第40話謝罪

翌日の夜━━━。




クロード様と私の待つ邸へとアーヴィン様が一人でやって来た。




「…ハーヴィ伯爵様は?」


「父は興奮しすぎで昨夜倒れました。すみません、私一人で」


「だ、大丈夫なんですか?」


「兄は見張りつきでもう邸にいませんから、興奮する理由がありません。大丈夫でしょう」




ハロルド様…家族会議で一体何をやっていたんですか。


アーヴィン様は微笑むようにケロッとしているし。




「アーヴィン、晩餐を準備している。一緒にどうだ?」




丁度夕食の時間だった為、ハーヴィ伯爵とアーヴィン様を誘うつもりで準備していたのだ。




「ありがとうございます。でも先に謝罪をさせて下さい。私と父上はお二人と敵対するつもりはありませんから」




謝罪をと言われる為に、晩餐より先に居間に通すと、アーヴィン様は従者に運ばせたケースを出した。




「この度は兄ハロルドが多大なご迷惑をおかけしました。どうか許して頂きたい。こちらはラケル様への慰謝料とお二人への迷惑料です」




「アーヴィン様が謝罪することでは…」


「兄は父上の後継者から外れました。私が次の爵位を継ぎますので、父上の名代も含め私が謝罪に来ました」




まぁ、小作人になったのだから、そうだろうな、とは思った。




どんな転落劇だと思うほどだ。


数日前までは、次期伯爵として偉そうにして、高級オートクチュールまで行っていたのに。




「ハーヴィ伯爵家をお許し頂けますか?」


「問題はハロルドだ。伯爵家を潰すつもりはないですから。ハーヴィ伯爵家の謝罪は受け入れます」




クロード様も私と同じ意見で、そう言ってくれた。




「寛大なお心に感謝致します」




ハロルド様のことがなければハーヴィ伯爵家はまともだ。


私もよくしてもらっていた。


クロード様も年下のアーヴィン様には丁寧だし、きっと次期伯爵だと見据えているのだろう。




「では、晩餐をしようか」




そして、三人で和やかな晩餐を楽しんだ。












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