word47 「黒いパソコン お隣さんから」⑤
帰る前の最終確認。そのつもりで言った質問だった。これで何も変わった反応がなければ、僕の思い過ごしだったと帰ろうとしていたのに……。
「寒くなってきたんで――」、次にそうやって言う準備もしていたのに、お隣さんは急転直下の爆弾発言をした。
「えっ」
その短い言葉しか言えなかった。とてもじゃないけど、次に何を言っていいか分からない。
「……もっと、かいつまんで言うならば、私がこの地球で言うところの宇宙人という存在だったと言ったら、信じられるかい?」
「……な、何を言っているんですか?」
「どうか真剣に答えてほしい。とは言っても直感的に」
そう言いながら、空を見ていたお隣さんがまた僕の目を見たので、ベンチに座ったまま半歩分の距離を取ってしまった。いつでもダッシュで逃げられるようにと、バレないようにそっと足の先を公園の出口に向けるなんてこともした――。
いや待て、これで動揺するほうがおかしいか。まだ普通を演じるべきか。
「そんな……信じませんよ。信じられるわけないじゃないですか。おじさんが宇宙人だなんて。はは……」
「この惑星にはね、人間が気づいていないだけで、いくつもの星から来た何人もの宇宙人が住んでいるんだよ。姿を変えたり、人間が絶対に見れない場所でね。これもやっぱり私の妄想だと思うかい?」
「はい……だって、それってそれこそテレビや漫画の話じゃないですか。何言ってるんですか」
「まあ、信じられないだろうね。でもこれは真実なんだよ」
違う違うと否定の言葉ばかりが頭に浮かぶ。それを声にしたいという欲求が膨らむ。けれど、頭では分かっているのだ。
信じるも何も僕は最初っから知っているのだ――。
「遠回しな言い方をしたけど、実は私は君に信じてほしいんだ。私は宇宙人なんだ」
「……………………」
だから、何も言えなくなってしまった。
「本当なんだ……」
まるで宇宙空間に1人投げ出されたかのような気分だった。不安で怖くて、無重力になってしまったくらい足に力が入らない。
けれど、僕はその先が気になった。この闇の向こうに何があるのか。一体どうしてお隣さんは急に正体を明かしたのか。
「信じたら、どうするんですか?」
「君に聞いてほしいことがあるんだ。でも、これは完全に信じてから聞いてほしいから。まずは、私が本当に宇宙人だと言うことを証明するよ」
「ええ。一体どうやって」
「僕の本当の姿を君に見せるし、君が見たことないような生物や機械も見せるよ。それに……」
「それに?」
「何でも検索できるパソコンもあるんだ、使わせてあげるよ」
見せるも何も見たことがあるんだと思っていたけど、その言葉で僕の目がかっと開いた――。
「今日の君はいつもと違う。きっと本当は何か悩んでいるんだろう。それを使えば解決できるかもしれない」
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