チョコレートの女の子
トンケント
第1話
チン、レンジが大爆発。そんな感じで生まれた女の子。名前はまだない。暗闇の中ではスヤスヤと眠っている。
料理長は電気をつけ直す。次に、レンジを開けてみると驚いた。レンジの中には〝ロール髪型〟の女の子があったためだ。
ゆっくり台に置き、気がついた。女の子の〝髪はパン〟でできていた。
パンには寂しく穴が空いていた。その穴に、料理長はたっぷりのチョコレートを入れてみる。すると、女の子は人のように動き出した。
「あなたは誰ですか?」
女の子は喋りだす。
驚いた料理長は口を動かそうとするが、うまく動かない。
「あぐ、あぎがご」
「アグアギガゴさんですね。私の名前は・・・私の名前を知ってますか?」
「ちょ、ちょと待て!落ち着こう!」
「どうしたのですか?アグアギガゴさん」
「違う。俺の名はアグアなんとかではない。俺の名は料理長だ。・・・お前は誰だ?」
「私は私です。しかし、私は私を知りません。それはもう致命的なことです。・・・ところで、あなは私を知らないのですか?」
「知らない、っていうか、なんていうか・・・」
「そうですか。では、おさらばです」
女の子は台からおりると、体を扉に向けた。
「ちょ、ちっと待って!」
迷いのない女の子を止めようとした料理長。
慌てたためか、料理長は足を滑らせた。
転んだ勢いは、女の子の〝髪〟か〝パン〟か不明な物を掴むことで止まった。
しかし、〝髪のパン〟の中にあったチョコレートがたっぷりと流れ落ちる。
女の子の意識はそこで途切れた。
チョコレートの女の子 トンケント @tonkento
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