第46話気分上昇中

あれから何日も経ち、やっとクロード様のご両親にお会いできた。


お二人とも、顔が整っている。


明らかにこのご両親の産物がクロード様だ、と納得する。




「遅くなってごめんなさいね。お会いできて嬉しいわ」




お義母様は、まだ若く見えクロード様のお姉様でも通りそうだった。




「ラケル、母上は若作りだ」




クロード様は私が思っていることがわかるようで、一言呟いた。


お義母様は無言の笑顔で、クロード様を睨んでいた。




お互い挨拶を交わすと、クロード様はいきなり本題に入った。




「父上、母上。すぐにラケルと結婚しようと思っています」




すぐに結婚していいのか、とドキドキしながら隣に座っているクロード様に手を握られていると、ご両親はあっさりしていた。




「いいんじゃないか。すぐに結婚しても反対なんかしないぞ」




お義父様の返事にクロード様を見ると、両親は放任主義だからこんなもんだ。と普通だった。




テンションが上がったのはマーカスさんだった。




「旦那様!ご英断です!やりましたね!クロード様!」




マーカスさんはお茶を持ってきたトレイを持ったまま、ガッツポーズをしていた。




マーカスさん、テンションが上がりすぎです。




「そうだな…クロードが初めて女性を紹介したのだから、待ちきれないのだろうな」


「そうなのです!この間なんかは二人で廊下で抱き合っていました。早く結婚しないと、色々順番がずれたのがバレてしまいます」




止めて下さい、マーカスさん。


何を言っているのですか。




それは、子供ができた時、もしくは出産時に、あれっ、結婚した日と、子供のできた時期を遡ったらおかしくない?と暗に言ってますか。


そう言うことですか!?




まだですからね!


まだキスしかしてませんからね!




どうしてこの家族は動揺しないんですか?


お義父様は、やるな、とでも言いたいかの様にクロード様を見てるし、お義母様は、あらあら、と微笑ましい。


クロード様は、ハァーとため息をついている。




「…クロード様…」




一人恥ずかしくなり、クロード様の腕を引っ張ると、気づいてくれた。




「…マーカス、落ち着け。順番は守っている。ラケルを困らせないでくれ」


「すみません、気分が上昇してしまいました」




そうですね!


邸を突き抜けるほど、気分上昇中でしたね!




すると、お義母様が、ふふふ、と話し出した。




「マーカスは、クロードが子供の時から甘やかしたくて昔から構いたかったのよ」


「クロード様…甘やかされてましたか?」


「どうかな…」




クロード様がそう言うと、マーカスさんは力一杯話し出した。


この人は年の割にはいつも元気だ。




「ラケル様、クロード様は全く甘えませんでした。甘やかそうとしたのに、全くなびかないのです。でも、大丈夫です!今度こそ、ラケル様とクロード様のお子様はしっかり甘やかします!」


「ほ、ほどほどにして下さいね」


「お任せ下さい!」




なびかないって…。


結婚して、クロード様の子供が出来たら本当に甘やかしそうだわ。


メイベルみたいにならなければいいけど、でも、クロード様の子供なら、何となく大丈夫な気がするわ…。




そして、1ヶ月後にはクロード様と正式に結婚をした。








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