何処に帰るのですか。」


ガーベラダルそうに

「土っす」


レンゲイ

「還るなら任務を遂行してからにして下さいね。」


ガーベラ

「もう歩き疲れたっすぅ〜」


レンゲイ

「まぁ、、確かにそうですね。

隊士にも疲労のが見えます。」


ガーベラ

「この神殿の中で休みましょうよぉー」


レンゲイ

「危険ですよ。

分かりました。

この神殿の中に入る前に

一呼吸入れましょうか。」


ガーベラ

「あざっす!!」


レンゲイ

照刃ショウハハチ扇草香センソウコウ



レンゲイは草で編まれたオウギを召喚して

ガーベラや他の隊士に向けて優しく つむじ風を起こした。


ガーベラ

「ふぁぁあーーいい香りぃ

気持ちいいっすぅ

癒されるっすーー

疲れが吹っ飛ぶすぅ

さすがは先輩!

下級 刃術ジンジュツでもこの効果!!

サヤと同じ属性の刃術ジンジュツ

相性抜群っすねぇー」


レンゲイ

「当然ですよ。

では皆さん。

準備はいいですか?」


ガーベラ

「はいっす!!」



レンゲイの一言で

二分隊は神殿の中へと入っていった。

神殿の中に入ると等間隔に柱が立っていて

天井には光が入るように隙間が無数に空いていた。


ガーベラ

「な、なんか不気味っすね、、

なんすか?ここ、、」


レンゲイ

「神殿ですよ。」


ガーベラ

「っていうか先輩!

そもそも神殿ってなんすか!」


レンゲイ

「神殿というのは神を マツる所です。

祭事サイジ祈祷キトウ

歴代の王をマツる場所とも言えます。

本来なら神殿は神と交わる場所ですので

ケガれを取り除き清めの儀式をしてから

入殿するのが一般的でしょう。

もちろんその国によって神殿の役割や儀式は

違っては来ますし

マツる神も違います。」


ガーベラ

「なるほど、、、

ちなみに神ってサヤのですか?」


レンゲイ

「神のヤイバの力を持つって言われますからね。

おそらくサヤの神 以外この世界に神など

いないと思います。

今はナーベルク帝国が大多数のサヤを独占していますが

国が違えば僕の 桜雌鹿サクラメロク

アガめている国だって、おそらくあると思いますよ。」


ガーベラ

「そしたら先輩も神っすね!」


レンゲイ

「言葉に気をつけて下さい。

もし、それが本当だとしたら

違う神の力を持つ僕が

違う神をマツる神殿に来ているんですから」


ガーベラ

「ヒェェッ

代理戦争ですか?

神々の戦いですかい???

アチシの為に争わないでぇえ!!」


レンゲイ

「一体何の話をしてるんですか。全く。」



レンゲイ達が歩いていくと

大きな扉の前に来た。

そこには大きくこう書かれていた。

祖霊厳殿ソレイゴンデン


レンゲイ

「ここは、、」



レンゲイ達は扉を開けてみると

大きな石碑と

その周囲を囲むように

18個もの墓標が建っていた。


ガーベラ

「す、すごい、、す。」



スポットライトが当たるように

それぞれの墓標と大きな石碑に

光が当たっていた。

するとゴゴゴッと振動するや否や

床の下から石碑が出てきた。


レンゲイ

「な、なんだ!」


ガーベラ

「下からなんか出てきたっす!」



レンゲイは恐る恐るその石碑を

読もうとしてみたが

そこには何も書いていなかった。


ガーベラ

「ただの石ころじゃないっすか。。」


レンゲイ

「何かの仕掛けかもしれません。」


ガーベラ

「そうなんすかね、、

本当に何も書いてないすか??」



ガーベラはその石碑を

眺めた後ゆっくりと触れてみた。


レンゲイ

「不用意に触ってはいけませんよ。」


ガーベラ

「ヴェルモ、、ん?

