word51 「白いパソコン 何」②
日中の間は時間があれば、なぜ黒いパソコンが自分の元にやってきたのかを考えた――。それと、結局黒いパソコンとはどういうものなのかってこと――。
今日僕は黒いパソコンの謎に少なからず近づけるであろう検索をすることに決めたけれど、それまで時間があるし自分の頭も働かせてみることにしたのだ。このことについて考えるのって、面白いし。
初めからあった疑問だけど長い間、これといった手掛かりを得られていなかった。その辺のことについて検索をしても、全てエラーが表示されるだけだし、未知の物体過ぎて自力で手掛かりを探そうにも何から始めていいのか分からない。
だから僕はそれを求めることを諦め気味、時間が経てばそのうち何か手掛かり出てくるんじゃねというスタンスだった。
けれど、ここにきて……作戦通りと言えば作戦通り、謎解明の手掛かりになりそうな出来事があった。
なんとなく行った検索に、宇宙人であるお隣さんが出現して、地球を巻き込む宇宙戦争が起こりかけていることを知ることになり、宇宙戦争を止めるために動かされた。
これは単なる偶然では片付けられない事案である。今まで僕以外の為になる検索結果を黒いパソコンがアドリブで表示することは無かった。けれどあれは、地球を守るために黒いパソコンに動かされたようだった。
しかも、僕はそのせいで怖い思いもしたし、時間もいくらか無駄にした。明らかにこれまでの検索結果とは違う。ずっと使ってきた僕だからこそ分かる異質さ。黒いパソコンはそんな奴じゃなかったはず。
それとも僕を守るために地球を守るように促したのだろうか。地球を守ることが結果的に僕を守ることだから、関係ない検索に警告を混ぜてきたのか。
でも、今まで黒いパソコンが危険を知らせるアラートとして機能してくれたことは無かった……。死ぬほどの危険だから特例か……。
その可能性も考えられるが、それでも僕はやっぱり「宇宙戦争を止めさせるために、黒いパソコンは僕の元にやってきた」、この説を推したい――。
赤より青が好きみたいな話だった。そこに確かな根拠なんかなくて、そっちのほうが好みだから。何か大きな使命があるから、僕が選ばれたって方がかっこいいからだ。
そうであってほしい。それに、この説が違ってたらもうここからは黒いパソコンの謎に迫れないで終わりだし。
空に浮かぶ白い雲を見ながら、同じようにふわっとした気分での考え事だった。本来そうあるべきなのかもしれないが、未知の恐怖で深刻な気分にってことにはなってない。
他にも誰が黒いパソコンを僕にという謎を考えたが、それも未来の僕が作って届けてくれただとか、めちゃくちゃかわいい女の子だったらどうしようなんて妄想めいた方向に頭が行ってしまった。
――雲を見上げたまま通学路を通って帰宅すると、僕はすぐに黒いパソコンを取り出した。制服の上着も脱がずに、キーボードを叩く。
まだ検索できる時間じゃないことは分かっている。けれど、ずっと考えていたから待ちきれなくって……世界を救ったサービスとかで特別に使わせてくれないかと考えたのだ。
お隣さんの家に行った時から検索してみようと思っていた、黒いパソコンの謎に迫れそうな検索ワードとは……。
「白いパソコン 何」
これである。この前お隣さん家で調べた「隣の家 パソコン」を今度は自宅から検索する。入力し終えると僕はEnterキーを連打した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます