第5話 入学試験ですのよぉお!!


 結論から言うと、学舎に入れることになりましたの。



 村長と村から東に歩くこと三時間。そこに領主様の邸宅と学舎がありますの。

 鍛治工房やパン焼き釜、風車に馬小屋とあらゆる施設が密集していて要塞みたいでした。原始的な設備のはずですが文明を感じましたの。


 使用人の案内で応接間に通されました。

 そこには既に、一人の女性が待っていましたの。

 髪を頭の上で団子にまとめた、ややつり目の三十代。


 どうやら試験官みたいですの。

 

「初めまして。わたくしタマ――」


「あなたがタマラさんね入学試験を始めますのでこちらにお座りなさい村長さんは執務室で領主様がお待ちですのでそちらにさあ試験をはじめますよ」


「あ、はい」


 と甲高い声で捲し立ててて、いきなり試験が始まりました。

 このわたくしに自己紹介すらさせないとは、なかなかやりますの……!


 で肝心の試験ですが、こっちの世界の文字なんて見たこともないので、基本は口頭での質疑応答になるわけですが……


「五つのカブが植わった畝が三列あります。合計でいくつですか?」


というものから始まり、


「あなたは10人の兵士を従えて一台の馬車を護衛しています。すると前方から3人の男が歩いてきました。馬車を安全に守るためにはどうするのが最適か答えないさい」


 と言うものまで。

 いや二問目に関してはこれ完全に軍人用か何かですわよね?

 わたくしそんなのわかりませんわよ!?

 

 しかしどうにかこうにか答えること約一時間。


「タマラさん合格ですさっそく明日から学舎への入学を許可しますああ申し遅れました私はモンロー・ヘズロックです学者で初等教育の教師をしていますようこそ学舎へタマラさん」


 と捲し立ててこちらの手を勝手に取ってブンブン振るモンロー先生。

 よくわかりませんが合格したらしいですの。


「まあ、ありがとうございますモ――」


「それでは明日には使者が学舎の説明にいきますので準備しておいてくださいねそれと村長は外でお待ちです」


「は、はい。ではさよ――」


「はいさようならあなたが学舎に通うことを心待ちにしております」


「……」


 こちらが話す間もなく畳みかけられますの!!

 この先生、やはりやり手ですわ……!!


 とにかく、学舎へ入学できましたわ!!

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