本当に何にもーーー」




ヴォンッと音ともに

ガーベラは消えてしまった。


レンゲイ

「ガーベラ君!!!」


ーーダンデライサイドーー

海底都市の西に位置する

祭儀賢殿サイギケンデン】内部

大広間の中心には大きな舞台のようなものがあり

ダンデライ達と傷だらけの隊士達は

その中で身を休めていた。


ダンデライ

「突然、目の前に神殿が現れましたが

ここはーーー」


ガーベラ

「何にもないわけじゃ!ってあれ?!」


ダンデライ

「!?」


ガーベラ

「ギャァ!!」



突然、ガーベラがダンデライの目の前に現れた。


ダンデライ

「ガーベラさん!?」


ガーベラ

「先輩が目つき悪くて無駄にデカイ

リーゼントになってるゥゥウッ!!」


ダンデライ

「ガーベラさん??」


ガーベラ

「ハッ!!ダダダダンデライ副隊長!?」


ダンデライ

「どこから?」


ガーベラ

「アチシ、、さっきまで

祖霊厳殿ソレイゴンデンにいたんすけど、、

どーなってんすか!!!

え!?!?なんでアチシが!?!?

それに、、みんな!!そのケガは!!」



先のラベンドとの戦いで

ダンデライ以外の隊士達は

大怪我をしていた。


ガーベラ

「何があったんすか!!」


ダンデライ

「ガーベラさん、、」



ダンデライはその身に起こったことを

ガーベラに説明した。


ガーベラ

「なんと、、、そんな事が、、

報告にあったラミオラス帝国の兵っすね、、。

アチシが来たからには大丈夫っす!!」

照刃ショウハ 三十九サンジュウキュウ波濤葛ハトウカズラノ白癒ノサユ



負傷した隊士の地面からツタがみるみると生え

身体に巻きつくと点滴のように腕にツタが刺さった。


ガーベラ

「俗に言う点滴っす。

時間はかかるっすけど

治癒効果は絶大です。」


ダンデライ

「かたじけない。

私が不甲斐ないばかりに。」


ガーベラ

「見掛け倒しのリーゼントも

大した事ないっすね!」


ダンデライ

「かたじけない」


ガーベラ

「アチシが飛ばされてきて良かったっすよ!

三十番後半の照刃ショウハはムズイっすから」


ダンデライ

「運が良いのか

このダンジョンのサヤの意思か

分かりませんが助かりました。」


ガーベラ

「ちょっと通信 刃術ジンジュツ

先輩に連絡するっす!!」


ダンデライ

「無駄ですよ。ここでは

通信 刃術ジンジュツも無線も

意味がないです。妨害電波なのか分かりませんが

通信手段はありません。」


ガーベラ

「そんな、、」


ダンデライ

「とりあえず私たちは

ダンジョン攻略をしましょう。

動ける隊士は負傷した隊士の守護を。

私とガーベラさんはこの奥へと

進みます!!!」



ダンデライは隊士達にそういうと

ガーベラと共に奥にある

小さな扉へと進んだ。

その部屋は大広間よりも小さかったが

いくつもの壁画が隙間を開けて

壁に飾ってあった。


ダンデライ

「ここは 祭儀賢殿サイギケンデン

記されていました。

恐らく名の通り様々な儀式が

執り行われていたのだと思います。」


ガーベラ

「ふ、不用意に触らない方がいっすよぉ!」


ダンデライ

「不用意に触るなんて愚の骨頂ですよ。」


ガーベラ

「そ、そうっすよね!!

ったくレンゲイ先輩が触るからアチシは

こんなところに!!!」


ダンデライ

「レンゲイ隊長らしくないですね。」


ガーベラ

「ほ、ほほほ本当っすよ!」


ダンデライ

「そんなことよりガーベラさん。

見てくださいこの壁画

巫女が舞う後ろに何か3つ並べられています。」


ガーベラ

「これは、、ツルギ

首飾りとお皿っすかね、、」


ダンデライ

「反対の壁画には

ツルギと舞う巫女」


ガーベラ

「こっちには

首飾りと舞う巫女がいるっす」


ダンデライ

「あそこには

お皿と舞う巫女がいますね。」


ガーベラ

「あっここには高い祭壇の上に

なんすかね、、、、でっかい巨人と、、

反対にはなんか強そうな猛獣っすかね、、、」


ダンデライ

「待ってください。

巨人が何百とこちらには描かれてます。

これは一体なんでしょうか、、」


ガーベラ

「いや、、分かんないっすよ。

アナスタシアさんがいないと

わからないっす!!」


ダンデライ

「ここには祭壇の上に巫女と猛獣が、、」


ガーベラ

「これ千年くらい前ですよね?」


ダンデライ

「恐らく、、でもこっちの壁画を

見てください。

巨人に街が破壊されてますね。」


ガーベラ

「よく見るっす

巨人の頭に何かいるっす!!

