第29話 鹿とろうそく
鹿は雪の夜の部屋にいる
ろうそくのぬくもりと光が彼の横顔を照らした
微かな光を通して
近くに降ってくる雪が見える
ガラス窓にかすかな音を残します
子鹿が窓の外を眺めている
野に揺れる花を想う
あの五色の雲霞が恋しい
雨のように降ってくる鳥の鳴き声と
彼は別れ際の母の目が恋しい
夜に蛍が目に映る
そっとこぼれ落ちそうな一滴の涙のように
彼は春と夏と秋の景色が恋しい
今は一粒一粒に砕けた白い雲だけが落ちている
彼はろうそくに目を向けた
ろうそくの炎がかすかに舞う
きれいな光を放つ
小さな体が溶けて熱を発する
涙が流れている
なぜ光るろうそくにも涙があるのか
鹿が顔を近づけて見る
熱い熱い涙だ
あれも泣いているのか
明るく見えるのに涙を流している
子鹿は感動した
彼も涙を流している
彼は目を閉じた
目の前にはぼんやりした光の光しかない
ろうそくの熱を感じるために少し近づきました
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