ジュース

晴れ時々雨

🍹

たぶん私が駄々をこねると思ったんだろう。

ハルは言いたいことをうまく暈し纏め、私の髪を撫でた。それに抗うこともなく私は彼の腕の中に収まり動きに委ねる。一番拒否したい部分は覆らないとよくわかっているつもり。私たちは終わったのだ。


自分でも気味が悪いくらい素直に彼に寄り添うことができた。最後という縛りがそうさせる。最後ってすごいなと思う。意識しなければ一度にすべての望みを叶えようなどとは思わない。私は下着の上からハルの股間をまさぐった。僅かに硬直し始める彼のペニスを感じながら、下に上に撫であげる。柔らかい生地の向こうでにょきりと生々しく形を変えていく男のシンボルがたった今の彼の真実であるのを確認して高揚と安堵をする。ペニスが生地を通して熱を持ちだしたので、下着の裾から手を忍ばせ局部に直接触れるとピクリとそれは硬度を増す。ぎゅっと握る。彼は足先をやや突っ張らせ腰を少し反らす。ず、と握った手を下にずらす。ぐいと下着の中で亀頭が鋭角になる。熱い。私は半開きになっているだろう彼の唇を求める。近づいたとたん彼が私の頭を自分に押し付け激しくキスをしてくる。ああ。ハルの唇。すぐに舌を貪り合う。行為の中でキスが一番いやらしい音を立てる。これからもっと凄いことをする前触れのように気を高める大事な過程。彼の舌が私の舌を絞るように絡み根こそぎ唾液を絡めとって飲み込む音がし、私は息継ぎの合間に声を洩らしてしまう。

「は…ン」

ごくり、と空気を飲む音。ハルの指先が荒々しく私の下着に割り込み秘部へ滑り込む。

「あ…」

既に私は潤っていた。私は彼とのキスが好きだった。パンツの中のハルを激しく扱き上げる。しゅっしゅっと動かすたび怒張が強くなる。そのまま下着を脱がせるため一旦離れ、両手をパンツの腰の部分に掛けると彼は腰を浮かせ、一気に引きずり下ろすとペニスがぶるんと跳ねて現れる。それを見るのが好き。たまらなそうに期待に膨らんだおちんちんが私をみてお辞儀をするのだ。ぶるんと。それは早くしろと飼い犬に顎をしゃくる主人のようにも見えた。わんわん。私は口を開いてお迎えに上がる。ささやかに手を添え直立させたペニスに唾を垂らしじっとりと口内で包む。唾液に塗れさせるためにしばらく亀頭を練り回す。これもキスの一部なので濡れた音を立てる。カリの返しの角度が正確に測れるぐらいくっきりと立体感を持つペニスが愛しい。これが私のアソコに引っかかり、私の意識を飛ばすのだ。彼を咥えながら自分の股がうずうずと濡れそぼっていくのを感じる。

口の奥へ進む陰茎をずぼ、と音を立てながら吸い上げ、舐め上げ、睾丸を揉みしだく。ぬるい液体がぬとりと先端から伝うのを指で拭って全体に馴染ませる。かなり滑りが良くなったペニスを強く扱く。早く、緩く、時に捻じるように。

「う…ん…」

彼が息を洩らす。

手で擦りながら玉を口に含む。ころころと舌で弄ぶ。

「あ…ダメ、イキそう、」

ここでストップ。糸を引く口を離し輪っか状にした指でペニスの根元をぎゅっと締め、びたびたの口の周りを舌で舐めとる。

「まだダメ」

「オレの番」

うん知ってる。もうすっかり整っている私の陰部を敢えて確かめて満足そうに舌なめずりする彼の緩んだ目つきがとてもいやらしい光を湛えて鈍く光る。

「わぁすごい、どした?」

聞かないでよパブロフの犬なんだからさ。あなたの勃起したちんちん見てしまうとこうなるのよ。私のアソコは想像力が豊かだから次とかその次とかこれから起こることを考えただけで触れなくたってぐじゅぐじゅになるの。