人っすか???」


ダンデライ

「人ですね、、、率いているような、、

でもみんなバラバラなのでちょっと

分かりづらいですね、、、」


ガーベラ

「あっ!この壁画うごくっす!」


ダンデライ

「ガーベラさん!!触っては!!」


ガーベラ

「あっ。

やっちまった!!!

さぁこい!!

飛ばせるもんなら飛ばして見やがれぇ!!」


ダンデライ

「私の足にしがみつくのは

辞めてもらっていいですか?」


ガーベラ

「何を言う!アチシを見捨てると申すのか!!

薄情者がぁ!!!!!!!」



ガーベラは強く目をつぶったが

何も起きなかった。


ガーベラ

「あれ??」


ダンデライ

「ということは

これを動かして時系列に並べられますね。」


ガーベラ

「お、おう!!」


ダンデライ

「並べればなんとなくですが

サヤへの活路が

見えるかもしれません!!」


ガーベラ

「ガッテン承知!!

パズルみーー」



ヴォンッという音ともに

ガーベラは消えてしまった。



ダンデライ

「ガーベラさん!!!」



ーー同時刻スイセサイドーー

ここは海底都市の北に位置する

参神殿サンシンデン


スイセ

「ギリちゃーん!

何よここ!!!」


トギリ

「知らねーよ。

急に飛ばされたと思ったら

ご立派な神殿が目の前にあったんだからよ。

部下とも はぐれちまったし

なんなんだこのダンジョン」



トギリとスイセは

どの神殿よりも豪華絢爛ゴウカケンラン

神殿の大きな扉の前にいた。


スイセ

「えーっとなになに?

サン、、神殿??

参るの?ねぇ?あたしたち今から参るの?」


トギリ

サヤの意思だろ?

入るしかねーだろ。」


スイセ

「おっかなーい!!

ギリちゃん!あたしを守ってねん!」


トギリ

「どのガタイして言ってんだ。」


スイセ

「もうー!!つれないわね!!」


トギリ

「入るぞ。」


スイセ

「はぁぁい!!って。

開かないじゃナイー!!!」



スイセが扉に手をかけるも

扉はビクともしなかった。


スイセ

「ギリちゃん!重くて開かなーい!!

あ、け、て!!」


トギリ

「メンドクセェな。

ほら、どけよ。」



トギリが扉に触れると

スッと通り抜けてしまった。


スイセ

「えーー!!!!

嘘でしょ???

えーー!!

オカマはダメなの??

立ち入り禁止なの!!??

んなバカな!!!!

あたしもスッと入れるのよね?」



スイセは普通に歩くように

扉をすりぬけようとした。


スイセ

「イッタぁあ!!!

思いっきりぶつかったじゃない!!!

え?どういうこと!???

あたしは入れないの!?

ちょっと!!!!!!!!!!

あたし負けないんだからぁ!!!」



スイセは腰を沈めて

深く息を吐くと

拳を思いっきり扉に叩きつけた。


スイセどすの利いた声

「オンドリヤァ!!」



豪快な音と共に扉が破壊された。


スイセ

「もう!口ほどにも無いんだから!!

ギリちゃーん!!お待たせぇ

なんかねぇ、勝手に扉が開いたのぉ!!

ギリちゃーん!!

あれ?ギリちゃん?」



そこにはトギリの姿はなかった。


ガーベラ

「ーーパズルみたいにやればいんすよね!?」


スイセ

「、、、あんらぁ??

誰かしら?」


ガーベラ

「ギャァ!!猛獣!!!!」


スイセ

「え?猛獣!!??

どこ??どこ???」


ガーベラ

「喋ってるぅう!!!!

ギャァ!!!!」


スイセ

「喋ってるの!?

どこよ!?どこに猛獣が!??

ヤダ!怖い!!!どこよ!?」


ガーベラ

「怖いって言ってるぅぅう!!

いやァァア!!!!」


スイセ

「怖いって言ってるの??

