第25話 襲撃の後で!
バァン!
「ジェニファー!大丈夫か?」
俺は扉を突き破る勢いで、玄関の扉をぶち開けた。
「わっ、驚かせないでよー。紅茶がこぼれちゃうでしょー。」
ジェニファーはいつも通り紅茶を入れている最中だった。
「良かった…」
俺を襲ったチンピラ達はここには来ていないようだ。ほっとした。
「…どしたの?」
「実はな…」
〜
「あー、『冒険の書』の特性を知ってる人に襲われたのね。…ケガは無かった?」
ジェニファーは俺の周りを一周した。ケガが無いか見てくれたようだ。
「ケガはしてないよ。何とか巻けたから。」
「無事で何より。だけど、これからが心配だねー。これをあげよう。」
ジェニファーは戸棚から、緑色の石を取り出した。
「これはねー、ワープ石。地面に叩きつけると1000m先に飛ばされるんだ。逃げる時にきっと役立つよー。」
「ありがとう。ジェニファー。」
「とにかく、今は『練度』を上げる事に集中して。きっと、役に立つからさ。」
「…でさ、ちょっと休んでいかない?疲れてるでしょ?」
「いいの?」
「いいに決まってるよー。あなたといると、なんだか楽しいし。」
「それじゃ頂くよ。うん…美味しい」
こうして、俺はジェニファーとお茶会を楽しんだ。
〜その日の夕方〜
俺はギルドに行き、ギルドマスターにこの事を話した。
「話は保安官から聞いている。安心しろ。賊は全員捕まえたそうだ。」
ホッ…
不安が消え去った。あんな危険な奴らが野放しだと、誰もが落ち着いて生活できないからな。
「だけど、油断するなよ。今回の襲撃は何者かによって依頼されたものらしい。また襲撃されることがあるかもしれない。安全のためにしばらくは身を隠した方がいいんじゃないか?。」
「でも、俺は強くならないといけないし、そらに…」
「ジェニファーのことか?心配するなよ!なんたって私の自慢の妹だ。賊などイチコロで倒せるからね。」
「分かった。しばらく身を隠す事にするよ。」
ジェニファーの姉であるギルドマスターにとった、賊に追われている俺を近づけたく無いんだろうな。
俺は、重い足取りで冒険者ギルドを後にした。そして、文鎮を載せるように故郷へ向かう馬車に乗り込んだのだった。
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