第48話伯母様の小間使いはメイベル

伯母様の屋敷に来てから、毎朝、早起きさせられる。




いつもなら朝食を食べると、ゆっくりソファーに座り休めるが、ここでは伯母様に書斎に連れて行かれて、伯母様の手伝いをさせられる。




今日も伯母様がやっているマナー講師の資料の清書だった。




「メイベル、もっと手早くしなさい」


「伯母様ぁ、これは専門の方に頼まないんですかぁ?」


「あなたがいるのですから必要ありません」




伯母様…これでは伯母様の小間使いですぅ!


終わる頃には既にお昼過ぎ。




「…お腹が空きましたぁ…」


「早くしないからです」




伯母様はイライラして、いつも怒っている。


怖いですぅ!




お姉様の結婚式が近いから早く準備をしないといけないのに!




「伯母様…結婚式のドレスはいつ作るのですか?」


「…ドレス?」


「はい、綺麗なドレスにしないとクロード様が困ってしまいます!」




「あなたは何を言っているのです。あなたのドレスなんて、どうでもいいのです。クロード様はラケルが綺麗なら他は気になりませんよ」


「そんなのおかしいですぅ!」


「おかしくありません!」




うぅっ…、また怖い顔です。




「いいですか、メイベル。あなたのように下品なもの言いで殿方を誘惑してはいけません。淑女として毅然としていれば、良い縁談は自然と来るのです」


「…私が可愛いってことですか?」


「違います!!あなたに常識がないということです!立ち振る舞いもまだまだです!」


「…早く帰りたいです…」


「…一生私と住みますか」




伯母様の眉間にシワが寄ったままの笑顔は怖かった。


伯母様と一生一緒なんて絶対嫌ですぅ!




「さぁ、今から慈善活動に行きますよ。お供するのです!」


「伯母様の所に来てから一度もお昼寝がありません」


「私の屋敷にお昼寝という言葉はありません!」




そして、今日も慈善活動に連れて行かれた。


その間も伯母様はずっと私を後ろから、見ている。


そのうち刺されるかもしれないです…。


怖いのです。




難しいことばかりで大変な私ですが、伯母様の屋敷に来てどれくらいでしょうか。


ある日伯母様が、2日間留守にしました。


外泊でいなかったのです。




屋敷に鍵をかけられ、使用人も私を屋敷から出してはくれませんでしたが、やっと私にお昼寝の時間ができました。




お昼寝を堪能してやりました。




そして伯母様が、外泊から帰りましたが、あっさり使用人がバラしてしまいました。


ひどいです。




外泊の理由はもっとひどかったです。


なんと、お姉様があの素敵なクロード様と結婚したのです。


私は結婚式に呼ばれていませんでした。




そして、今日も伯母様から刺されそうな視線を浴びながら、お昼寝のない大変な1日が過ぎて行きました。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る