なにそれ怖い!!!」


ガーベラ

「どこすかー!ここ!!」


スイセ

「ん?

ちょっと待って。

猛獣ってあたし??

あたしのことぉぉお!?」


ガーベラ

「え?」


スイセ

「え?じゃないわよ!この小娘!!!

あんた誰よ!」


ガーベラ

「人間??

魚人亡者マーマンだぁあ!!!

魚人亡者マーマンが喋ってる!!」


スイセ

「え?人魚が喋ってる見たいだ?

なによあんた。話が分かるじゃない。

そう。あたしはこの海をたゆたう人魚。

それも人魚オブザ人魚の中の姫

みんなあたしの美貌は人魚姫級と呼ぶの」


ガーベラ

「魚人がいるよぉぉお!!」


スイセ

「そうそう。あたしは魚人オブザ魚人の姫

ってあんた喧嘩売ってんの??」


ガーベラ

「あれ?フジツボついてないっす、、」


スイセ

「そうそうそう。全部 塩茹でして食べちゃった❤︎

って魚人亡者マーマンってあのキモいゾンビのこと!??

ぶっ殺すわよ!!!」


ガーベラ

「まさか、、、」



ガーベラは一気に警戒し

距離を取った。


スイセ

「あらぁ?

アンタもしかして千刃花センジンカ??」


ガーベラ

「おっさんはラミオラス帝国の、、」


スイセ

「おっさん?

おっさんなんていたかしら

どこ?どこ?」


ガーベラ

「いや、アチシたち2人しかいないっすけど。」



一瞬だった。

スイセはガーベラにドロップキックをお見舞いした。


ガーベラ

「ガハッ!!」


スイセ

「よぉ〜く覚えておきなさぁぁい?あたしは

対鞘花タイショウカ特殊魔装トクシュマソウ機動部隊キドウブタイ" 十鬼槍ジッキソウ "黒百合クロユリ部隊" 隊長

スイレ•スイセ•スイレン•ジェシカニーパよ。」


ガーベラ

「、、な、 ナゲェ、、、」



スイセはゆっくりとガーベラに近づきながら

話しかけた。


スイセ

「あっ、名乗る意味もないわねぇ。

だってぇ。あなたもう死ぬから」


ーートギリサイドーー


トギリ

「全然、あいつこねーじゃねぇか。

ったくよ。マジで入れねぇのか?

進んできたはいいが、なんなんだここ。

なーんもねぇじゃねぇか。

ホコラ一つポツンとあるだけでよ。」



トギリは ホコラに近づくと

小さな短剣が マツってあるのが見えた。


トギリ

「神殿っていうからこれは

なんだ?? 神器ジンギか?

まさか、、サヤ??

いや、こんな簡単なわけがねぇ。

なんかあるな、、、

一回引き返すか。」



トギリは扉から出ようとした。


トギリ

「なんだ、、開かねーぞ。」



するとホコラが輝きだした。


トギリ

「おいおいおいおい」



ーーダンデライサイドーー


ダンデライ

「パズルは全部、、ソロいましたね、、

これはまさか!!沈められたのでは??

ん??

何??石碑が輝き始めた!?」



ーーレンゲイサイドーー


レンゲイ

「なんだ、、この、、声 は、、

なに?墓碑が輝きだした、、

まてよ、、この声はさっきの!!」


謎の声

((示せ されば与えられん

示せ アダなす全てを

示せ ナンジの覚悟を

差し出せ その命を))


レンゲイ

「な、なんだ!!!」



神殿が激しく揺れ始める

とてつもない地震が起き

神殿が崩れてしまうのではないかと思うほどの

大地震だった。



ーースイセサイドーー


スイセ

「なによ!!!これ!!」



その隙を見てガーベラは

走り出した。


スイセ

「ちょっ!!逃がさないわよぉお!!」



ーーダンデライサイドーー


ダンデライ

「この揺れ!!」



ダンデライは隊士達のいる部屋に

戻ろうと走ったが扉は開かなかった。


ダンデライ

「閉じ込められた???」



ーーレンゲイサイドーー


レンゲイ

「叫び声の正体はこの声でしたか、、、

おびき寄せる為に、、やってたんですね!!」



各神殿に同時刻

何千もの魚人亡者マーマンが出現した。


魚人亡者マーマン

「フヴァァア!!!」


レンゲイ

「ここは祖先の霊をマツる神殿なのに

サヤは何を考えてるんでしょうか!!」



そういうと

レンゲイは自身の胸に手を当てて

口上コウジョウを唱えた。

辺り一面には暖かな風と光が満ちて

海藻や花が生い茂りはじめたー


レンゲイ

『『天輪 •波濤ハトウ

メグミ鉤爪カギヅメ

芽吹メブキ花咲ハナサキ

贄木ニエキ

メグ生命イノチよ  深淵シンエンに染まれ!!

