粉チーズとぼく

 前日の失敗を踏まえ、今日のぼくは頭に粉チーズをかけて出勤した。

 ちらちらと中野さんの方を伺うが、特にリアクションはない。


「曽我くん。頭にフケがついてるぞ」


 通り掛かった総務課長は、そう言ってぼくの頭を払った。

 チーズが床に落ちる。


「ん。めっちゃ出るな。フケ」


 課長はぼくの頭を払い続ける。


「何だこれは。曽我くん、これ大丈夫か?」


 まだまだ落ちる。


「何かの病気じゃないか?」


 チーズは降り積もり、小山を為す。

 ちょっとしたゲレンデだ。


「はあ、すみません。大丈夫だと思います。」

「そうか。頭は毎日洗えよ」

「はい、気をつけます」


 ネズミがわくと困るので、ぼくは箒を取りに行った。

 ここまで、中野さんは何の反応もしなかった。

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