第44話タイプ
鬱陶しい兄上がいなくなり、邸は落ち着いた。
父上はまだ、寝込んだままだ。
堅実なラケル様をよほど嫁に迎えたかったのだろう。
きっと、何とか兄上と婚約を戻すように考えをめぐらせていたのだろうが、無理なものは無理だ。
ましてや、ラケル様の新しい婚約者はあのアラステア公爵の嫡男で、中々の人格者だ。
どう見たってラケル様とお似合いだし、クロード様はラケル様にベタ惚れに見える。
父上も、兄上と婚約を戻す可能性は全くないと確信したのだ。
父上はラケル様がお気に入りだったから、兄上のように邪魔することはないだろう。
私もラケル様が姉上にならずちょっと淋しい。
今日は、クロード様とラケル様が父上の見舞いに来て下さった。
父上はラケル様に会えてちょっと嬉しそうだった。
しかし、その後の話に驚いた。
昨日、バカ兄の支払いの為に行ったオートクチュールで出会ったルシール公爵令嬢を紹介したいと言うのだ。
「アーヴィン様、いかがですか?」
いかがですか?と言われても…正直タイプだった。
しかし、メイベルと同じタイプなら散財をされてしまうし…。
メイベルの家と違い公爵家ならこちらの金を当てにすることはないだろうか…。
「ルシール嬢のお父上のベイツ公爵は俺の上司なんだ。良ければ話を通すが…」
「上司?…ルシール嬢のお父上は騎士様ですか?」
「そうだ。公爵でもあられるが、真面目な方で立派に騎士を務めている方だ」
ということは、爵位にあぐらをかく方ではないかもしれない。
クロード様も信用されているみたいだし。
「では、よろしくお願いします」
「まあ、良かったわ。ルシール様もお喜びになりますね」
お二人の話を受けて、今度ルシール嬢とお父上のベイツ公爵様とお会いすることが決まった。
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