『『散桜サンオウ突刃トツジン桜雌鹿サクラメロク』』



桜色の美しい刀身が

スッと輝きヤイバ

魚人亡者マーマンに向けた。


レンゲイ

針葉蹂躙シンヨウジュウリン



桜雌鹿サクラメロクから

無数の針の葉が飛び出し次々と魚人亡者マーマン

ツラヌいていった。


レンゲイ

「数が多いです、、ね!」



ーーダンデライサイドーー

ダンデライは壁際に追い込まれていた。


ダンデライ

滅刃メツハイチトウ

滅刃メツハハチ爆連綴バクレンツヅリ

『形状変化、、解放』

鮮烈爆連センレツバクレン、、、鎧無ヨロイナシ



形状変化させた刃術ジンジュツの刀は

ダンデライよりも長い長刀チョウトウへと変化していた。

沸々フツフツと赤く

マグマが煮え タギるように煙が上がっていた。


ダンデライ

臓物ゾウモツ共にぜるがいい」

滅刃メツハ二十ニジュウ土竜熔岩ドリュウヨウガン

鎧無ヨロイナシイチの型• 剥取臓子ハギトリゾウシ



ダンデライは魚人亡者マーマン

その長刀チョウトウで五体の腹を一気にツラヌくと

その周辺にいた魚人亡者マーマン

伝染するように内側から次々と爆破していった。


ーートギリサイドーー

魚人亡者マーマンは全て生き絶えていた。


トギリ

「メンドクセェ。

おい。充分、示したろ。

なんか知らねーけど

この短剣もらってくぜ。」


謎の声

((貴様、、どっちだ。))


トギリ

「どっちだと?」



ーーレンゲイサイドーー

レンゲイも同じく全て片付けていた。

辺りには無数の魚人亡者マーマンの残骸が残っている。


レンゲイ

「このままだとこの神殿がケガれますね。」

花棺ハナヒツギ大草ダイソウ!!』



巨大な花を召喚すると

魚人亡者マーマンの残骸を綺麗残らず

吸い取ってしまった。


レンゲイ

「祖先の魂にとんだ無礼を。

安心して下さい。

花棺ハナヒツギ の一つ 大草ダイソウ

血肉鉄チニクテツを好む食虫植物です。

時間をゆっくりとかけて養分として吸収した後は

ここの新たな守護にもなってくれるでしょう。

魚人亡者マーマンという亡者に頼らなくても

大丈夫ですよ。」



そう言ってレンゲイは深々と頭を下げると

内ポケットから種を取り出し

墓標に向かってバラまいた。


レンゲイ

「芽吹け 桜雌鹿サクラメロク



レンゲイはそういった瞬間

その種は鮮やかな色の花を無数に咲かせた。


レンゲイ

「示せましたかね。」


謎の声

((私はヴェルモール•ポセドニア 18世))


レンゲイ

「なんだ、、これは!!

記録保管 刃術ジンジュツの一種ですか??

違う、、、これは記憶保存 刃術ジンジュツ

いや、にしても高度すぎる、、まさか

サヤの力、、?

サヤが何かを伝えようとしているのか、、」



神殿が突然暗転した。


謎の声

((神として神にアダを成す者

沈められしポセドニア は沈められたのではない

護る為に沈めたのだ))


レンゲイ

「沈めた?みずから沈めたのですか?

一体何から護るために??」


謎の声

((サヤを手に入れようとせん悪鬼アッキからだ。

しかしその者は神の力を持つ者

巨大な力でこの都市を襲ってきた。

渡すではない。決して渡すではない。

千年前より邪悪に染まった神の子らに

渡してはいけない。))


レンゲイ

「分かっています。

しかし、ダンジョンを先に攻略されたら

サヤは攻略した者を強者として

認めてしまう。」


謎の声

((分かっている。

集めよ。三種の神器を。

各神殿にマツられる神を呼びしウツワを。

密かに継承してきたサヤ

渡すではない。))


レンゲイ

「はい。その神器を集めればいんですね?

