ド平民ですのよォオオオオオ!!

@shoudagon

第1話 転生しましたわぁああ!!


「死にましたわぁああああ!!!」


 黒塗りのリムジンが目の前に迫ったその時、来るべき痛みは来ませんでした。


 代わりに目に入ったのは見知らぬ天井。それも腐りかけで今にも崩れそうですの。


 どうやら寝ていたようで、体を起こしてあたりを見ると、それはそれはひどい有様でした。


 割れ欠けの壺、ガラスすらない窓、使い古された桶、部屋の角には蜘蛛の巣。

 自分が寝かされていたベッドに至っては木の板に藁を敷いただけですの。


 手入れしていない別荘でももう少しましな内装だったと記憶しているのですが……。


 ふと首を傾げたとき、栗色の髪が垂れてきました。


 そう栗色。私の髪は父親譲りのブロンドヘアだったはずなのです。

 認識した途端、猛烈に襲い来る体への違和感。


 慌てて身を起こし、近くに置いてあった桶の水面で、自分を見ると……。


 二十歳目前だったはずの身体は、10歳前後のぷにぷにな子供のものに。

 ブロンドヘアは明るい栗色に。

 そして目は……あら、以前と変わらずぱっちりおめめですの。

 いやそれはともかく、


「わたくし、誰ですのぉおおおおお!!!」


 わたくしはそう叫ぶしかありませんでしたの。

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