彼は私の答えなんかどうでもよくて、自分の発する言葉に興奮を高める。

答えなんか用意しない方が何もかも上手くいくのだ。結果が出てからだって遅くない物の先追いをして勝手に傷つく私たちはあほだと言える。

焦って出した答えは不正解とは言えないまでも、直感的すぎる言葉は人を傷つけるには十分な鋭利さを孕む。真実には容易に近づいてはいけない。真実に1mmでも幸福を求めるなら、あとでじっくり気づいた方が1gの重みを得るのだ。


ロス、ロス。

最後だからってセックスに理屈を当てこもうとして正気にかえるところだった。今回だけは、1回感じるたびにバカにならなければ損だ。3回なんて悠長なことを言っている場合じゃない。なんたって最後なんだから。

彼が右の乳房を揉みながら左の乳首に吸い付いて舌で転がす。唇で、或いは上顎と舌で挟みじゅうと吸う。そのたび膣がきゅっと締まる。乳房を揉む手が強まりぎゅっと握られ息が詰まる。

「はっ…」

その口を塞がれ唇を吸われる。私は息をするのがやっとだった。ハルは私のあちこちを同時に責め立て、引っ掻き、苦痛と蕩心の狭間に追いやる。

彼はちゅっと数度音を鳴らして離れると、舌で私の下腹部へ降りていってその先で膣襞を割り私の核芯を軽妙に弾いた。

「あっ…ん」

そして何度も摩擦を繰り返す。ダメだダメだこれはダメ。私は堪らず足を閉じるが、彼の力に勝てるはずもなく膝が震えただけだった。

「ギブ?」

「…じゃない」

震える膝の力を抜いて彼の虐めを受け入れる。ああもうどうにでもしてくれ。私はつらすぎて泣いてしまった。

「よし、素直だ」

彼の攻めがつらくてたまに泣いてしまうことがあるのだけど、彼はそういう私に満足する。私は気持ちがいいのかよして欲しいのか判然としないまま、ハルが私を虐め殺したいのではないかと思い当たる。

したいならすればいい。いつも即答で思うけれど、あとで正気に返ったとき自分の淫乱さにぞくぞくする。

ハルが横たわった私の背中に手を入れ体をひっくり返す。彼の目の前に陰部を晒すように四つん這いになった私はそのまま彼の口戯を受け続け、垂れ流しの愛液とハルの唾液が混ざる音を耳の中で増幅させる。伸び掛けの彼の髭が秘丘を擦る。

突き立てた腕がシーツの上でがくがくと震える。もう耐えられそうもない。そう思った矢先、彼が膣口でペニスの先をぬるぬると遊ばせ、私の女穴はぱくぱくと喘ぐ。お喋りな私の穴はハルに訴えてる。ちょうだい。ちょうだい。あなたのびんびんなおちんぽ、それを今スグに。

彼が私をいらいながら動くとき、それに合わせ揺れる肉棒を想像してまた濡れる。粘液の増量が知れたのか、ハルは的を絞って力を込めてくる。ずぶずぶと若干の抵抗をみせるも、ずるりと彼を収める私。

「あぁっ…」

ハルは一気に責め上げる。私は芯から揺すぶられ彼の傀儡のように体を反らす。

「すっげ、ぬっるぬる、たまんね」

「はっ…あっ」

ハルの声で述べられる感想は私の蛇口を破壊するくらいの力を発揮する。

私が恥ずかしく濡れるのも、それをしているのが彼で、その私に溺れる彼も、みんながみんな恍惚と快楽を基剤にした渦の中でミキサーにかけられた生卵とオクラと納豆プラスラブの、飲み下すには重すぎるジュースみたいにどろどろな生臭い液体になる。

彼が私の腰を持ち上げ自分の最高の角度を作り上げ、私にも最高を叩きつけてくる。

いい、いいよ、ハルミチ、壊して。

彼が本気を出せるように全部開き切って、でもやっぱりどこか嘘をついて、最後だからって、好きって言わなかった。

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ジュース 晴れ時々雨 @rio11ruiagent

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