では、ここにも一つあるはずです。」


謎の声

((後ろを見よ。)」


レンゲイ

「あれは、ガーベラ君が触れた石碑、、」


謎の声

((我が試練を突破し更には

我が兵らの亡骸ナギガラをも

トムラってくれたことに礼を言う。))


レンゲイ

「兵ら?この魚人亡者マーマン

この国の兵士達なのですか??」


謎の声

((千年前、奴に殺された無念の兵士

サヤの力で叩き起こされ

新たなサヤの試練のイシズエとなった。

安らかに眠らせて欲しい。))


レンゲイ

「分かりました。

それにしてもサヤは一体なにを

考えてるのでしょうか。

祖霊ソレイの神殿だからといって

祖霊ソレイと話をさせるなんて。。」


謎の声

((全てはサヤの意思なり。))


レンゲイ

「そうですね。

では最後にお聞かせ下さい。ヴェルモール王よ。

奴とは一体誰ですか??」


謎の声

((神にして神にアダ成す悪鬼アッキ

千年前にこのポセドニアに

攻め入ってきた奴の名は、、))



レンゲイ

「その名は!?」



謎の声

((ロージア))



レンゲイ

「ロージアだと????

嘘だ!!千年前にはロージアなどいない!」


謎の声

((ロージアで間違いはない。))


レンゲイ

「なんだと??どういうことですか!!」


謎の声

((時間がない。参神殿サンシンデンの神器が

敵に渡ってしまった。急げ。))


レンゲイ

「待ってください!!」



神殿は明かりを取り戻し

謎の声は聞こえなくなった。


レンゲイ

「ロージア、、」



レンゲイは石碑に置いてあった

首飾りを取るとその神殿を後にした。


ーースイセサイドーー


スイセ

「もう小娘ちゃんったら

そんなちっぱい揺らして

どこ行くのぉよーん」


ガーベラ

「ハァ、、ハァ、、ハァ、、」


ガーベラ心の声

((マーベラスの報告によれば

十鬼槍ジッキソウは隊長達でも

苦戦した強敵だったはずっす、、、

副隊長の妹はキキョウ先輩とラナンキュラス先輩が

倒したって聞いたっすけど

隊長の姉は倒せなかったと、、

アチシが勝てるわけがないっす!!!))


スイセ

「鬼ごっこぉーん?

あたし、焦らされるのぉぉ」


ガーベラ

「え?」


スイセ低い声で甘く

「だ、い、き、ら、い!!!」


ガーベラ

「グァッ」


スイセ

「んもぉーー!!

軽すぎてぇすぐ飛んじゃわないでよぉー!!」


ガーベラ

「ハァ、、ハァ、、」

滅刃メツハイチトウ

滅刃メツハキュウ 鉄砕牙テッサイガ

『形状変化!!!!解放!!!』

『砕け散れ!!失恋男爵ミスターハートブレイク!!』



刀を身の丈ほどのハンマーに形状変化させて

ガーベラは息も絶え絶えに構えた。


スイセ

「あっー!これが噂に聞く

形状変化って奴ねぇーー!!

ブフッ!!ちっこいハンマーと

身長変わんないじゃなぁぁい!!

あんたそんなんで

あたしを倒せると思うの!?!?

笑いすぎてホルモンがビンビンでちゃーう」


ガーベラ

「アチシが二度も解放したんす!!

甘く見ない方がいーっすよ!!!」


スイセ

「知らないからぁ!

あんたが二度も解放したなんて

知らないんですけどぉー!

ちょっと何?脅し??脅されてるのあたし?

いやん!怖いわぁーーん!!」


ガーベラ

「ヌォォォ!!!!トリャア!!」



ガーベラは勢いよく

スイセに向かってハンマーを振り下ろした。


スイセ

「何よこれ。」



スイセは軽々と受け止めた。


ガーベラ

「まじすか!!」


スイセ

「馬鹿にしてんの?」


ガーベラ

「グァァア!!!」



スイセの蹴りが

ガーベラのみぞおちにクリーンヒットし

遠くに飛ばされてしまった。


スイセ

「あら?やりすぎたかしら?」


ガーベラ

「ウググ、、ォオェ!!

内臓が、、、やられたか、、」



ガーベラは地べたをいながら

近くの瓦礫ガレキにもたれかかった。


ガーベラ弱々しく

照刃ショウハ、、の、、二十八ニジュウハチ 香草煙樹コウソウエンキ



大きな光の木を召喚すると

その木から良い香りの煙が

辺りを包んだ。

ガーベラはそれを大きく吸い込むと

次第に血の気が戻ってきた。


ガーベラ

「危なかった、、照刃ショウハ

得意で良かったと改めて思ったっす、、」



するとザザッと茂みから音がした。


ガーベラ

「グヌヌッ来たっすね、、

かかってこいやぁあ!!!」



ダンデライ

「…ガーベラさん!」


ガーベラ

「ぬぉ!!ダンデライ副隊長ではないか!」


ダンデライ

「一体どこに!?

この煙は敵に見つかりますので

消してください。」


ガーベラ

「通信 刃術ジンジュツ

無理だと申したので回復かつ

居場所を知らせることが出来るようにしたのだ。」



ガーベラはすぐに 刃術ジンジュツを解いた。

しかし残りの煙が辺りをまだ漂っていた。


ダンデライ

「どうしたんですか?

それに失恋男爵ミスターハートブレイクを。

何があったんですか、、」


ガーベラ

「うぬも 鎧無ヨロイナシ

解放したままではないか!

ほか隊士はどうしたんすか!!」


ダンデライ

「あそこで休ませてます。

それより神器を集めなくては!!あと二つです。」


ガーベラ

「神器??その趣味悪い鏡はなんすか?」


ダンデライ

「これが神器ですよ。

壁画を動かしてみたら

どうやらこの神器を集めて

あの 祭壇サイダンへ持っていくのです。

私だけでもいこうと思ったら

香草煙樹コウソウエンキが見えたので

急いで来ました。」


ガーベラ

「そうなんすか、、

でも今はちょっとタイミングが良いのか

悪いのか分からないっすね。

十鬼槍ジッキソウの隊長に

追われてるんすよ。

アチシらじゃマトモに勝てないっすよ。」


ダンデライ

「わかりました。

では勝たなくて良い方法で。」


スイセ

「みーつけたっ!!ん???

ちょっと誰よ今度は!

あら?イケメンじゃない!!!

あたしぃ

男らしいのちゅきちゅキビーム!!!!」


ダンデライ

魚人亡者マーマン!!」


スイセ

「ちょっと!!何よあんた達!!」


ガーベラ

「コイツが十鬼槍ジッキソウ黒百合クロユリ部隊の隊長っす。」


ダンデライ

「コイツがか、、、

四刃花隊ヨンジンカタイ 副隊長 ダンデライ」


スイセ

「あらぁ。礼儀は正しいのねん。

そっちの小娘も副隊長よね??

そんなことよりぃ。ダンデライくーん。

オネェさん好き?」


ガーベラ

「初対面でそんなこと聞く生き物っているんすか?」


スイセ

「うっさいわね!ここよ!!」


ダンデライ

「お命頂戴する」



ダンデライは素早くスイセとの距離を詰めた。


スイセ

「早いわね。」



スイセはギリギリの所で避ける。


スイセ

「甘いわよ。」


ダンデライ

「そうですかい」



スイセの足元が爆発した。


スイセ

「グッッ、、爆発??

ちょっと!!!靴が燃えたじゃない!!

ヌん!!!!」



ダンデライはスイセのラリアットをかわすと

距離をとって離れた。


ダンデライ

「効いてない、、

やはり直接ツラヌかなければ、、」


ガーベラ

「援護!!」



ガーベラはダンデライの目を見たあと横をスッと

走り抜けた。


ダンデライ

「わかりました。」

滅刃メツハ二十四ニジュウヨン熱鱗粉ネツリンプン

鎧無ヨロイナシの型• 連焉伸士ツラナリシンシ



無数の蝶が 鎧無ヨロイナシに連なると

ガーベラよりも速く

ヤイバが高速でグングンと伸びていった。


スイセ

「こんなヤイバ触れても

大した爆発じゃないわよ。」



そう言うとスイセは

鎧無ヨロイナシを蹴りで弾いたが

突然赤い刀身がグルグルとスイセの身体に巻き付いた。


スイセ

「グッ、熱い!!!!、こんなもの!!!」



スイセは巻きつく刀身を力のみで砕いた。

その瞬間、強烈な爆発が巻き起こる。


スイセ

「んもう!!!!」



辺りが爆発の余波で煙が舞う。

先ほどの香草煙樹コウソウエンキ

煙も相まってか

何も見えなくなっていた。


スイセ

「日焼けしたくらいの火傷で

勝った気になってたらウケるんですけどぉ!!」


ガーベラ

「トォオリャォァア」


スイセ

「どこからでも来なさい!!

効かないのよ!!そんなオモチャ!!」


ガーベラ

剋刃ゴクハキュウ転歩連重テプレノン!!!』

ジュウ!!ジュウ!!ジュウッッッッ!!!」


スイセ

「下から!??グッ!!え?なにこれ?!

身体がぁあ!!」



剋刃ゴクハキュウ転歩連重テプレノンとは

先の戦いで魚人亡者マーマンを倒した

剋刃ゴクハジュウ連破深比重レバミピドン

正反対の 刃術ジンジュツである。

掛け声に合わせて重さを

10倍ずつ軽くする刃術ジンジュツである。


ガーベラ

「吹っ飛べぇえ!!!!!!」

恋はいつでも超急転回メリーゴーランドーン!!!!』


スイセ

「覚えときなサァイよぉお!!」



スイセの声は次第に遠くなっていった。


ガーベラ

「手汗を握る まさかの展開だったぜ」



ダンデライ

「やりましたね。」


ガーベラ

「アチシらだけじゃ

勝てないっすから。

速く隊長達と、合流しないと

マトモに戦うなら隊長達が

いないとアチシら死んじまいます。」


ダンデライ

「それほどにですか。」


ガーベラ

「アチシらの攻撃なんて

一つも効いてないっすよ。

アチシらが出来るのは

オトリになって隙を作ってあげるくらいっす。」


ダンデライ

「嫌ですか?」


ガーベラ

「いえ。別に」


ダンデライ

「私はクーワ隊長の為なら

オトリでもイケニエにでもする覚悟ですよ。

レンゲイ隊長にはそれほどまでの価値がないと?」


ガーベラ

「アチシの問題っすよ。」


ダンデライ

「ではご自分で解決して下さい。

私はクーワ隊長の元へと向かいます。」



ーートギリサイドーー


トギリ

「メンドクセェな。

で。何が言いてぇんだよ。」



謎の声

((…トギリ•ヴェルモール•ポセドニア  ))

((貴様になど渡すものなど何もない。))



トギリ

「その名で呼ぶんじゃねぇよ」



千刃花センジンカ帝国特務戦闘部隊テイコクトクムセントウブタイ〜ー

海底都市 ポセドニア

Part Ⅳ 薔薇に散りけり都の祈り (完)






おまけ






ガーベラナレーション

この人はよく家に来る


レンゲイ

「大きくなりましたね!!

また遊びに来ますね!!」


ガーベラナレーション

無駄に明るいお兄さんというのが第一印象だった。

よく遊んでもらってた。


レンゲイ

「お土産を買ってきましたよお!!

お勉強はどうですか?はかどってますか?」


ガーベラナレーション

この人が嫌いになった。


レンゲイ

「泣かないで下さい、、

僕が、、僕が、、」


ガーベラナレーション

あの日から家に来なくなった。

久しぶりに会った気がする。

やっぱり隊長になってた。


レンゲイ

「入学おめでとうございます」


ガーベラナレーション

昔の笑顔がなくなっていた。

少し寂しかった。


レンゲイ

「お久しぶりです。

照刃ショウハの才が

やはりあるのですね。」


ガーベラナレーション

一刃花隊イチジンカタイ

配属願いを出したのに

五刃花隊ゴジンカタイに配属された。


レンゲイ

「これからは僕の部下です。

よろしくお願いします。」



ガーベラナレーション

私はお父さんを殺したこの人が

大嫌いだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る